トレたび JRグループ協力

2021.12.28鉄道「或る列車」、リニューアル。新しいコース料理やサービスの魅力を、村上悠太が乗車レポート!

久大(きゅうだい)本線を走る「或る列車」の新しい魅力とは

JR九州が運行している「D&S列車」(デザイン&ストーリー列車)の中でも、ひと際特別な存在感を放つ「或る列車」。
ゴールドのボディとこだわりのデザインが随所に施されている車内が魅力の「或る列車」が、2021年秋にリニューアル! 新たな魅力と共に久大本線を駆け抜けます。

新しいコース料理を中心に、温かいサービスの全貌を、実際に乗車した鉄道写真家・村上悠太が写真満載でお届けします。
さぁ、召し上がれ。

“極上”を体現する「或る列車」、久大本線をゆく

九州の選ばれた食材によるコース料理が登場し、博多発着でアクセス便利に


或る列車 外観 ゴールドに輝く車体は他のD&S列車と一線を画する高級感がある「或る列車」

「或る列車」はコンセプトを「極上の食」「極上の時」「極上のおもてなし」と掲げ、車両の魅力もさることながら、車内で味わえる食事が大きな特徴。2015年のデビュー以来、国内でもほかに類を見ない、スイーツに特化した「スイーツコース」が楽しめる列車として人気を博してきました。南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフである成澤由浩氏監修のスイーツコースはどれも車内で仕上げられたとは思えない繊細なものばかりでした。

この車内サービスが今回、大幅にリニューアル!! スイーツだけでなく、前菜からはじまる本格的なコース料理が提供されることになりました。2021年12月現在のメニューでは前菜・スープ・メイン・スイーツ・ミニスイーツの5品が楽しめ、これまで以上にドリンクメニューも大充実。「或る列車」が走る、九州の地産品にこだわって選ばれた食材たちと成澤由浩氏の世界観がこれまで以上に深く楽しめる列車になりました。


或る列車 久大本線 新たに博多〜由布院間にコース設定され、九州の中でも特に絶景が続く久大本線を走ります

運行コースもこれまでは久大本線のほか、大村線など、その時期によってコースが異なりましたが、しばらくの間、博多~由布院を金・土日祝・月曜日を中心とした特定日に、1日1往復するスタイルに変更。博多発着となったため、九州内外からのアクセスも非常に便利になりました。

さらに久大本線を走るD&S列車「ゆふいんの森」と組み合わせて旅程を組むことができるので、片道は「或る列車」、もう片道は「ゆふいんの森」という2種類のD&S列車を楽しむようなルートも可能です。

由布院行きの或る列車(午前便)は由布院駅に14時07分頃着(日曜日は13時16分頃着)、博多行き(午後便)は由布院駅を14時44分頃発(日曜日は13時47分頃発)のため、由布院で宿泊する際にも便利な時間帯に発着するのも見逃せないポイント。せっかくのラグジュアリーな列車旅なので、単に博多~由布院を往復するのではなく、ゆっくりと現地での時間を楽しめるように由布院に宿泊するのがおすすめです。日に日に寒くなっていく今、由布院の温泉はたまりませんよ!


ゆふいんの森 久大本線 久大本線といえば特急「ゆふいんの森」も見逃せません。「或る列車」と合わせて乗車してみて!

「或る列車」午前便の旅を体験!

乗車時からラグジュアリーな雰囲気、車内はこだわり満載

さてそんな新たな魅力を持った「或る列車」の旅は一体どんなものなのでしょうか!?
今回は博多発由布院行きの「午前便」の旅をご紹介していきます。


或る列車 博多駅 博多駅に入線した「或る列車」。客室乗務員さんも列車に一礼しながら列車を迎えます

博多から由布院を目指す午前便は、日曜日なら9時ちょうど頃、それ以外の運行日は11時12分頃に出発します。なぜ日曜日だけ時間が違うのかというと、実は日曜日はあの「ななつ星in九州」が運行されるため、ダイヤの調整が必要だから。日曜日発は午前、午後便ともに約1時間も長く乗車できるのでおすすめかもしれません。

「或る列車」が誕生した背景には「ななつ星in九州」の存在も欠かせなく、「ななつ星in九州」が作り上げた新しい鉄道旅の世界観をより多くの人に触れてほしい、そんな思いから「或る列車」は誕生しています。


或る列車 エンブレム 車体側面に取り付けられたハートマークのエンブレム

或る列車 レッドカーペット 博多駅 エントランスにはレッドカーペット!

博多駅のホームには金色に輝く2両の列車。これがD&S列車「或る列車」です!
圧倒的な存在感がこれから始まる特別な旅を予感させてくれます。車内に入るドアの前にはレッドカーペット。入口でレセプションを受けるといよいよ車内へ。


或る列車 検温の様子 入口で予約の確認と合わせて楽しい旅のための検温も実施。車内にも手指消毒用のアルコールが設置されています

それぞれ意匠が全く異なる2両編成の車内で走る「或る列車」。

1号車はロマンチックな色・クラシカルな形・明るく優しいメープル材を使用したきらびやかな空間。2人席と4人席があり、天井には「ななつ星in九州」でも使用されている格天井となっています。


或る列車 1号車 座席 明るくきらびやかな1号車


或る列車 1号車 BAR ARU 1号車には車内サービスの拠点となる「BAR ARU」が

かわって2号車は落ち着いた色とウォールナットの組子に囲まれたコンパートメントタイプの車内。1人用と2人用のコンパートメントがあり、1号車とは全く異なった空間になっています。メインのキッチンは1号車、トイレ・洗面台は2号車にあります。


或る列車 2号車 プライベート感ある2号車。1号車と2号車、どちらの席も特別な旅に相応しい佇まい


或る列車 1号車 通路 車端部の通路にも細かな意匠が光ります。こちらは1号車

或る列車 2号車 通路 2号車の通路


或る列車 鉄道模型展示 原信太郎 「或る列車」は、横浜市に「原鉄道模型博物館」を開設した故・原信太郎氏の愛した幻の客車と言われる「或る列車」の模型がモチーフ。車内には「或る列車」をはじめ、氏自ら制作した鉄道模型も展示されています


或る列車 2号車 多目的トイレ 女性用トイレ 2号車端部には多目的トイレと女性用トイレがあります

或る列車 2号車 洗面台 トイレの隣にある洗面台も美しい造作

たくさんの方にお見送りされて「或る列車」は由布院を目指して出発!
この「お見送り」こそ、僕は「あぁ九州に来たんだなぁ」としみじみ思ってしまうワンシーンで、D&S列車に乗っていると旅の道中、本当に多くの方が列車に手を振ってくれる光景を、今までもたくさん目にして、体験してきました。みなさん、列車を見かけると自然と手を振ってくれるんですよね。こうした温かいおもてなしの文化は短期間ではとてもできず、JR九州がこれまでどれだけ時間をかけて、「地域と鉄道」をていねいに結んできたかがわかる文化だと思っています。

みなさんもぜひ列車から手を振り返してみてください!きっと心がポカポカするはずですよ。


或る列車 車内 アテンド たくさんの方々の歓迎を受けて「或る列車」の旅は始まります

或る列車 お見送り 温かいお見送りで、九州に来たことを実感

走行する車内で、コース料理がスタート

さて、今回乗車したのは1号車。コンパートメントタイプの2号車も素敵ですが、広々と開放感がある車内空間が魅力で、進行方向左右どちらの車窓も楽しめるのもうれしい点。
博多駅を出発してほどなくすると、ウェルカムドリンクのサービスがあります。


或る列車 ウエルカムドリンク 車内ではさっそく或る列車コース料理の旅路もスタート。ウェルカムドリンクはスパークリングワインと完熟みかんジュースが選べます

宮崎県「都農ワイン」のスパークリングワインを楽しんでいると、いよいよコース料理の1品目がサーブされました。

コースのスタートを飾る前菜は「熊本県 車海老と佐賀県 みつせ鶏のカクテルサラダ 鹿児島県 樽熟成黒酢の香り」です。細かく丁寧にカットされた九州の食材が美しいカクテルグラスの上に飾られています。


或る列車 コース料理 カクテルサラダ 見た目にも軽やかなカクテルサラダ。香りの多重奏も楽しい一品

1号車の車端部には「BAR ARU」と名付けられたキッチンスペースがあり、限られた列車内のスペースにも関わらず、華麗な技で料理を仕上げていく様子を見ることができます。車内で盛り付け、仕上げる。この手間こそが、美しい「或る列車」のコース料理には欠かせません。


或る列車 キッチンスペース

或る列車 キッチンスペース


或る列車 キッチンスペース 成澤氏の描く世界観と多くの食材生産者さん、食器の職人さんの思いを一つに仕上げるのはホテルオークラJRハウステンボスのシェフの皆さん。独特なスキルとノウハウが必要な車内調理のスペシャリストです

「或る列車」で味わえるコース料理の主人公はなんといっても厳選された九州の食材の数々。
「或る列車」の席に備え付けてあるパンフレットを開くと、そこにはこの日いただく食材の生産者さんの顔写真や思いがつづられています。さらに、その料理を盛り付けるお皿や食器類を作り上げた職人さんも紹介されています。

食を通して、生産者さんや職人さんを想うことができるのは、「或る列車」ならではの視点です。


或る列車 コース料理 パンフレット たくさんの人の思いを感じられるのは「或る列車」だから

2品目の「スープ」は、「大分県 サワラ、ヒオウギ貝、ムール貝の鹿児島県 枕崎の鰹節出汁仕立て 宮崎県 NARISAWAキャビアとともに」。
盛り付けにもヒオウギ貝の貝殻が用いられていてインパクトある一品です。この貝殻も「丁寧に一つ一つ磨き上げることで、この美しい状態にすることができます」と客室乗務員さんが教えてくれました。宮崎県産のキャビアは存在も知らなかったので、新たな九州の味を発見です。
席にサーブされたのち、アツアツのお出汁をかけていただく、目の前で料理が完成するそのスタイルも素敵です。


或る列車 コース料理 スープ 宮崎県産キャビアの塩気がアクセントのスープ

列車は久留米を過ぎていよいよ久大本線へ。車窓も徐々に山風景に移っていきます。

「或る列車」はアルコールも含めて全てフリードリンクスタイル。料理に合わせて、ドリンクをセレクトできます。ワインも海外産ではなく全て九州産。今回のリニューアルに合わせて、九州産の日本酒、焼酎が新しくラインナップされました。ソフトドリンクも九州産にこだわり、緑茶、紅茶、日向夏ジュースに完熟みかんジュース、天然の炭酸水などが用意されています。コーヒーだけは九州産を使用するのが困難なため、東京の堀口珈琲のものが使用されています。


或る列車 コース料理 フリードリンク 九州産ワイン 九州産のワイン、絶品です! ぜひお試しあれ!!

久大本線に入り、コース料理もメインを迎えました。

この日のメインは「九州産黒毛和牛のイチボのステーキ、福岡県 木の子とカラフルな野菜たち」。色とりどりの野菜ソースは見た目にも味覚にも楽しさを与えてくれる、「或る列車」自慢のメインディッシュです。


或る列車 客室乗務員 笑顔と共に最高のサービスを提供してくれる客室乗務員さん。料理ごとに詳しい解説もしてくれます


或る列車 コース料理 メインディッシュ 九州産黒毛和牛のイチボのステーキ 可憐で美しいメインディッシュ。もちろん味も極上の一皿

メインをいただいて、ほっとしていると列車は田主丸駅で小休止。ここではドアが開くので外で記念写真なども撮ることができます。
(※日曜日コースでは筑後吉井駅に停車します)


「かっぱ駅」で有名な田主丸駅でちょっと休憩

かわいい駅舎で記念写真も

コース料理のほうはまだまだ続き、メインの後はスイーツ!

「熊本県 やまえ栗の阿蘇山と鹿児島県 シングルモルトウイスキーの雲海」です。デビュー以来スイーツトレインと走り続けてきた「或る列車」ということもあり、やっぱりコース料理になってもスイーツのクオリティは特に高い! ほんのりとウイスキーが香る、雲海に見立てたムースと栗のハーモニーが絶品です。


或る列車 コース料理 スイーツ 雲海をイメージした軽やかな口当たりのムースと濃厚な栗の甘みが魅力のスイーツ

久大本線の沿線には至る所に名水が湧いているのですが、実は日曜日午前便の「或る列車」限定で、この「水の飲み比べ」ができるんです!
沿線各地のお水とそれぞれの解説が書かれたシートがあり、おいしいだけでなく、こんなに違いがあるんだ!と思わずびっくりするので、ぜひ体験してみてくださいね。


或る列車 ビューポイント 慈恩の滝 日田を通過してしばらくすると進行方向右側には「慈恩の滝」が見られます。列車はビューポイントで最徐行!


或る列車 コース料理 ミニスイーツ BAR ARU 「ミニスイーツ」の提供前には「BAR ARU」の様子も見てみて! 可愛らしい、小さなスイーツが並びます

コース料理のラストを飾るのは「ミニスイーツ」。
「佐賀県 温州みかんのタルト 福岡県 りんご飴、鹿児島県 カルヴァトスの香り 福岡県 玄米茶とチョコレートの松ぼっくり」で、「或る列車」コース料理も終点へ。食事の余韻に浸りつつ、「或る列車」は久大本線きっての難所「水分峠」を越え、由布院に到着しました。


或る列車 コース料理 ミニスイーツ こちらが締めくくりの「ミニスイーツ」。スイーツが2皿提供されるのは「或る列車」の伝統を感じます


或る列車 由布院駅 ななつ星in九州 臨時のダイヤで運行されたこの日はなんと由布院駅で「ななつ星in九州」との出会いが! いつか乗ってみたい憧れのクルーズトレインです

ぜひ乗りたい「或る列車」。予約方法や今後の予定は?

コース料理の内容はシーズンごと年4回ほど更新されていく予定で「或る列車」の予約は公式サイト(https://www.jrkyushu-aruressha.jp/)、JR九州トラベルデスク(092-482-1489)で出発日の10日前まで可能です。料金はおとな1人29000円~41000円(「或る列車」の片道運賃、コース料理+フリードリンク)で人数によって変動します。なお、或る列車は10歳以上から乗車可能です(こども(小学生まで)は一人24000円)。

本格的なコース料理とJR九州を代表する絶景路線である、久大本線を行く新しい「或る列車」。九州の味と人、自然を感じられる幸せな列車旅が、大きく魅力を増して今、スタートしました。


或る列車 公式サイト

  • 各種車内メニュー、設備、おもてなしは取材時点のものです。各内容は変更されることがあります。

著者紹介

村上悠太

1987年鉄道発祥の地新橋生まれ、JRと同い年の鉄道写真家。
交通新聞社刊「鉄道ダイヤ情報」では「ユータアニキ」としてあらゆる現場で鉄道を支える「鉄道HERO」たちの取材を続ける。元々旅好きから写真を始めたので、乗り物に乗って旅をしながら写真を撮るのが大好き。

Twitter:https://twitter.com/yuta_murakami
Instagram:https://www.instagram.com/yuta_murakami/

  • 写真/村上悠太
トレたび公式SNS
  • twiiter
  • Fasebook