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2026.08.17ジパング俱楽部湯とこけしに癒やされる鳴子温泉へ。今春オープンした「こけしや茜」でこけしの魅力に触れる|現地発!おすすめ旅ネタ情報

現地発・おすすめ旅ネタ情報

このコーナーでは、旅好きライター・観光ナビゲーターが、ご当地ならではのおすすめスポットや旅ネタ情報をお届けします。

今回紹介するのは、宮城県大崎市・鳴子(なるこ)温泉にある「こけしや茜(あかね)」についてです。

きっかけはひとり旅! 移住者が3年の修業を経て、こけし工房を開業

宮城県大崎市

宮城県北西部の里山に湧く鳴子温泉郷は、1000年以上の歴史を持つ名湯。鳴子温泉、東鳴子温泉、川渡(かわたび)温泉、中山平(なかやまだいら)温泉、鬼首(おにこうべ)温泉の5つの温泉地で構成されており、日本にある10種類の泉質のうちの7種類が湧き出す、まさに“湯の王国”です。

なかでも鳴子温泉は、鳴子温泉駅を降りるとすぐ目の前が温泉街というアクセスのよさで人気。温泉だけでなく伝統こけしの最大産地としても知られ、こけし工房をはじめ、こけしポストやこけしマンホールなどのこけしスポットが点在しています。


駅からすぐの「鳴子温泉ゆめぐり広場」。無料の手湯施設があります 駅からすぐの「鳴子温泉ゆめぐり広場」。無料の手湯施設があります


町のあちらこちらにこけしスポットが 町のあちらこちらにこけしスポットが

こけしが描かれたマンホール こけしが描かれたマンホール

こけしの郵便ポスト こけしの郵便ポスト

伝統こけしは主に東北6県で作られ、鳴子系や宮城県の遠刈田(とおがった)系、福島県の土湯(つちゆ)系など、産地ごとに全部で12系統に分類されています。
鳴子系のこけしは、江戸時代末期頃にお椀やお盆などの木製品を製作する木地師たちがこどもの玩具として作り、与えたのが始まりといわれ、しだいに湯治客向けのおみやげとして定着していきました。

昭和に入ると、2度のこけしブームが到来。2010年頃からの第3次こけしブームでは、小寸のかわいいこけしを収集する「こけ女」と呼ばれる女性ファンが急増したほか、近年は日本の伝統工芸品が改めて海外で評価され、訪日観光客のおみやげとしても高い人気を集めています。

木の仕入れから絵付けまで、すべてひとりで行ない製作

鳴子温泉街にこの春、新たなこけし工房「こけしや茜」がオープンしました。鳴子温泉駅から歩いて4分ほどの場所にあり、愛らしいこけしの絵が描かれたシャッターが目印です。


2025年に閉店した衣料品店があった場所にオープン 2025年に閉店した衣料品店があった場所にオープン

店内には鳴子の伝統的な技法・模様を継承した伝統こけしや、自由な発想と表現で作られた創作こけしが並んでいます。
「鳴子のこけしは頭を回すと、きゅっきゅっと音が鳴るのが最大の特徴です。顔と胴のパーツが別々にできていて、ロクロの回転と摩擦熱を利用してはめ込んでいるんですよ」と説明してくれるのは、こけし工人の渡辺あかねさん。

伝統こけしの作り手は“工人”と呼ばれ、材料となるミズキの木の仕入れから乾燥、頭や胴の形状にしていくロクロ挽(ひ)き、首を胴にはめ込む首入れ、細い筆を走らせて描く絵付け、そして仕上げのろう挽きまで、すべてひとりで行なうといいます。


師匠から技術を継承して作られた鳴子伝統こけし 師匠から技術を継承して作られた鳴子伝統こけし

珍しいツバキの木を使った創作こけしが販売されることも 珍しいツバキの木を使った創作こけしが販売されることも

伝統こけしは胴に菊模様が、頭部に御所人形に似た前髪と水引きと呼ばれる赤い髪飾りが描かれ、雅な印象。塗料は墨と食紅を使用しているので、害がなく、こどもが触れても安心なんだとか。上まぶただけの目と、まるっとした鼻があどけない表情を作り出していて、その何ともいえないかわいらしさに思わず引き込まれます。

「伝統こけしは、私の師匠である岡崎靖男型や、『こけしの岡仁』の創業者の岡崎斉吉型を継承しています。1年後はもっと洗練されたこけしを作っていると思うので、この粗削りな感じのこけしは今しか買えないですよ(笑)」と渡辺さん。並べられたこけしは一見同じように見えても、よく見てみると木地や表情がほんの少しずつ違っていて、手作りだからこその味わいが感じられます。

一方、創作こけしはいくつか種類があり、その時々で置いている商品が変わるのだそう。いずれも伝統こけしと比べると小さめのサイズなので生活に取り込みやすく、人気商品になっています。

キャリア50年以上のこけし工人から伝統技術を受け継ぐ

20代という若さで店主となった渡辺さん。そのきっかけを伺うと、家業を継いだわけではなく、以前は鳴子にもこけしにも縁はありませんでした。こけしとの出合いは大学時代のひとり旅で、「鳴子峡の秋の美しい景色を見てみたいと思って鳴子温泉へ行きました。その時におみやげで小さなこけしを購入したのですが、机に置いていたらじわじわと愛着が湧いてきたんですよ」と振り返ります。

大学卒業後は地元の千葉県で就職していましたが、こけし工人の後継者が育たず廃業に追い込まれた店があることを知り、こけしの作り手に興味を持つようになったそうです。

大崎市によると、最盛期の昭和40~50年代には100人ほどいた鳴子のこけし工人が、近年は20数人まで減少。その危機感から同市は伝統鳴子こけしの継承をテーマにした「大崎市地域おこし協力隊」を募集し、それに応募したひとりが渡辺さんでした。

みごと採用されて移住し、「こけしの岡仁」の店主でキャリア50年以上のこけし工人・岡崎靖男さんに弟子入り。こけし作りの技術を学ぶ3年間の修業を経て、2026年4月29日に自身の店を開業しました。

店内にはロクロが設置されているので、タイミングが合えば、その習得したこけし作りの実演を見学することができます。「見るだけでなく、こけしの絵付け体験も楽しいですよ。現在当店では行なっていませんが、ここから徒歩約2分のところにある師匠の店では絵付け体験ができますよ」と渡辺さん。


店内に設置されたロクロ台。木地を削るカンナ棒も自身で製作 店内に設置されたロクロ台。木地を削るカンナ棒も自身で製作

「こけしの岡仁」では岡崎靖男工人が製作したこけしの販売や、こけしの絵付け体験のほか、渡辺さんが修業時代に作ったこけしも展示されているので、こちらにも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

ほかにも鳴子温泉街にはこけし工房が点在しており、現在全16店舗あるそうです。鳴子系こけしといっても多種多様で、作る工人によって顔や胴の模様が異なります。1軒1軒ゆっくりめぐりながら、お気に入りのこけしを見つけるのも一興でしょう。


外国人ファンも多いという岡崎靖男工人のこけしが並ぶ「こけしの岡仁」 外国人ファンも多いという岡崎靖男工人のこけしが並ぶ「こけしの岡仁」

「こけしの岡仁」には渡辺さんが師匠ご夫妻へプレゼントした渾身のこけしも展示 「こけしの岡仁」には渡辺さんが師匠ご夫妻へプレゼントした渾身のこけしも展示

また、2026年9月5・6日には「第71回全国こけし祭り」が「大崎市鳴子総合支所(鳴子公民館)」で開催されます。さまざまな系統のこけし工人が集結し、こけしの展示・販売や製作実演をします。


朝から行列ができる「全国こけし祭り」のこけし販売会(写真/大崎市) 朝から行列ができる「全国こけし祭り」のこけし販売会(写真/大崎市)

こけし工人によるこけしの製作実演は見逃せません(写真/大崎市) こけし工人によるこけしの製作実演は見逃せません(写真/大崎市)

伝統こけしを模したかわいらしい張りぼてこけしが温泉街を練り歩く「フェスティバルパレード」は必見。この機会にこけしの世界に飛び込んでみるのもおすすめです!


「フェスティバルパレード」では人気の張りぼてこけしが登場(写真/大崎市) 「フェスティバルパレード」では人気の張りぼてこけしが登場(写真/大崎市)

渡辺さんもおすすめの鳴子峡の紅葉。見頃は例年10月下旬~11月上旬(写真/大崎市) 渡辺さんもおすすめの鳴子峡の紅葉。見頃は例年10月下旬~11月上旬(写真/大崎市)


こけしや茜

問い合わせ先 050-8885-3426
時間 10~17時(午後のみ営業の日もあり)
定休日 火・水曜、不定休あり
交通アクセス 陸羽東(りくうとう)線鳴子温泉駅から徒歩約4分
URL https://kokeshiya-akane.com/

この記事を書いた人

ハセガワアヤ

温泉と神社仏閣めぐりが好きなフリーライター。鳴子温泉を訪れたことがきっかけで、こけしに興味を持つ。最近は鳴子系こけしだけでなく、渡辺忠雄工人や笹原綾工人が作る土湯系こけしや、平賀輝幸工人が作る作並(さくなみ)系こけしも“推しこけし”に。

  • 記事中の情報は2026年8月時点のものです。
  • 写真はすべてイメージです。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。