トレたび JRグループ協力

2025.04.23鉄道山陽新幹線N700系―九州新幹線との乗り入れに対応し大阪と鹿児島を結ぶ(THE列車)

さまざまな列車で活躍する主力車両

2011年3月の九州新幹線全線開業に合わせて、山陽・九州新幹線の直通運転用として同年から投入されたのが、N700系7000番代(S編成)・8000番代(R編成)です。
7000番代はJR西日本の、8000番代はJR九州の保有車両という区別がありますが、仕様は同一で共通運用されています。現在は7000番代が19本、8000番代が11本の計30本が活躍中です。

デビュー当初は山陽・九州新幹線を直通する「みずほ」と「さくら」として運行されていましたが、その後、九州新幹線内で完結する「つばめ」や、山陽新幹線の「ひかり」「こだま」にも充当されるようになりました。

N700系はどんな列車?

16両編成のN700系を改良して8両編成化


日本車輌とJR西日本、JR九州の3社共同開発で、従来の16両編成のN700系0番代をベースに、機能・性能面に改良を加えて8両編成化。2008年に量産先行車が製造され、2011年に量産車がデビューしました。
最高速度は山陽新幹線区間では300km/h、九州新幹線区間では260km/h。九州新幹線内に存在する35‰の急勾配に対応するため、8両全てが電動車となっています。

デザイン

車体のベースカラーは「白藍(しらあい)」と呼ばれる、日本の伝統的な陶磁器の色をイメージした青みがかった白。側面窓下に「濃藍(こいあい)」と金色の横帯が細く引かれています。
運転台付近に描かれているロゴマークは、相互乗り入れするJR西日本とJR九州の関係を、手を携えて交わるような曲線で表現しています。車内は「和」の雰囲気をイメージして、荷棚やデッキの化粧板、テーブル、ひじ掛けなどに木目をあしらっているのが特徴です。

6号車半室 グリーン車


6号車の半室はグリーン車。2+2配列で、計24席が設けられています。N700系0番代の「シンクロナイズド・コンフォートシート」をベースに、レッグレストや可動式の枕が追加され、さらにゆったりと過ごすことができるようになりました。
花唐草模様が細かく入った濃藍色のシートが、高級感のある落ち着いた雰囲気を演出しています。
全席にモバイル用コンセントが設置されており、長時間の移動でも安心です。

4〜8号車 普通車指定席


4〜8号車は同じく山陽新幹線で活躍中の700系「ひかりレールスター」から継承した2+2配列で、普通車指定席として使用されています(「こだま」の場合は7・8号車は自由席)。
濃菜種(こいなたね)色のシートは「ひかりレールスター」の「サルーンシート」から座り心地の向上を図ったもので、グリーン車並みのゆとりと快適性を兼備。
モバイル用コンセントは窓側席と最前部・最後部の座席に設けられています。
7号車には車椅子対応座席があります。

1〜3号車 自由席


1〜3号車は新幹線ではよく見られる2+3配列で、自由席として使用されます。
シートモケットの色は左右で異なり、3列側が青系の「縹(はなだ)色」、2列側が赤系の「茜色」。
モバイル用コンセントは普通車指定席と同様、窓側席と最前部・最後部の座席にあります。

N700系はこう楽しむ!

車窓から見る姫路城


提供 姫路市

姫路駅の前後では北側(E席側)の車窓に注目。
この区間では、ビルの間から断続的に国宝・姫路城を見ることができます。大天守と複数の小天守がつながった美しい連立式天守閣は線路から1.5kmほどの距離がありますが、大天守は建物自体が31.5m、石垣が14.85m、それが立つ姫山が標高45.6mと、合計で海抜92mの高さがあり、はっきりとその姿を確認できます。


列車情報

運転日 毎日運転
運転区間 山陽新幹線 新大阪駅〜博多駅間、博多南線 博多駅〜博多南駅間、九州新幹線 博多駅〜鹿児島中央駅間
運転時刻 日によって異なる

N700系の詳しい情報はこちら!


著者紹介

佐藤正晃

1991(平成3)年、スーパートレイン全盛期生まれの旅行・交通ライター。青森県青森市出身。

撮影旅・乗車旅が好き。最近は吞み鉄にもハマっている。

親の転勤が多く、幼少期は盛岡市や東京都で過ごしたため、東日本エリアの鉄道には並々ならぬ思いがある。大学卒業後、旅行関連業界を経て、現在は取材のため各地を飛び回る日々。

  • 文/佐藤正晃
  • 写真/姫路市、交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2025年4月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください
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