運行区間を変えながら地元の“とっておき”を発信
「地域の華を列車に集めて、お客様と地域の縁を結ぶ列車」のコンセプトで、10月5日に華々しくデビューしたJR西日本の新たな観光列車が「はなあかり」です。
列車名は、西日本の様々な地域のとっておきに光を当て、沿線を華やかにする列車であることを表現。
季節ごとに運行エリアを変え、地元の“とっておき”を発信します。
まずは第一弾として12月22日まで、敦賀駅〜城崎温泉駅間を約5時間かけて結びます。
「はなあかり」はどんな列車?
特急「はまかぜ」のキハ189系を改造
車両は特急「はまかぜ」として使用されていたキハ189系3両を改造したもの。
デザインは特急「やくも」の273系や「WEST EXPRESS 銀河」を手掛けた株式会社イチバンセンの川西康之さんが担当しました。
車体には奈良時代から伝わる檳榔子染(びんろうじぞめ)の気品ある色をまとっています。
車内では日本の四季を彩る草花をモチーフに、和の彩りを展開。華やかでモダンな雰囲気ながら、懐かしさも感じさせるデザインになっています。
1号車「スーペリアグリーン車」
城崎温泉方の1号車(キロ189-8005)は、従来のグリーン車を上回る新たな座席種別のスーペリアグリーン車です。
「籠」をイメージした客室内には、プライベート感のある半個室タイプの2名席が左右両側に5区画ずつ配置されています。
各区画には大きなテーブルやコンセントなどを設置。出雲たたら製鉄の一輪挿しが華やかな旅の時間を演出します。
2・3号車「グリーン車」
中間の2号車(キロ188-7005)と敦賀方面の3号車(キロ189-7005)の車内空間は、「広間」をイメージ。
シートが360度回転する独立した座席と、2名用と3〜4名用の広々としたボックス席が設けられています。
壁に飾られた高岡銅器一輪挿しやカーテンを留める京組紐タッセルなど、西日本地域の工芸品やアート作品が車内を彩っています。
2号車「サロン」
2号車の城崎温泉方面寄りには誰でも利用できるサロンスペースがあり、特産品の販売や車内イベントも行われます。
席に置かれているのは京織物のおじゃみ座布団。
おじゃみとは関西でお手玉を意味する言葉で、木綿やステンレスの糸を使って職人が一つひとつお手玉と同じ縫い方で仕立てています。
「はなあかり」はこう楽しむ!
景勝地での徐行運転や停車駅でのおもてなし
「はなあかり」は、車窓風景が特に美しい区間で途中停車や徐行運転を行います。
その一つが丹後神崎駅〜丹後由良駅間の由良川橋梁。若狭湾に注ぐ由良川の最下流部に架かる橋で、車内からはまるで海の上を走っているような景色を楽しめます。
また、丹後由良駅〜栗田駅間の奈具海岸では、花崗岩の白い岩肌と、そこに生える松や真っ青な海とのコントラストに注目です。
さらに、途中停車駅では地元の方やご当地キャラクターによるお出迎えや地元特産品の販売などのおもてなしが用意されています。
地元ならではの食事
車内では、地元ならではの食材を使った旬のお弁当やスイーツを楽しむことができます(要事前予約)。
下り列車では、若狭カレイや若狭牛など若狭の食材をふんだんに使った「若狭 町家弁当」を、上り列車では、天橋立の神話に由来する笹寿司をはじめ、タイや白バイ貝など丹後の名産を詰め込んだ「丹後晩秋弁当」を提供。
また、地酒やおつまみ、お土産品の車内販売もあります。
列車情報
運転日 | 下り:2024年12月21日までの毎週土曜日 /上り:2024年12月22日までの毎週日曜日 |
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運転区間 | 敦賀駅~城崎温泉駅間(小浜線、舞鶴線、京都丹後鉄道 宮舞線・宮豊線、山陰本線経由) ※2025年1月以降は西日本エリアの他の区間で運行予定 |
運転時刻 |
【下り】敦賀駅10:40発→城崎温泉駅15:39着 【上り】城崎温泉駅9:54発→敦賀駅15:07着 |
著者紹介
- ※文/佐藤正晃
- ※写真/JR西日本
- ※掲載されているデータは2024年9月1日現在のものです。