トレたび JRグループ協力

2018.03.15鉄道乗ってみたい!寝台列車 サンライズ出雲

東海道をひた走り、伯備線で山を越える。神話の国・出雲へ。

かつて東京駅~高松駅間を結んでいた寝台特急「瀬戸」を受け継ぎ、個室寝台中心の快適なプライベート空間を実現した「サンライズ瀬戸・出雲」。東京駅~岡山駅間を14両編成で走り、岡山駅で7両編成ずつに分かれる。8~14号車は「サンライズ出雲」として出雲市駅へ出発。伯備線に入ると、一気に山越えの景色が広がり、神話の国・出雲へと向かう。

「サンライズ出雲」の旅

毎夜22時発 東京駅から始まる物語


寝台列車 サンライズ出雲

毎夜22時、東京駅の在来線ホームに寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」が入線。すると、乗客の旅の物語が始まる。同じホームに仕事帰りの客も大勢姿を見せるなか、「サンライズ」の乗客は売店でビールを買ったり、列車を撮影したり。旅気分が高まっているのがわかる。「サンライズ出雲・瀬戸」は14両編成。東京駅発の1~7号車が「サンライズ瀬戸」、8~14号車が「サンライズ出雲」。岡山駅から分かれる。

さわやかな朝をイメージした寝台列車として登場


寝台列車 サンライズ出雲

1998年より運行されている285系寝台電車「サンライズエクスプレス」。かつて寝台列車のイメージは、青い車体の「ブルートレイン」がメインだった。そこに「さわやかな朝」をイメージした「サンライズエクスプレス」が登場。JRと住宅メーカーが共同で設計した個室中心の空間で、木の温もりを感じさせる寝台列車が斬新だった。写真は「サンライズ」車内の共有部分、通路だ。個室の入口となる鍵付きの扉が並び、プライベート感たっぷりだ。

「シングルデラックス」の証! 「サンライズ」アメニティグッズ


寝台列車 サンライズ出雲

A寝台「シングルデラックス」には、まるでホテルのようなアメニティグッズが付属されている。また室内スリッパ、水色ストライプの浴衣の用意もある。アメニティグッズの中身は、タオル、シャンプーとコンディショナー、洗顔フォーム、シャワーキャップ、コットンと綿棒、ヘアバンド、歯ブラシセット、ヘアリキッド、くし、シェーバー、石鹸、靴磨き……と大充実。日の出がイメージされたオリジナル巾着袋を持ち帰りできるのがうれしい。

A寝台「シングルデラックス」 女性にはうれしい洗面台付き


寝台列車 サンライズ出雲

「シングルデラックス」は「サンライズ」で唯一のA寝台。4号車に6室、11号車に6室ある最上クラスの個室だ。なかに入ると、まるで自分だけに用意されたホテルの一室のよう。ワイドな85センチメートル幅のシングルベッドがレール方向に配置され、女性にはうれしい洗面台付き。ノートパソコンを悠々と広げ、飲食できる広めのデスクもある。「シングルデラックス」の個室はすべて2階に配置されているため、ワイドな車窓からの眺めも気持ちいい。ただしトイレとシャワールーム(「シングルデラックス」利用者は無料)は共有。そのときだけ外出すれば、あとはベッドにゴロリと横たわって車窓をひとり占めするだけだ。

5・12号車の「ノビノビ座席」 家族やグループ利用でも人気


寝台列車 サンライズ出雲

5号車に28座席、12号車に28座席ある「ノビノビ座席」。1階と2階にわかれており、頭の部分に隣との仕切り壁と読書灯がある。毛布が座席ごとに用意されており、足を伸ばして横になることができる。魅力はなんといっても「寝台料金」が不要、「指定席特急料金」のみでリーズナブルに利用できること。家族やグループで利用する乗客も多く、ハイシーズンには「ノビノビ座席」から予約が埋まることも。

B個室寝台1人用「シングル」は 2階・1階・平屋の3タイプ


寝台列車 サンライズ出雲

B寝台「シングル」は「サンライズ」で最も室数が多いタイプ。「サンライズ瀬戸・出雲」の14両編成では、計160室ある。車両中央に通路があり、左右の海側と山側に鍵付きの扉が並ぶ。指定した部屋の扉を開けて個室に入ると、レール方向にベッドが設置されており、個室内に靴を脱ぐスペースもある。「シングル」は1階と2階、平屋の3タイプがある。もう少し広い空間が必要なら2人利用も可能な2段ベッド構造の「シングルツイン」もおすすめ。1人でも利用でき、下段に荷物をおいて上段でゆったり寝るのもツウなやり方。寝るだけでよい場合は「シングル」よりやや狭い「ソロ」も選べる。

東京発「サンライズ出雲」は8~14号車


寝台列車 サンライズ出雲

東京駅発の「サンライズ出雲・瀬戸」は14両編成。岡山駅で分割され、1~7号車は「サンライズ瀬戸」、8~14号車は「サンライズ出雲」となる。「サンライズ瀬戸・出雲」は寝台個室がメインのため、乗り合わせた乗客同士が話せる空間はそう多くはない。共有部分の通路や洗面台ですれ違うほか、車窓に向かって椅子が並ぶ3・10号車のラウンジで顔を見合わす。

10・11号車にはシャワールームを完備


寝台列車 サンライズ出雲

東京駅22時発、終着駅まで乗れば出雲市駅到着は翌朝9時58分。「サンライズ出雲」の乗車時間はほぼ12時間となる。下り列車の場合は、「サンライズ瀬戸」の3・4号車、「サンライズ出雲」の10・11号車にシャワールームを完備。4・11号車のシャワー室はA寝台個室の利用者専用。3・10号車は共通となっている。利用は同車両に設置の券売機からシャワーカード(320円)を買う方式で、カードは先着順での購入となる。カードを入れると、1回に6分間利用できる。

2・9号車「シングルツイン」には車いす対応の個室


寝台列車 サンライズ出雲

2・9号車には車いすに対応した2階建て「シングルツイン」が1室ずつある。通常の「シングルツイン」より入口部分のドアがやや広くなっており、車いすで個室内に入ることができる。同車両には、すぐ横に洗面台、目の前に広めの洋式トイレも設置されているので、車いすを利用しての乗車時にも安心だ。

「サンライズ出雲」沿線の絶景ポイント

岡山駅付近での日の出


岡山付近での日の出

東京駅を22時に出発した列車は、秋冬は岡山駅付近で日の出を迎える。長いような短いような夜が終わると、そこからはそれぞれ高松駅、出雲市駅へと向かっていく。

高梁川


高梁川

伯備線に沿うように流れる高梁(たかはし)川。大阪や岡山のような都心の景色もあれば、こんな自然の景色も楽しめる。ふだん見ている景色も、サンライズから見るとまた特別に感じる。

「サンライズ出雲」沿線のグルメ&名所

出雲そば


出雲そば

出雲大社へと続く神門(しんもん)通りで数多く見かけるのが、そば屋。ソバの実を殻ごと石臼で挽く「出雲そば」は、黒っぽい色と独特の香りが特徴。丸い漆器は、江戸時代に野外でそばを食べていたため、重箱として使われていた名残だそう。写真の「割子そば」にはネギ、海苔、かつお節などの薬味が付き、そばつゆも含めて店舗により異なるので食べ比べもよし。「出雲そば」を食べられる店は市内に約20店舗ある。

出雲大社


出雲大社

『古事記』に創建伝承が記されている古社で、日本の国を築いたといわれる大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が御祭神。10月の「神無月」は出雲では「神在月(かみありづき)」といわれ、その時に神様が人々のご縁を会議するので、縁結びの神様としても知られる。写真は存在感のある大注連縄(しめなわ)が飾られた神楽殿。「サンライズ出雲」で到着し、「出雲詣で」で朝をスタートすれば、特別な旅のはじまりだ。

松江城


日本の現存12天守のひとつで、別名「千鳥城」。入母屋破風の屋根が重なっているのが特徴で、鳥が羽根を広げたように見えることからその名が付いた。松江城山公園は「日本さくら名所100選」にも選ばれた桜の名所。春にはソメイヨシノ、ヤエザクラなど約200本が咲き誇る。宍道(しんじ)湖からもすぐ近く、松江でぜひ立ち寄りたい観光スポット。天守は2015年、「国宝」に指定された。

きっぷ購入のポイント


「サンライズ瀬戸・出雲」のきっぷは基本、ネットで予約・購入できない。きっぷの発売日以降、全国のJRの窓口で購入しよう。JRのきっぷは乗車日の1カ月前10時から発売開始となる。たとえば、3月10日22時発の「サンライズ瀬戸・出雲」に乗りたい場合、きっぷは1カ月前にあたる2月10日10時に全国のJRの窓口で一斉発売となる。

「サンライズ瀬戸・出雲」は人気の寝台特急列車。金曜発や連休、年末年始などは激戦必至だ。また個室数が少ない「シングルデラックス」「ツイン」などを狙う場合も、1カ月前の発売日10時に窓口に並ぶことを覚悟しよう。駅によっては、旅行カウンターが併設されている場合もある。同様にJRのきっぷを購入できるので、たずねてみるのもいいだろう。

ほかに大手旅行会社からは「サンライズ瀬戸・出雲」乗車を含んだツアー商品が発売されることも。往復利用の四国・道後温泉の旅、現地でJR四国全線に乗車する旅など、鉄道ファンにうれしいユニークなツアーも発売されているので、好みにあわせて探したい。


列車情報

運転日 毎日1往復
運転区間 東海道本線・山陽本線・伯備線・山陰本線  東京駅~出雲市駅
運転時刻 【下り】
東京駅21:50発 → 出雲市駅9:58着

【上り】
出雲市駅18:55発 → 東京駅7:08着

詳細はこちら

  • 文・写真/トレたび編集室
  • 掲載されているデータは2018年3月現在のものです。
トレたび公式SNS
  • X
  • Fasebook