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2020.02.17鉄道サンダーバード―見た目もスピードもまるで新幹線!? 関西と北陸を結ぶ俊足特急を徹底解説(THE列車)

関西と北陸エリアを快適に結ぶ特急列車

湖西線を経由して関西と北陸エリアを結ぶ特急列車が、JR西日本の交直流特急形電車681系・683系を使用した特急「サンダーバード」です。速くて快適な乗り心地とゆったりと落ち着いた雰囲気の車内空間を楽しむことができます。

大阪駅を発車した列車は東海道本線を快走し、山科駅から琵琶湖の西岸に沿って走る湖西線へと入ります。右手車窓に琵琶湖の風景を眺めるうちに北陸本線と合流し、新疋田駅~敦賀駅間にあるループ線(上り線のみ)を通過します。下り線は真っすぐに進みますが、トンネル内で左右の位置関係が逆になる珍しい現象に出合います。

敦賀駅の先で北陸トンネルを抜け、右手から越美北線が合流すると間もなく福井駅に到着です。芦原温泉駅の先で峠を越えて福井県から石川県へと入ると、北陸の名湯への玄関口となる加賀温泉駅、右手車窓に白山連峰の山並みを眺めると、列車は金沢の市街地に入り、終着の金沢駅に到着します。なお、1往復はIRいしかわ鉄道を経由して、和倉温泉駅まで運転されています。

鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報

最高速度160km/hで設計された681系電車


サンダーバード681系外観

最高速度160km/hに対応したJR西日本の次世代特急電車として開発されたのが、681系です。北陸本線内で最高速度130km/h運転を可能とした俊足車両で、かつて越後湯沢駅~金沢駅間を結んだ特急「はくたか」では北越急行ほくほく線内で160km/h運転を実施していました。なお、一部の先頭車両は幌を使用した連結が可能な貫通スタイルとなっています。

681系の後継車として増備された683系電車


サンダーバード683系外観

バリアフリーを考慮した増備車として2001年に登場したのが、681系のスタイルがより洗練された683系です。さらに2009年6月から人にも環境にもやさしい683系4000番台が増備され、北陸本線の特急列車は681系・683系に統一されました。なお、「サンダーバード」用の681系・683系はリニューアルが進んでおり、車体前面にブルーのラインが入り、側面は大きな窓を強調したカラーリングの外観となっています。

1号車に設置されたグリーン車指定席


サンダーバードグリーン車

基本6・9両編成の金沢寄り1号車に連結されているのが、ゆったりとしたリクライニングシートが2+1席配置で並ぶグリーン車指定席です。車内は茶系の落ち着いた雰囲気で、全座席にコンセントが用意されています。グリーン車とバリアフリー対応のトイレは、JR西日本在来線初となる温水洗浄機能付き暖房便座が採用され、寒さが厳しい冬の北陸を走るのに最適な装備となっています。

女性専用席がある普通車指定席


サンダーバード普通車

通常は9両編成(多客時は12両編成も運転)で運転されていますが、2~4号車と7~9号車は普通車指定席、5・6号車は普通車自由席となります。3号車の一部座席は女性および同伴の小学生以下の男児に限り利用できる「女性専用席」です。車内はブルーを基調とした2+2席配置のリクライニングシートが並び、各車両の車端の席にはコンセントが用意されています。

日本三名園のひとつに数えられる金沢・兼六園


兼六園

加賀前田藩100万石の城下町として発展してきた金沢市内には、初代藩主利家公が入城した金沢城をはじめ、歴史を感じる佇まいのひがし茶屋街など、数多くの見どころがあります。中でも五代藩主綱紀公の時代に造営された回遊林泉式庭園の兼六園は、江戸時代を代表する庭園で、日本三名園にも数えられています。また、春の桜や梅、秋の紅葉の名所として知られ、四季折々の美しい風情を見せてくれます。

【もっと先まで】金沢駅~和倉温泉駅を結ぶ七尾線観光列車「花嫁のれん」


花嫁のれん

花嫁の幸せを願い婚礼の日にのれんを贈る旧加賀藩(加賀・能登・越中)の伝統文化をイメージした観光列車が、金沢駅~和倉温泉駅間を走る「花嫁のれん」です。車両には伝統工芸である輪島塗や加賀友禅をモチーフにしたデザインがされ、北陸の和と美を感じることができます。1・3号は世界的に活躍するパティシエ辻口博啓氏の「スイーツセット」、2号は老舗料亭大友楼の「和軽食セット」、4号では「ほろよいセット」が用意(全て事前予約制)されています。


列車情報

運転日 毎日運転
運転区間 東海道本線・湖西線・北陸本線・IRいしかわ鉄道・七尾線 大阪駅~金沢駅~和倉温泉駅間
運転時刻 【下り】1号:大阪駅6:30発→金沢駅9:13着
    17号:大阪駅10:42発→和倉温泉駅14:30着
    49号:大阪駅20:54発→金沢駅23:29着
【上り】2号:金沢駅5:35発→大阪駅8:20着*土休日は8:19着
    20号:和倉温泉駅10:14発→大阪駅14:05着
    50号:金沢駅20:47発→大阪駅23:28着
※初終電および和倉温泉駅発着便を抜粋。

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著者紹介

ミスターK(結解喜幸)

1953年、東京都出身。出版社勤務を経て旅行写真作家に。鉄道や時刻表のたのしさを知り尽くした鉄道の達人。現在は地酒とつまみを追い求める「飲み鉄」にはまっている。

  • 写真/石川県観光連盟、交通新聞クリエイト
  • 本記事は2020年2月に公開いたしましたが、2023年3月1日にトレたび編集部により情報を更新いたしました。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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