キュン♥パス2日間用を使って超おトクな平日東北旅へ
JR東日本全線が乗り放題になるJR東日本たびキュン♥早割パス(以下、キュン♥パス)が2024年に続き、2025年も発売となりました。しかも今年は1日間用に加えて、さらにおトク度が高まる2日間用も登場です!
キュン♥パスは購入期限が「利用開始日の14日前」というルールがあるため、「きっぷだけ確保、行程はこれから考える」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方に向けて、実際にキュン♥パス2日間用を使って東北旅に出かけた様子をお届けします。ぜひ行程づくりの参考にしてください。
「キュン♥パス」はJR東日本エリアが乗り放題のおトクなきっぷ
キュン♥パスは、JR東日本全線に加えて、以下各社の普通列車と新幹線を含む特急列車の普通車自由席、およびBRTが平日に1日間、または連続2日間乗り放題になるきっぷです。
JR東日本以外で乗り放題になる路線
- 青い森鉄道線
- いわて銀河鉄道線
- 三陸鉄道線
- 北越急行線
- えちごトキめき鉄道線(直江津~新井間)
また、普通車指定席にも1日間用は2回まで、2日間用は4回まで乗車できます。
キュン♥パスの発売期間・利用期間
発売期間と利用期間は以下の通りです。
〇発売期間:
- ・<1日間用> 2025年1月13日(月・祝)~2025年2月27日(木)
- ・<2日間用> 2025年1月13日(月・祝)~2025年2月26日(水)
〇利用期間:2025年2月13日(木)~2025年3月13日(木)の平日(土・日・祝日は除く)
発売期限は、利用開始日の14日前までです。
キュン♥パスのねだん・買えるところ
1日間用10,000円、連続する2日間用18,000円で、子ども用の設定はありません。キュン♥パスはJR東日本の予約サイト「えきねっと」のみでの発売です。
発売期間のうちに、「えきねっと」からきっぷを購入、フリーエリア内(JR東日本)の指定席券売機や窓口できっぷを発券します。ちなみに発券は利用日当日でもOKです!
また1日間用は2回まで、2日間用は4回まで乗車できる普通車指定席については、「キュン♥パス」購入後、えきねっとの「マイページ」から申し込み、または指定席券売機で予約します。
ここで注意点があります。
新幹線も乗り放題とくれば、多くの人が「朝早くに出発して、遠くまで出かけるぞ」と考えがち。つまり東京駅を早朝に発車する新幹線は早いうちに予約が埋まってしまうことから、出かける日程が決まり次第すぐに指定席をおさえるようにしましょう。
余談ですが、当初乗ろうと計画していた新幹線のきっぷが取れず、旅程変更を余儀なくされた一人がわたしです。
「キュン♥パス」連続する2日間用を使った、筆者おすすめのモデルコース
今回は実際に「キュン♥パス」を使い、青森、秋田をめぐる旅に出かけてみました。往復は新幹線の普通車指定席を利用!
また、冬期シーズンということで降雪などによる運休、遅延リスクが想定される点、さらにはすでに往復の新幹線で十分おトクになっている点を踏まえ、ふだん「トレたび」でお披露目している鉄道旅にくらべて、かなり時間にゆとりを持たせた行程でめぐってみました。
- ※モデルコースに記載の時刻・料金は記事作成時点のものです。ご利用の際は最新情報をご確認ください。
1日目 乗り放題エリアギリギリの青森へ! 温泉からねぶたまで文化を満喫
- 1日目 モデルコース
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08:48発
東京駅 東北新幹線はやぶさ301号 新青森駅行き
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11:36着
八戸駅 乗り換え
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12:10発
八戸駅 青い森鉄道 青森駅行き
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13:19着
浅虫温泉駅
- ポイント① 浅虫温泉で日帰り入浴と、「温泉たまご」づくりを楽しむ
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15:40発
浅虫温泉駅 青い森鉄道 青森駅行き
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16:05着
青森駅
- ポイント② 一年を通して「ねぶた祭」が体験できる! ねぶたの家 ワ・ラッセ
-
徒歩で移動
- ポイント③ 地上51メートルから360度の大展望、青森県観光物産館 アスパム
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19:57発
青森駅 奥羽本線 大館駅行き
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20:40着
弘前駅
- ※地図内の路線は、実際の線路ではなく下車や乗り継ぎのポイントを繋いでいます。
初日の午前8時半過ぎ、東京駅の新幹線ホームにやってきました。
東京駅から東北新幹線で東北へ
東京駅の丸の内駅舎前などで写真を撮り、「いよいよキュン♥パスの旅スタート!」と書き出したいところでしたが、実際は自宅最寄駅から東京駅までの移動で使用が始まっていました。そのまま乗り換え改札を経て新幹線ホームに向かいます。
8時48分に発車したはやぶさ301号新青森駅行きの車内は意外に空いていたものの、上野駅、大宮駅と発着していくうちに満席に。また、車内では「予約で満席」というアナウンスも流れていました。
わたしは前述のとおり、第二希望的にこのはやぶさ301号を選んだのですが、実は2週間少し前の時点で空いていたのは3列シートど真ん中のB席のみ、それも数席でした。もっとも、満席状態が続くのは基本的に大宮~仙台駅間ですので、指定席が確保できなかった場合は、停車駅が多いながらも自由席車両の設定されている「やまびこ号」の利用も選択肢に入れておくのがおススメです。
東北新幹線は八戸駅で下車。第三セクター、青い森鉄道の青森駅行き普通列車に乗り換えます。もちろん青い森鉄道もキュン♥パスの利用エリアです。
八戸駅売店で購入した、グラニュー糖のシャリシャリ食感が人気のご当地パン「イギリストースト」を頬張りながら、外の景色をぼんやり眺めて時間を過ごしました。
八戸駅で青い森鉄道に乗り換え
青森のご当地パン「イギリストースト」
ポイント① 浅虫温泉で日帰り入浴と、「温泉たまご」づくりを楽しむ
この日、八戸到着時点では快晴、思ったよりも雪も少なく、安堵のまま旅を始めていました。
車窓の様相が大きく動いたのは、夏泊半島を抜け、右手に陸奥湾を見せながらゆっくりと浅虫温泉に到着したあたりから。灰色に染まった空から雪が降り始めたのです。
浅虫温泉駅で下車。駅舎内には売店もあって暖かい
こんなときにありがたいのは、駅チカで楽しめるスポット。
わたしが浅虫温泉駅で下車し、向かったのは、アクセス徒歩1分の「道の駅 浅虫温泉 ゆ~さ浅虫」でした。
浅虫温泉駅から跨線橋で徒歩1分、「ゆ~さ浅虫」に到着
ゆ~さ浅虫はお土産コーナー、温泉、さらに産地直売場が揃った施設で、いろんな人の多様な需要に応えてくれます。とはいえせっかく来たなら全部満喫して帰りたいのが旅行者の根性。まず1階のお土産コーナーへ。
「リンゴだけで棚を占領することありますかい!」と思わず口走るくらい、ドリンクコーナーはリンゴジュースで一列が占領されていました。この変な発言に対して、お店の方からは「青森出身なので、あまり意識したことなかったですね」と返答いただきました。
さらに、別の棚に向かえば、焼肉でも野菜炒めでも、なんでも味がととのう青森の調味料「スタミナ源たれ」の、これも各種ラインナップが当然のように並んでいました。
棚を占領するリンゴジュース
やはり棚を占領する「スタミナ源たれ」
続いて5階の展望浴場へ。
「東北の風呂は熱い」という先入観を持っていたのですが、40度ちょっとの浴槽も用意されていて、いつまでものほほんと浸かり、ガラス張りの向こうには、陸奥湾、および湯ノ島を堪能できました。
休憩所からも陸奥湾の絶景が
続いて別棟の産直市場を訪ね、パック入り「生卵」を入手。旅の始まり早々に持ち運びリスクの高いお土産を買ったような雰囲気ですが、実は目論見がありました。
野菜などが売られている産直市場
お目当ては生卵
卵のパックを抱え、温泉街を歩くことおよそ9分、目的地は「温泉たまご場」です。無料の足湯などは各地の温泉街で見かけますが、浅虫温泉はそれに加えて、無料で自由に温泉たまごを作れる場が用意されています。
かごに卵を移し、そっと熱湯に浸し、じっと待つこと20分……。温泉で温めた体が冷えてきたころに、恐る恐る取り出して、殻を割ってみれば、とろとろの温泉たまごが出てきました。
一口食べるというか飲み込むと、卵のコクが引き出されたおいしさが抜群で、もはや食べ物を通り越して「新感覚のホットドリンク」といった印象でした。2つ目、3つ目と黙々と剥いては食べ、残りは夜食にしました(ノンフィクション)。
ちなみに温泉たまご場は屋根付きなので、雪が体に積もることはないものの、決して暖かい場所ではなかったことだけは添えておきます。
浅虫温泉駅から徒歩9分ほどの「温泉たまご場」
備え付けのかごに卵を入れて、沈める
待つことおよそ20分、とろける温泉たまごの完成
「道の駅」浅虫温泉 ゆ~さ浅虫
住所 | 青森県青森市大字浅虫字螢谷341-19 |
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問い合わせ先 | 017-737-5151 |
時間 | お土産コーナー:9:00~19:00(12月~3月は18:00まで)、 産地直売施設「ゆ~さ市場」:9:00~17:30、展望浴場「はだか湯」:7:00~21:00(受付は20:30まで) |
定休日 | 無休(2月の平日2日間のみメンテナンスのため休業) |
交通アクセス | 青い森鉄道浅虫温泉駅から徒歩1分 |
値段 | 展望浴場 大人360円、小学生160円、幼児(2~6歳)70円 |
URL | http://www.yu-sa.jp/contents/ |
ポイント② 一年を通して「ねぶた祭」が体験できる! ねぶたの家 ワ・ラッセ
浅虫温泉始発の青い森鉄道青森行きで終点まで移動します。道中のお供は、先ほどのドリンクコーナーで厳選したリンゴジュース2本です。
浅虫温泉駅から青森駅行きに乗車
旅のお供はリンゴジュース
終点の青森駅の駅舎を出て、左斜め前方に見えてくるのが、次なる目的地、青森市文化観光交流施設「ねぶたの家 ワ・ラッセ」です。
こちらもまた「駅チカ」どころか、「横断歩道を渡ってすぐ」なので隣接スポットといっても過言ではありません。降りしきる雪のなか、この至近距離は助かります。
2024年にリニューアルしたばかりの青森駅
駅からすぐ「ねぶたの家 ワ・ラッセ」
「ねぶたの家 ワ・ラッセ」は、ねぶた祭の歴史と魅力が深められる施設です。圧巻なのは、ねぶた祭に出陣した本物の大型ねぶたが展示されている点。
2024年に知事賞を受賞した「足柄の公時 頼光に随う」
ねぶた祭りの歴史を学ぶ
天井には金魚ねぶた
ねぶたの内部も覗ける
周囲から見学できるのはもちろん、建物が吹き抜け構造になっているため2階部分から見下ろしてみたり、さらにねぶたの中かから骨組みなどを詳しく観察できたり、とにかく「じっくりねぶたを満喫!」なひとときになりました。何よりうれしいのは、随所にいらっしゃるスタッフの存在で、素朴な疑問に対して一つひとつ丁寧に教えてくださいました。
ちなみに展示されている大型ねぶたは直近のねぶた祭に出陣したもので、毎夏の祭りが終わると、展示が入れ替えられます。つまり年に一度は訪れないといけない施設といえます。
ねぶたの家 ワ・ラッセ
住所 | 青森県青森市安方1-1-1 |
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問い合わせ先 | 017-752-1311 |
時間 | 5月~8月:9:00~19:00、9月~4月:9:00~18:00(最終入場は閉館30分前まで) |
定休日 | 8月9日、8月10日、12月31日、1月1日 |
交通アクセス | JR・青い森鉄道青森駅から徒歩1分 |
値段 | 大人620円、高校生460円、小中学生260円 |
URL | https://www.nebuta.jp/warasse/ |
ポイント③ 地上51メートルから360度の大展望、青森県観光物産館 アスパム
こうしているうちに時刻は17時を回ってきました。旅の要素に「夜景」もほしいでしょう、と向かったのは、「青森県観光物産館 アスパム」です。
青森駅からは徒歩8分程度と少々離れているものの、「AOMORI」の「A」を形どった正三角形の建物は遠くからでも目立つので、道に迷うことはありません。
遠くからでも存在感抜群の正三角形が特徴「青森県観光物産館 アスパム」
アスパムの地上51mの高さには展望台が位置し、360度のパノラマ景色が楽しめる!ということで夜景などを満喫する魂胆だったのですが……折からの悪天候で、少し厳しめの「青森の冬」を窓の向こうにじっくり感じることとなりました。
地上51メートルから見た青森の冬
夏の夕暮れに見られる(であろう)絶景
もっとも景色だけではないのが、この展望台の魅力。
青森港の開港400年を記念した「ステンドグラス風ねぶた絵」が展示されていたり、弘南鉄道大鰐線(弘前市)の「りんごねぷた列車」で使われていたねぷたで彩られていたり(期間限定)と、訪れた人を楽しませてくれる配慮が随所に見られました。
また、アスパムの1階は県内最大規模のお土産の品ぞろえ。旅の最後にアスパムに立ち寄り、お土産を選んで帰るプランもできそうだな~、などと展望台へのリベンジとともに、新たな旅の計画も生まれました。
ステンドグラス風ねぶた絵
期間限定で「りんごねぷた」の展示
青森県観光物産館 アスパム
住所 | 青森県青森市安方1-1-40 |
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問い合わせ先 | 017-735-5311 |
時間 | 館内営業時間は店舗・季節により異なる(公式サイトを要確認) |
定休日 | 12月31日、他館内設備点検のため休館あり |
交通アクセス | JR・青い森鉄道青森駅から徒歩約8分 |
値段 | 展望台 大人400円、中高生300円、小学生200円 ※2025年4月1日から料金改定あり |
URL | https://www.aomori-kanko.or.jp/aspam/index.html |
初日は最後に弘前まで移動し、1日目終了です。
弘前駅到着時点で、車両の外側が凍結していたことから、2日目の旅を無事に遂行できるか少しだけ、いやかなり不安を覚えながら就寝しました。
弘前駅到着時点での列車の様子。ガリガリに凍結している
2日目 キュン♥パスで元を取った分でエリア外も乗りつぶし! みちのくの小京都で冬観光
- 2日目 モデルコース
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07:52発
弘前駅 奥羽本線 秋田駅行き
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08:57着
鷹ノ巣駅 乗り換え
-
10:05発
鷹巣駅 秋田内陸縦貫鉄道 阿仁合駅行き ※秋田内陸縦貫鉄道は別料金
- ポイント④ キュン♥パス利用エリアをはみ出して乗りつぶし!秋田内陸縦貫鉄道
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11:05着
阿仁合駅 乗り換え
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11:30発
阿仁合駅 秋田内陸縦貫鉄道 角館駅行き
-
13:03着
角館駅
- ポイント⑤ みちのくの小京都、角館武家屋敷通りで冬観光
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17:18発
角館駅 秋田新幹線 こまち40号 東京駅行き
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20:32着
東京駅
- ※地図内の路線は、実際の線路ではなく下車や乗り継ぎのポイントを繋いでいます。
2日目は弘前駅からスタート
2日目は7時52分弘前駅発の奥羽本線秋田駅行きで始まるはずでしたが、列車が駅に入線したのは、降雪の影響で発車予定時刻を数分過ぎてから。
冬場の東北では天候理由による遅延、運休はままあることから、余裕のある行程づくりを推奨します。具体的には乗り換え時間に少なくとも30分くらい挟んでおくと、こうした分単位の遅延の際など、はらはらした気持ちにならずに済みます。
JRのウェブサイトやアプリなどで、随時最新の運行情報、および今後の見通しが公開されていますので、心配そうな天気のときは定期的に確認し、ときには思い切って予定を変更することも旅の成功の秘訣です。※翌日には同区間が運休となりました。
ポイント④ キュン♥パス利用エリアをはみ出して乗りつぶし!秋田内陸縦貫鉄道
「キュン♥パス」を使った平日旅ならではの光景として、各地の「通学列車」が挙げられます。実際、弘前駅から利用した秋田駅行きの普通列車には、高校生が大勢乗り込んでいました。こうした「地元の日常の景色」に紛れ込ませてもらえる旅の魅力といえるでしょう。
幸いにも列車は走っているうちに遅延を回復し、矢立トンネルを抜けて、秋田県へ突入。なお車内外の温度差により窓が結露していて、ここまで景色はほぼ見えませんでした。
奥羽本線は鷹ノ巣駅で下車。秋田内陸鉄道に乗り換え
奥羽本線鷹ノ巣駅で下車後は、秋田内陸縦貫鉄道の秋田内陸線へと乗り換えていきます。同線は「キュン♥パス」の利用エリア外ではありますが、すでにもうきっぷの元は十分にとれていることから、「せっかくここまで来たのだから…!」とはみ出しました。
ちなみに、秋田内陸縦貫鉄道の方によれば、同じような思考で寄り道を計画する方は少なくないそうです。乗り鉄にとっては観光施設だけでなく、こうした乗車体験そのものも立派な目的の一つ。
クロスシートの列車に乗り込み、まずは阿仁合駅まで向かいます。列車は米内沢駅を発車すると、右手に阿仁川が迫り、大迫力の車窓が続きます。
「キュン♥パス」エリア外に進出
期間限定の「おひなさま列車」に乗車
列車は阿仁川に沿って走っていく
列車は途中の阿仁合駅止まり。その先に行くためには向かいに停車している角館駅行きの列車に乗り換えることになるのですが、接続時間として25分用意されていることから、どうしたってじっとしていられず、駅舎に向かいます。
というのも「鉄印」を入手する目的があったためです。鉄印は、「御朱印」の鉄道版ともいえる存在で、全国の三セク鉄道会社で展開されています。
さらに売店で、北秋田名物の「バター餅」もゲット。下車するたびに、次なる車内おやつが増えているような気がするのですが、こうして各地の食べ物をいただくのも鉄道旅の楽しみ方です。
列車は途中の阿仁合駅止まりのため乗り換えることになる。なお乗車券は「鷹巣~角館駅間」の通しでOK
乗り換え時間のお陰で「鉄印」ゲット
ご当地甘味「バター餅」も手堅く入手
角館行きの列車は出発。萱草駅を出て、大又川橋梁に差し掛かるところで、運転士さんがアナウンスとともに減速、ダイナミックな景色を楽しむ時間を設けてくれるなど、みっちり鉄分補給となりました。
大又川橋梁でアナウンスとともに徐行運転
ポイント⑤ みちのくの小京都、角館武家屋敷通りで冬観光
さて秋田内陸線の終点であり、秋田新幹線との接続駅でもある角館といえば、江戸時代に栄えた城下町であり「みちのくの小京都」として知られています。およそ700mにわたって続く武家屋敷通りは、重要伝統的建造物群保存地区に選定。旅の最後は、この武家屋敷通りを訪ねてみます。
まずは仙北市観光情報センター「角館駅前蔵」を訪ね、エリアのマップをもらいました。
観光情報を入手すべく「角館駅前蔵」へ。長靴の貸し出しも行われていた
駅から武家屋敷通りの入り口まではオンデマンド交通「よぶのる角館」を利用。徒歩15分ほどの距離ですが、変わった乗り物を体験してみたかったのです。
「よぶのる角館」の利用は、JR東日本のウェブサービス「TOHOKU MaaS」から乗降場所、および時間を選択するだけ。料金もサイト内で払えば1回300円とお手頃価格です。ということで、本当ならば所要15分かけて向かうところをものの数分で移動してしまいました。
オンデマンド交通「よるのぶ角館」を利用。徒歩15分の距離をものの数分で移動
武家屋敷通りには現在も6軒の屋敷が残り、内部の見学などもできます。雪がしんしん降り積もるなかを散策して雪まみれになったのち、暖房が完備された屋敷に入ると、まずその暖かさに気持ちがほぐれました。また、屋敷内には当時の囲炉裏などが保存されているわけですが、冬に旅することで改めてそうした設備の重要性を、身をもって感じられたと言えます。
通りに続く黒板塀と雪のコントラストもあまりにも見事で立ち止まって見ほれるほどで、そうした景観が心行くまで堪能できるのは、冬に旅する者だけの特権です!
角館武家屋敷通り。白と黒のコントラストが美しく、立ち止まって見惚れるほど
なお、「雪まみれ」と書きましたが、とにかく雪のやむタイミングがほとんどありませんでした。ふだんの鉄道旅だとスニーカーなどの軽装で行かれる方も多いと思いますが、この時期は防水仕様の靴を選ぶことも強く、本当に強く推奨します!
角館武家屋敷通り
住所 | 秋田県仙北市角館町表町、東勝楽丁 |
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問い合わせ先 | 0187-54-2700(仙北市観光情報センター「角館駅前蔵」) |
交通アクセス | JR・秋田内陸縦貫鉄道角館駅より徒歩20分 |
URL | https://tazawako-kakunodate.com/ja/ |
こうして一通りの行程を終えて、最後は角館駅17時18発の秋田新幹線こまち40号で帰路につきました。
角館駅から東京へ
秋田新幹線こまち号に乗車
初日のうちは、「キュン♥パスで○○円お得になった!」などにやついたりもしていましたが、2日目にもなると、もはやそんなことも忘れてしまうくらいあまりにも使い勝手のよいきっぷでした。何よりも、おトク度ゆえ、なんとなく気持ちがおおらかになってしまい、ついあれこれと自分へのお土産やおやつなどを購入し、帰宅した頃には、背中のリュックが出発時よりずいぶん重たくなっていました!
また、運休・遅延リスクの高い季節であることに加えて「実際に旅してみたという記事」(すなわち本記事)の予定があったことから、かなり安心安全なコースを選び、鉄分は薄めにしたつもりですが、結果的には往復の新幹線に喜び、きっぷ外の区間で乗車を楽しみ、振り返ってみれば立派な「鉄道旅」として完成してしまいました!
空に星が見えそうなほど晴れた東京駅。3時間ちょっと前には雪の積もった秋田にいたはずなのに
運賃・料金比較(参考)
合計37,750円
〇運賃
・東京駅→(八戸駅)→浅虫温泉駅 11,620円
・浅虫温泉駅→青森駅 460円
・青森駅→弘前駅 680円
・弘前駅→鷹ノ巣駅 1,170円
・角館駅→東京駅 9,460円
〇特急料金(※通常期、普通車指定席)
・東京駅→八戸駅 6,800円
・角館駅→東京駅 7,560円
キュン♥パスなら、19,750円もお得
まとめ
今回は、キュン♥パス2日間用を活用した東北旅の様子をお届けしました。振り返れば浅虫温泉までの往路で、きっぷ代の元が取れてしまいました。私自身がこれまでに使ってきたトクトクきっぷのなかでも、過去一番のおトク度だった気がします。
そして……2024年、2025年と2年連続で発売されていることから2026年の発売への期待も高まります!来年もキュン♥パスが出た場合は新幹線および特急列車に今回よりもたくさん乗り、よりお得度を高めたいと個人的には企んでいます。
「キュン♥パス」2日間用をフル活用した東北旅もこれにて終了!
著者紹介
- ※文:蜂谷あす美
- ※写真:公益社団法人青森県観光国際交流機構(アスパム 展望台からの景色)、蜂谷あす美
- ※掲載されているデータは2025年2月現在のものです。
- ※乗車日によっては発着時刻が異なる場合があります。事前にご確認の上、お出かけください。