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2021.07.20旅行<一人旅>週末パスで行く! 鉄分&糖分豊富な東北1泊2日の鉄道旅行モデルコース

地元感満載。第三セクター、ソウルフードで東北を味わう

首都圏在住者にとって定番の旅行先である東北地方。何度も行かれている方も多いでしょう。今回は「週末パス」を使いこなし、いつもより「地元感」満載な、そして在来線に新幹線、第三セクター(三セク)と例によって鉄分豊富な旅をご紹介します。甘党さんには特におすすめの行程です!

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により、列車の運休や変更、施設の営業変更等が発生することがあります。JRニュースや運行会社、および各施設のHP等をご確認ください。

JR全線完乗した蜂谷あす美の「週末パス」注目ポイント


E3系山形新幹線つばさ

「週末パス」は関東地方、信越地方、それに南東北エリアを網羅するフリータイプのきっぷで、使える範囲の広さが魅力です。土休日の連続する2日間利用でき、1泊2日の気楽な旅と相性抜群です。

週末パスのおいしいポイントは大きくふたつ。ひとつめは、特急券を購入することで特急列車や新幹線にも乗車できる点です。新幹線や特急列車が利用できると、それだけ移動、選択肢の幅が広がります。誤解を恐れずにいえば「リスクヘッジ機能付き青春18きっぷ」あるいは「青春18きっぷの上位互換版」のような存在だと思います。

ふたつめは、JR線だけでなく、私鉄や三セクなどにも乗車できる点です。今回の旅では、山形鉄道と阿武隈急行の2路線を盛り込んでいますが、JR線のほか14の会社線に乗車できます。かゆいところに手が届くというか、個人的な欲望「もうちょっとディープに乗りたい」を満たしてくれる存在です。

なお、きっぷの発売は利用日の前日までなので、「思い立ったらすぐ」といかない点だけはご注意ください。

1日目 ソウルフードと公衆浴場めぐり(だけど温泉!)で地元感まんぷく紀行


モデルルート
8:48発

東京駅

  • 東北新幹線 やまびこ53号 盛岡行(特急券別料金) 都会を走り抜ける新幹線
10:06着

郡山駅

  • 甘党にとってのご褒美「クリームボックス」
12:18発

郡山駅

  • 山形新幹線 つばさ135号 山形行(特急券別料金)
13:20着

赤湯駅

  • 100円で入れる立ち寄り温泉をはしご
15:35発

赤湯駅

  • 山形鉄道フラワー長井線でローカル線の旅へ
16:40着

荒砥駅 ※乗り換え

17:42発

バス停 荒砥駅

  • 山交バス 山形市役所前行(別料金)
18:25着

バス停 山形駅前3番

  • 山形駅周辺に宿泊
  • 乗車日によっては発着時刻が異なる場合があります。事前にご確認の上、お出かけください。

都心を駆け抜け東北へ!東北新幹線


JR西日本の特急車両サンダーバード

東北新幹線

運行区間:東北新幹線 東京駅~新青森駅

利用エリアの広さに加え、別途特急券を購入すれば特急列車や新幹線にも乗車できるのが「週末パス」の魅力です。

ならば東北鉄道旅の始まりに乗りたいのは、やはり東北新幹線。東京駅で東北新幹線に乗るべく改札を通ると、秋田、山形、北陸、上越と各方面行きの新幹線を楽しむことができ、出かける前から「次はどれに乗ろう」と将来の旅への期待も膨らみます。特に最近は車両ごとにデザインも個性豊かで、見ているだけで楽しくなります。

東北新幹線は東京駅を発車後、都心の景色を見せ、いったんトンネルへ。上野駅を発車し、再び地上に出たあとは、在来線を俯瞰するようにして走っていきます。

個人的には都県境を越えて埼玉県内に突入してから大宮駅にかけての車窓がお気に入りです。列車は埼京線と並走し、車窓右手には、途中駅、それにホームで列車を待つ人がよく見えるので、日常生活のなかを非日常の新幹線で走り抜けていくような不思議な感覚が味わえます。

現在、東北新幹線の主力車両は2011年に登場した「ときわグリーン」に「つつじピンク」のアクセントが映えるE5系。普通車も全席コンセント完備なのがありがたいポイントです。

ご当地グルメ:<クリームボックス>甘党にとってのご褒美は郡山のソウルフード


分厚く切った手のひらサイズの食パンにミルク風味のクリームがたっぷり塗られた「クリームボックス」は郡山市のソウルフード。優しい甘さが病みつきになります。市内のパン屋ならいたるところで売られており価格も100円~150円とリーズナブル! お店によってパンのかたちやクリームのバリエーションが豊富なので、いろいろ買って食べくらべも楽しいです。個人的には、郡山市に本社を構える酪王乳業の「酪王カフェオレ」との組み合わせが至高と信じています。


クリームボックス

問い合わせ先 024-954-8922(郡山市観光協会)
URL https://www.kanko-koriyama.gr.jp/tourism/detail3-1-487.html

スポット1:<赤湯温泉>100円玉を握りしめて温泉めぐり


赤湯温泉

35の市町村すべてに温泉が湧き、どこを訪れても温泉が楽しめる県、それが山形県です。このうち今回立ち寄るのは、開湯920余年を誇る赤湯温泉です。含硫黄ナトリウム・カルシウム塩化物泉の泉質は飲泉も可能。最寄りの赤湯駅から温泉街まではタクシーで5分、歩いても25分程度とアクセスの良さも魅力です。

また、赤湯温泉には「赤湯元湯」「とわの湯」「烏帽子の湯」「あずま湯」と4つの公衆浴場があり、入湯料はなんと各100円(赤湯元湯のみ200円)。100円玉を握りしめ、地元の方たちに交じってみませんか? さらに赤湯温泉の位置する南陽市は、ぶどうワインの一大生産地。温泉街でおいしいワインがいただけます!


赤湯温泉公衆浴場

住所 山形県南陽市赤湯754-2(赤湯元湯)
問い合わせ先 0238-40-2002(特定非営利活動法人南陽市観光協会)
時間 8:00~14:00、15:00~21:30 ともに最終受付は30分前まで(赤湯元湯)※浴場ごとに異なります
定休日 水曜日 ※浴場ごとに異なります
交通アクセス JR赤湯駅から徒歩25分
値段 100円(赤湯元湯のみ200円)
URL http://nanyoshi-kanko.jp/search/detail/62

花の名所がずらり!そして最古の橋梁も。山形鉄道フラワー長井線


沿線には花の名所がずらり!山形鉄道フラワー長井線

山形鉄道フラワー長井線

運行区間:フラワー長井線 赤湯駅~荒砥駅

鉄道ファンとして見逃せない「週末パス」のポイントは、JR線だけでなく三セクなどにも乗車できるところ。せっかくなら各地のローカル線も楽しく乗り進めていきたいですね。初日に乗るのは山形県の赤湯駅から荒砥駅まで、最上川沿いを下流に向かいながら走る山形鉄道フラワー長井線です。2004年に公開された映画「スウィングガールズ」の舞台と言えば、「ああ、あそこ!」と思い出す人も多いのではないでしょうか。

鉄道ファンとしては、東海道線から移設された日本最古の橋梁や駅舎内に囲炉裏のある木造の羽前成田駅など、歴史的建造物が注目ポイントです。また、宮内駅ではウサギ駅長のもっちぃが勤務中。各種グッズ類も充実しているため、動物好きの方にも楽しんでいただけるはず。

路線名の「フラワー長井線」は沿線に、古典桜やあやめ、ダリヤ、紅花など花の名所が多いことに由来しており、沿線市町の花がデザインされている車両もあります。

2日目 参拝?登山?ハード観光ののち、「ずんだ」の甘さにほっこり


モデルルート
9:45発

山形駅

  • 仙山線 快速 仙台行 都市間輸送なのに絶景!
10:01着

山寺駅

  • ちょっとしたハイキングの先に広がるビュースポット
13:16発

山寺駅

  • 仙山線 仙台行
14:17着

仙台駅

  • 人気の味「ずんだシェイク」をいただく
15:00発

仙台駅

  • 東北本線 福島行
15:27着

槻木(つきのき)駅 ※乗り換え

15:33発

槻木駅

  • 阿武隈急行 丸森行
15:55着

丸森駅 ※乗り換え

16:05発

丸森駅

  • 阿武隈急行 梁川行
16:25着

梁川駅 ※乗り換え

16:46発

梁川駅

  • 阿武隈急行 福島行
17:17着

福島駅 ※乗り換え

17:51発

福島駅

  • 東北新幹線 やまびこ152号 東京行(特急券別料金)
19:28着

東京駅

  • 乗車日によっては発着時刻が異なる場合があります。事前にご確認の上、お出かけください。

都市間輸送路線かと思いきや!奥羽山脈を横断、渓谷美を楽しめる仙山線


仙山線

運行区間:羽前千歳駅~仙台駅

仙山線は、宮城県の仙台市と山形県の山形市という、県庁所在地を結ぶ路線です。これだけ聞くと、なんとなく街中を走り抜ける、あまり面白味のない都市間輸送路線としての印象を抱きがちですが、まったく逆です。

列車は山形駅を出て、山寺駅を過ぎたあたりから急こう配を登り、仙山トンネルで山形県と宮城県の県境を越えていきます。実はここ、奥羽山脈を横断する地形で難所として有名です。しかし難所であればあるほど景色はいいもので、宮城県に入って以降、広瀬川沿いの美しい渓谷を見せながら、列車は下っていきます。夏であれば、山の木々が織りなす青い景色に爽やかな涼を得られること間違いなしです。全長58キロと路線は短めで、また運行本数も比較的多めであることから、手軽に絶景を楽しめる路線ともいえます。

車両はセミクロスシートのE721系です。旅気分を高めるならクロスシートを選びましょう。また絶景を楽しむうえでおすすめなのは、進行方向左側の座席です。

スポット1:<山寺>松尾芭蕉も詠んだ古刹で、絶景を感じる


山形方面から仙台方面へとJR仙山線の旅を続けていると、車窓の山中に見えてくるのが「山寺」。正式名称「宝珠山立石寺」といい、860(貞観2)年に清和天皇の勅願によって慈覚大師が開いた、天台宗のお山です。松尾芭蕉が「閑さや巌にしみ入る蝉の声」を詠んだ地としても知られています。

山寺の入り口に「登山口」と書かれている通り、一通り参拝して開山堂、納経堂まで至ると全1,015段の石段を上ることになり、往復の所要時間は約1時間30分。歩き慣れた靴で訪れましょう。登りきれば随一の絶景が楽しめ、眼下には先ほどまで乗っていた仙山線の線路も見えます。


山寺(宝珠山立石寺)

住所 山形県山形市山寺4456-1
問い合わせ先 023-695-2816(山寺観光協会)
時間 8:00~17:00(季節によって変更あり)
定休日 なし
交通アクセス JR山寺駅から徒歩10分
値段 入山料/大人:300円
URL https://www.yamaderakankou.com/

ご当地グルメ:<ずんだシェイク>新味覚に納得。圧倒的な人気の「ずんだ」洋菓子体験


ずんだシェイク

ゆでた枝豆をすりつぶし砂糖をからめ、お餅に和えた「ずんだ餅」は、仙台の伝統の味です。ずんだは和菓子だけでなく、洋菓子でも使われるようになりましたが、そのなかで圧倒的人気を誇るのが「ずんだシェイク」です。バニラテイストのなかに「ずんだ」がブレンドされた、ずんだ茶寮オリジナルの味わいが楽しめます。また、「ずんだ」ならではのつぶつぶ食感もポイントです。枝豆を丸ごと使っているから栄養価も高く、健康が気になる方にもおすすめ!


ずんだ茶寮(仙台駅ずんだ小径店)

住所 宮城県仙台市青葉区中央1-1-1仙台駅3階
問い合わせ先 022-715-1081
時間 10:00~20:00、喫茶11:00~18:00(ラストオーダー)
定休日 なし
交通アクセス JR仙台駅すぐ
値段 ずんだ茶寮ずんだシェイク(R)レギュラー330円(税込)
URL https://zundasaryo.com/

各駅のキャッチフレーズが気になる!「あぶきゅう」


阿武隈急行鉄道

阿武隈急行線

運行区間:阿武隈急行線 槻木駅~福島駅

初日の山形鉄道に続いて乗車する三セクは、宮城県の槻木駅から福島県の福島駅までを結ぶ阿武隈急行です。地元では「あぶきゅう」と呼ばれて親しまれている路線で、名前のとおり、阿武隈川と並走するように線路が敷かれています。特に悠々とした川の流れが楽しめるのは、丸森駅から梁川駅にかけて。またそれ以外の区間は阿武隈川から少し離れているものの、阿武隈川に注ぎ込む河川をいくつも越えていきます。

阿武隈急行に乗車したらぜひ注目してもらいたいのは、各駅のキャッチフレーズ。今でこそサブ駅名のようなものを付けているところは多くなりましたが、おそらく阿武隈急行がその先駆けではないでしょうか。各駅の特徴、個性をあらわすキャッチフレーズが駅名標に、また車内のアナウンスでも流れます。個人的に印象深く残っているのは保原駅のキャッチフレーズ「ファッションニットの町」です。乗車中に「え?どういうことだ?」と思わず調べ、沿線への理解が深まった気がします。


運賃料金参考

合計13820円:東京駅→赤湯駅(5720円)、赤湯駅→荒砥駅(760円)、山形駅→槻木駅(1520円)、槻木駅→福島駅(980円)、福島駅→東京駅(4,840円)

週末パスなら、4,940円もおトク!

  • 新幹線利用の際は別途特急料金が必要です。
  • 今回紹介したモデルルートで利用する路線の一例です。他の路線を利用した場合や、乗り方によっては料金が異なります。

JRのおトクなきっぷ「週末パス」

JR線に加え、14の鉄道会社線の普通列車(快速含む)普通車自由席が連続する土休日2日間乗り放題になるきっぷです。別途特急券を購入することで新幹線や特急列車にも乗車できます。

  • 購入は利用日の前日まで。
  • 2021年8月10日~19日、12月28日~2022年1月6日の期間は利用できません。

週末パスフリーエリア図


「週末パス」発売期間・利用期間・有効期間・うりば

発売期間:2022年3月25日(金)まで

利用期間:2022年3月27日(日)までの土曜・休日

有効期間:2日間

うりば:フリーエリア内のJR東日本の〈主な駅のみどりの窓口・びゅうプラザ・提携販売センター〉および主な旅行会社

  • 日曜(2021年8月8日、9月19日、2022年1月9日、3月20日を除く)が利用開始日となる設定はありません。

詳細はこちら

東北ならではの鉄道旅行体験、列車旅の面白さとは?


セミクロスシート

今回は紹介してないのですが、東北旅の魅力のひとつには個性豊かな駅弁があります。たとえば仙台なら紐を引っ張るだけで暖かくなる「牛タン弁当」、それに米沢駅の「牛肉どまん中」、また郡山駅の「海苔のりべん」も捨てがたい! オールクロスとまではいかずとも、セミクロスシートの普通列車が比較的あちこちで運行しているので、空いているときはこれら駅弁を車内でいただいたこともありました。

また、今回のモデルコースのなかで赤湯温泉に立ち寄っているように、道中に「日帰り入浴」が組み込める点も魅力です。「週末パス」の範囲を外れますが、JR北上線のほっとゆだ駅、秋田内陸縦貫鉄道の阿仁前田温泉駅などは、駅舎に温泉が併設されており、早風呂に自信のある方なら1時間確保しておくだけで十分に温まることができます。

また、今は少し難しいのですが……当方調べでは、東北の鉄道車内では比較的地元の方から話しかけてもらえる機会が多いように感じます。「どこから来たの?」「どこへ行くの?」そんな一期一会のやり取りが、実は景色より食べ物よりも旅の想い出を豊かにしてくれるのではないでしょうか。


著者紹介

蜂谷あす美

旅の文筆家。福井県福井市出身。慶應義塾大学卒業後、出版社勤務を経て、現在に至る。「旅は再訪のための下見」をモットーに、2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅を中心としたエッセイや紀行文などを数多く執筆しているほか、ご当地牛乳にほれ込み牛乳の連載も経験あり。最近はラジオをはじめ、トークでも活躍。著書『女性のための鉄道旅行入門』『もっとお得にきっぷを買うアドバイス50』(ともに天夢人)

オフィシャルHP
Twitter

  • 写真協力:一般社団法人郡山市観光協会、特定非営利活動法人南陽市観光協会、山形鉄道株式会社、山寺観光協会、株式会社菓匠三全、阿武隈急行株式会社、交通新聞クリエイト、PIXTA
  • 掲載されているデータは2021年7月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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