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2024.12.17ジパング俱楽部東京・西荻窪で買える!新年を祝うフランスの伝統菓子「ガレット・デ・ロワ」|現地発!おすすめ旅ネタ情報

現地発・おすすめ旅ネタ情報

このコーナーでは、旅好きライター・観光ナビゲーターが、ご当地ならではのおすすめスポットや旅ネタ情報をお届けします。

今回紹介するのは、フランスの伝統菓子「ガレット・デ・ロワ」についてです。

陶器のフェーブも楽しい「ガレット・デ・ロワ」

フランスで新年を祝う伝統的なお菓子として知られる「ガレット・デ・ロワ」。

日本でも近年、多くの店で見かけるようになってきましたが、まだ食べたことのない方はぜひ今シーズン挑戦してみてはいかがでしょう。だって、とってもおいしくて楽しいお菓子なんですから。

ガレット・デ・ロワって何?


フランスでは、キリスト教の祝日「エピファニー(公現祭)」に食べられるもので、1月6日の当日はもちろん、12月末頃から1月にかけて、街のパティスリーやベーカリーではたくさんのガレット・デ・ロワが店頭に並びます。

ガレット・デ・ロワは「王様のガレット」という意味で、王様というのはイエス・キリストの誕生を祝って訪れた「東方の三博士(三賢王)」のこと。その日はキリストが公に現われた日“公現祭”となり、ガレット・デ・ロワはその象徴となるお菓子なのです。

ガレット・デ・ロワは折り込みパイの中にアーモンドクリームを挟んだ焼き菓子で、表面には美しい飾り包丁を入れるのが特徴。シンプルな作りだけに素材のおいしさがダイレクトに伝わってきて、うちの食いしん坊の息子いわく「ケーキの中で一番おいしい!」というお菓子です。

ガレットの中にはフェーブという陶器の人形が入っていて、切り分けた中にフェーブの入っていた人がその日の王様、王妃様。祝福を受け、1年間を幸福に過ごせるといわれています。フェーブとは空豆のことで、かつては本当に豆が隠されていたそうです。今では店によって工夫を凝らしたものが作られ、そのコレクターもいるほど。人形だけでなく、動物やスイーツ、おうちや食器などかわいらしいものがたくさん作られているので、思わず集めたくなるのも納得です。

ちなみにフランスでは、ガレット・デ・ロワは1年に1個ではなく、1カ月ほどのシーズンの間に何個も食べる人も。フェーブを集めることも目的なのですが、おいしくてペロッと食べられてしまうからでしょうか。

今回は、最近とくにおいしい菓子店が増えている西荻窪で、ガレット・デ・ロワを販売する2つの店をご紹介します。

脇道散歩で見つけたお菓子工房「atelière」

2022年1月にオープンした「atelière(アトリエール)」は、善福寺公園からひとつ道筋を入った場所にあるかわいらしい店。

「偶然通りかかって見つけた、と言って来てくださる方が多いんです」と店主の山野亜希子さんはいいます。しかも店の営業日が週2、3回なので、地元民でいつもおいしい店はないか探し回っている私でも、1年以上気づかなかったほどです。


白が基調のかわいらしい店。見逃さないで 白が基調のかわいらしい店。見逃さないで

定番の焼き菓子の他、マロンやゆずなど季節のお菓子も 定番の焼き菓子の他、マロンやゆずなど季節のお菓子も

この店は、世田谷でお菓子教室や通信販売をしていた山野さんが、「自分の工房を持ってお店を開きたい」と何年もかかって物件を探して実現したもの。開店前に店の前に立つと、ふわ~んと焼き菓子のおいしそうな匂いがしてきます。

やさしい白が基調の店内には、たくさんのクッキーやサブレなどの焼き菓子がかわいらしく整列しています。「おひとりで作っているのに種類が多いですね」と尋ねると、「これでも減らしたんですよね。いろいろ作りたいんですが、一つひとつに手をかけたいこともあって」とのこと。オートミールクッキー、クランベリー&クルミビスコッティ、ブール・ド・ネージュ、チーズバトン……、どれにしようかな、と迷うこと必至です。


毎年大人気の「ガレット・デ・ロワ」。とくに店頭受取はお早めに予約を。サイズは直径約17センチで6~8人用、3890円 毎年大人気の「ガレット・デ・ロワ」。とくに店頭受取はお早めに予約を。サイズは直径約17センチで6~8人用、3890円

「アトリエール」のガレット・デ・ロワは、山野さんオリジナルのレシピで、クリスマスが終わるとすぐに生地を寝かせ始めて10日ぐらいかけて作るもの。食べるときにボロボロにならないように、また切りやすいように工夫が施されていて、ザクザクとした食感が特徴です。

フェーブは陶芸家の友人に特注しているもので、干支やおうち、恐竜、ブック型などさまざま。毎年違ったものが作られるので、今シーズンのものをお楽しみに。


毎年10種類ほどの個性的なフェーブが用意されます 毎年10種類ほどの個性的なフェーブが用意されます

お茶の時間を楽しめるように店主が選んだ食器や雑貨も販売 お茶の時間を楽しめるように店主が選んだ食器や雑貨も販売

フェーブを作ってくれる陶芸家さん作のコーヒーカップ フェーブを作ってくれる陶芸家さん作のコーヒーカップ

山野さんにお話を聞いている間にも、次々とご近所の方が通りかかって手を振っていきます。

「お菓子は人を元気づけてくれる」という山野さん。その温かさに町の人たちは引き寄せられ、店も町に自然に溶け込んでいるのだなあと感じました。


atelière

問い合わせ先 公式LINE
時間 金曜15時~19時・土曜12時~18時 ※2024年12月24日12~18時は営業
交通アクセス 中央本線西荻窪駅から徒歩約15分
URL https://ateliere.info/
  • お店は1月中はガレット・デ・ロワに専念するため営業はクローズ。1月末か2月ぐらいから営業を再開し、金曜~日曜の週3回、開店する予定。詳しくはホームページInstagram参照
  • ガレット・デ・ロワの予約受付は2025年1月5日~(配送、店頭受け渡し共に数回に分けて受付)。配送は2025年1月10日~順次発送。店頭受け渡しは2025年1月8日~
  • 公式LINEはこちら

フランス仕込みのガレットを堪能「Patisserie Leslines」

西荻窪駅北口からほど近い「Patisserie Leslines(パティスリーレリアン)」は、パリの街角にあるようなしゃれたターコイズブルーの外観が目を引く店。

オーナーシェフの松島啓介さんは、「シェ・松尾」の製菓部門で勤務後、フランス各地で2年間修業し、帰国後は「ジャン=ポール・エヴァン」などいくつもの名店で実績を積んできました。2018年10月に、西荻窪に自身の店をオープン。


たくさんの出会いによって生まれた店名の由来は“Lien(つながり)”と“Line(線)”から たくさんの出会いによって生まれた店名の由来は“Lien(つながり)”と“Line(線)”から

目にも美しいプチガトー 目にも美しいプチガトー

「フランスでのガレット・デ・ロワの思い出は、年末年始にものすごい量のガレットを作ったこと。1日50台作ったり、サイズも1人用~何十人用と幅広いんです。食べ歩きもいろいろなお店でしましたね」と松島さん。


レイエと呼ばれる飾り包丁も美しい。サイズは直径約18センチで5~6人用、ナチュール3200円(写真)、ショコラマロン3400円 レイエと呼ばれる飾り包丁も美しい。サイズは直径約18センチで5~6人用、ナチュール3200円(写真)、ショコラマロン3400円

フランス仕込みの松島さんのガレット・デ・ロワは、バターで生地を包むアンベルセという技法を使った本格的な自家製パイ。

今シーズンのフレーバーは2種類で、塩味(えんみ)が効いたパイ生地が特徴の「ナチュール」と、チョコのパイ生地の中にイタリア産のマロンコンフィと刻みチョコを入れたアーモンドクリームを挟んだ「ショコラマロン」。素材の味が生きたナチュール、贅沢な風味が味わえるショコラマロン、どっちにするか迷ってしまいます。


「世界旅行」をテーマにした12種類のフェーブのほか、特別なフェーブも 「世界旅行」をテーマにした12種類のフェーブのほか、特別なフェーブも

今シーズンのフェーブは「世界旅行」がテーマ。

ロンドンバスやイタリアのスクーター、ロケットなどのかわいい乗り物のほか、ショコラマロンには特別なフェーブが入っていることも……! 

店舗にはほかにも、色とりどりの美しいプチガトー、贈り物にも喜ばれる焼き菓子など30種類以上のケーキが並び、目を楽しませてくれます。

「プラリネ(ローストしたナッツを煮詰めてキャラメリゼした砂糖でコーティングしたり、砕いてペースト状にしたもの)ひとつとっても、自分の手で作ると香ばしさがまったく違います。これからも素材に向き合って、自分の手で確かめた味を作っていきたい」と松島さん。素材の大切さを追求した松島さんの旅は、まだまだ終わりそうにありません。


焼き菓子、コンフィチュール、チョコレート製品など多彩な品揃えも魅力 焼き菓子、コンフィチュール、チョコレート製品など多彩な品揃えも魅力


Patisserie Leslines

問い合わせ先 03-5303-9225
時間 11~19時(4~9月は~18時)
定休日 水・木曜
交通アクセス 中央本線西荻窪駅から徒歩約4分
URL https://www.leslines.com/
  • ガレット・デ・ロワの販売は、2024年12月28日~2025年1月14日(予定)に店頭で販売
  • Instagramはこちら

最後に

日本でも少しずつ存在感を増しているフランスのお菓子。みなさんのおうちの近くにも、ガレット・デ・ロワを作る店ができているかもしれません。

食べたことがある方もない方も、今シーズンはぜひガレット・デ・ロワで新しい年と幸せな一年を祝ってみてはいかがでしょうか。


この記事を書いた人

綿谷朗子(わたやあきこ)

美術館と食べものを愛するフリーライター。
縁あって4年間暮らしたフランスでも、ほぼ食べものと美術館に時間を費やす。
旅のスケジュールを立てるのが大好きで、ついつい予定を盛り込み過ぎるが、列車に乗って車窓を眺めるのが息抜きの時間。東京都在住。

  • 記事中の情報は2024年12月時点のものです。
  • 写真はすべてイメージです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。