平日の鉄道旅なら「キュン♥パス」の利用がおすすめ!
JR東日本管内のフリーエリアが、新幹線や特急列車を含めて10,000円で1日乗り放題というお得なきっぷ「旅せよ平日! JR東日本たびキュン♥早割パス(以下、キュン♥パス)」が、1月14日から発売されました。
「なんだか話題らしいけど、キュン♥パスってどうやって使うの?」「どういうルートがお得?」と気になっている人もいるでしょう。とってもお得なキュン♥パスですが、実は使う前に知っておきたい注意点もいくつかあります。
この記事では、そんなあなたの疑問をすっきり解決するため、キュン♥パスの使い方を丁寧に解説! 通常より約15,000円もお得になるモデルコースも紹介します。
最後まで読めば、キュン♥パスを最大限に活用することができますよ!
キュン♥パスは平日限定でJR東日本エリアが乗り放題!
キュン♥パスは、混雑が少ない「平日のお出かけ」を後押しすべく、JR東日本が発売したフリーきっぷ。
同社全線のほか、青い森鉄道線、いわて銀河鉄道線、三陸鉄道線、北越急行線、えちごトキめき鉄道線の直江津駅〜新井駅間を走る普通・快速列車と新幹線を含む特急列車の普通車自由席に加え、BRTが1日乗り降り自由です。新幹線・特急列車の普通車指定席も、事前に座席の指定を受ければ2回まで利用可能。購入枚数に制限はないので、2枚買って1泊2日の行程を組むのもOKです。
利用期間・発売期間
利用期間と発売期間は以下の通り。
利用期間:2024年2月14日(水)〜 3月14日(木)の平日のみ(土・日・祝日は除く)
発売期間:2024年2月29日(木)まで
購入できるのは「利用開始日の1か月前から14日前まで」というところがポイントです。
すでに、利用開始日の14日前を過ぎている場合は購入できません。
ねだん・買えるところ
おとな10,000円で、子ども用の設定はありません。
購入できるのはネット予約の「えきねっと」のみで、予約後にフリーエリア内の指定席券売機でチケットを受け取る必要があります。駅の窓口や券売機で直接買うことはできません。
注意点
キュン♥パスを買う前に、特に注意したいポイントを3つ紹介します。
・利用日の14日前までに購入する必要がある
・北陸地方や北海道には行けない
・指定席を利用できるのは2回まで
1つ目は「利用日の14日前までに購入する必要がある」こと。ふと思い立って明日出発! というのはできないので、日程は計画的に決めましょう。
2つ目は「北陸地方や北海道には行けない」こと。キュン♥パスはJR東日本の商品なので、同社エリア外では利用できません。北陸新幹線なら行けるのは上越妙高駅まで。金沢駅まで行きたい場合は、上越妙高駅より先のきっぷを別途購入する必要があります。同様に、新函館北斗駅行きの「はやぶさ」も、新青森駅より先は北海道新幹線(=JR北海道エリア)に入るので利用できません。
3つ目は「指定席を利用できるのは2回まで」ということ。つまり、全車指定席の新幹線「はやぶさ」「こまち」「つばさ」「かがやき」に乗れるのは2回までなので、行程を考えるときは要注意です。在来線特急は、千葉方面の「わかしお」「さざなみ」「しおさい」を除く全列車が全車指定席となっています。
なお、2回を超えて利用する場合は運賃のみ有効となり、別に無割引の特急券等が必要です。
お得に活用するために知っておきたいこと
新幹線も特急も乗り放題! となると気になるのは、「どこまで行けば元が取れるのか」ということですよね。
東京発 ここまで行けば元が取れる!
ここでは、東京駅発着のケースで各方面の通常額と比較してみます。
東北方面 ~単純往復なら那須塩原駅へ!
東北新幹線なら、那須塩原駅まで行くと片道5,490円(自由席利用)。往復10,980円となり、単純往復で元を取れる計算です。さらに、白石蔵王駅まで行けば片道10,010円となり、片道だけの利用でも元が取れてしまいます。
ちなみに、終点の新青森駅まで行くと片道17,470円(指定席利用)なので、往復で24,940円もお得という結果に!
新潟方面 ~往復なら上毛高原駅・軽井沢駅以遠へ!
同様に新潟方面を見ると、上越新幹線なら上毛高原駅、北陸新幹線なら軽井沢駅で片道5,490円(自由席利用)となり、単純往復で元が取れます。上越新幹線は終点の新潟駅まで行けば同10,230円になるので、片道のみの利用でもお得に。
一方で、北陸新幹線はエリアの端となる上越妙高駅まで行っても同8,910円で、片道のみでは元が取れません。
中央線・常磐線
在来線特急の場合は、中央線特急は小淵沢駅以遠、常磐線特急は高萩駅以遠の往復で元が取れる計算になります。片道のみの場合を考えると、それぞれの終点となる南小谷駅・仙台駅まで乗っても10,000円を下回るため元を取ることができません。
ちなみに、ネット限定の割引商品「えきねっとトクだ値」などが設定されている場合、ここで紹介した通常額よりも安くなるので、念頭に置いておきましょう。
筆者ならこう使う!
キュン♥パスは「1日単位で利用できる」けれど「土休日は使えない」というのが特徴。暦通りの休みの人であれば、平日に休みを取って日帰り旅行で使うパターンが主流になるでしょう。
新幹線も特急も乗り放題となるとどうしてもあちこち巡りたくなりますが、何県もハシゴしようとすると移動だけで1日が終わってしまいかねません。日帰りでしっかり観光を楽しむなら、目的地は1〜2か所に絞るのが賢明と言えそうです。これを踏まえて、日帰りのモデルコースを考えてみました。
日帰りモデルコース
早朝、通勤ラッシュが始まる前の東京駅。5:30から開いている東京駅構内の駅弁屋「祭」で朝食を仕入れたら、事前に指定席を取っておいた6:12発の山形新幹線「つばさ121号」に乗り込みます。まず向かうのは山形駅。
山形駅までは約2時間40分の道のり。福島駅を出て山形新幹線区間に入り、福島・山形県境の板谷峠を越えると、車窓はたちまち銀世界へと一変します。
8:57、山形駅で列車を降りた瞬間、凛とした空気が東北に来たことを感じさせます。最初の目的地は松尾芭蕉の『奥の細道』で知られる宝珠山立石寺。9:08発の仙山線に乗り換えて山寺駅へ。
9:26に山寺駅に到着。駅を出たら、山頂に建つ奥の院を目指して、雪を踏みしめながら参道の階段を登ります。途中にある五大堂から望む雪景色は壮観。芭蕉が聞いた「蝉の声」とはまた違う、“冬の閑さ”が身に染みてきます。約1,000段の階段を往復して小腹が空いたら、麓の休憩処で生麩ずんだ餅を食べて一休みするのがおすすめ。
山寺駅から12:21発の仙山線に乗って、仙台駅に向かいます。仙山線はその名の通り、仙台駅と山形(羽前千歳)駅を結ぶ路線。奥羽山脈を貫いて雪の中を進みます。
仙台駅まではちょうど1時間。13:21に到着したら、ちょっと遅めの昼食タイム。ベタですが、仙台と言えばやっぱり牛タンでしょう。駅ナカや駅前の店は混雑が心配ですが、ランチのピーク時間を過ぎているので比較的入りやすいはず。
お腹が膨れたら、今度は日本三景・松島へ。仙台駅15:05発の仙石線で松島海岸駅を目指します。
仙台市のベッドタウン・多賀城市の住宅街を過ぎて、塩釜港が見えたら松島はもうすぐ。
15:46に松島海岸駅に到着したら、海沿いの道をてくてく散策しましょう。蒲鉾店に寄って、名物・笹かまぼこの手焼き体験にも挑戦。観光客が比較的少ない平日に、ゆっくり旅を楽しめるのはキュンパスのおかげです。
松島海岸駅17:45発の列車に乗って、仙台駅に戻ったのは18:23。
歓楽街は賑わいを見せています。冬から春に宮城を訪れたら、ぜひ食べておきたいのがセリ鍋。その名の通り、春の七草でおなじみのセリが主役で、旬を迎えたセリのシャキシャキとした食感と、爽やかな苦味を楽しむちょっとツウな新・宮城名物。一人でも気兼ねなく入れる店もあるので安心です。
ほろ酔い気分で21:31発の東北新幹線「はやぶさ・こまち48号」に乗車。東京へ帰ります。
まだちょっと飲み足りないという左党なら、新幹線に乗る前に駅ビル「エスパル仙台」で“二軒目”の仕込みを。味付き半熟卵をかまぼこで包んだ「半熟ばくだん」と、宮城の銘酒「浦霞」をテーブルに並べて、居酒屋新幹線の開店です。
最後の最後まで東北気分を五感で満喫して、23:04に東京駅に到着。キュン♥パスを使ったら、こんなに充実した1日を過ごすことができました!
通常額との比較
このルートの通常額は以下の通り。14,620円もお得になりました。
・運賃
東京駅→(山形駅)→松島海岸駅 7,480円
松島海岸駅→(仙台駅)→東京駅 6,380円
・料金(指定席特急料金)
東京駅→山形駅 5,400円
仙台駅→東京駅 5,360円
計24,620円
鉄道以外のお得な特典もチェック
キュン♥パスには鉄道以外のお得な特典も盛りだくさん。例えば、先ほど紹介したモデルコースの中では、以下のような特典が受けられます。
・東京駅「駅弁屋 祭」
購入した商品とキュン♥パスの写真を撮ってSNS(X)に投稿し、フォロー&ハッシュタグなどの条件をクリアすると、抽選で冷凍駅弁をプレゼント。
・松島海岸駅「おみやげ処松島海岸」
2,000円以上の会計で5%割引。
・仙台駅「エスパル仙台」
合計3,000円以上のお買いものでオリジナルノベルティをプレゼント。さらに、抽選で300名にJRE MALLエスパル店で使える500円クーポンをプレゼント。対象店舗でノベルティのプレゼントや割引サービスも。
まとめ
使い方次第でとってもお得になるキュン♥パス。期間限定発売となっているため、早速計画を立てて、平日の鉄道旅に出かけましょう!
著者紹介
- ※写真:交通新聞クリエイト(特記以外)、佐藤正晃(牛タン)
- ※文:佐藤正晃
- ※掲載されているデータは2025年1月現在のものです。
- ※乗車日によっては発着時刻が異なる場合があります。事前にご確認の上、お出かけください。
- ※写真はイメージです。モデルプランの行程中に撮影したものではありません。