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2022.11.22鉄道西九州の新しい観光列車「ふたつ星4047」、その魅力を鉄道写真家・村上悠太が乗車レポート

午前便・午後便でルートが異なる「ふたつ星4047」を徹底解剖

西九州新幹線の開業で盛り上がる佐賀、長崎エリアに新しいD&S列車が誕生しました!今度の列車のテーマは「西九州の海めぐり列車」。佐賀県と長崎県という“ふたつの星”を繋ぐ「ふたつ星4047」、出発です!


特急かもめが行き交った有明海沿いの長崎本線を走る「ふたつ星4047」(午前便)

西九州の海めぐり列車「ふたつ星4047」

今回登場した新しいD&S列車「ふたつ星4047」(ふたつぼしよんまるよんなな)は、西九州新幹線のまわりを取り囲むように、主に長崎本線と大村線を走る観光列車です。武雄温泉発となる「午前便」は長崎本線を経由して南下し、長崎を目指します。一方、長崎発となる「午後便」は大村線を経由して北上し、武雄温泉に向かいます。また、両便とも喜々津〜浦上間は風光明媚な通称「旧線」と呼ばれている、長与経由で運行されます。


長崎駅で出発を待つ「ふたつ星4047」。青い海に映える白い浜を連想させるパールホワイトとチタン製のゴールドラインが目を引くデザイン


車体に取り付けられたエンブレム


車両形式の末尾4ケタは3両とも「4047」になっている

列車は3両編成で全車指定席の特急列車です。特急といってもD&S列車なので先を急ぐことなく、車窓や途中駅での地域の方々のおもてなしを楽しみながらゆっくりと目的地を目指して走っていきます。また途中停車駅での乗車下車も可能で、自身の旅のスケジュールに合わせて乗車できるのも嬉しいポイントです。

いざ、「ふたつ星4047」に乗車!

座席は全部で4種類。好みに合わせて、選べる楽しさ

車内はリクライニングシートのほか、1人掛けのカウンター席、窓方向を向いた2人掛けのソファ席、3〜4人で利用できるBOX席があり「選ぶ楽しみ」ももりだくさん!座席のある乗車スペースとなるのは1、3号車で、それぞれ車内デザインも若干異なっています。


1号車指定席の車内 リクライニングシートが並ぶ


3人以上で使用できるBOX席 


2人掛けのソファ席(1号車、3号車)

1人掛けのカウンター席(3号車) 

  • いずれの座席も駅のみどりの窓口で予約可能

沿線の名産品が楽しめる「ラウンジ40」に潜入!

そして、2号車はこの列車最大の特徴とも言えるフリースペース「ラウンジ40(よんまる)」!
乗客であればだれでも自由に使えるラウンジで、列車内とは思えないようなテーブルやソファが並びます。また、大型モニターも設置されており、沿線の観光案内や文化などの映像が流れています。


2号車は1両まるまるがフリースペースとなっている「ラウンジ40」


僕のおすすめはズバリ、有明海産佐賀海苔「焼のりプレミアム」!海苔の概念が変わる、孤高の一品

沿線ゆかりのおいしいものがたくさん

また、ラウンジ40には沿線のおいしいものを集めたビュッフェも!D&S列車といえばやっぱり車内で楽しむ飲食メニューは見逃せません。
「ふたつ星4047」では大型のショーケースだけでなく、名酒が集まる佐賀、長崎エリアを走ることからなんと日本酒専用のサーバーまで完備。飲み過ぎには注意が必要ですが、沿線の絶景を眺めながらついついお酒が進んでしまいそうです…!


D&S列車で初搭載となった日本酒サーバー

クラフトジンやふたつ星4047専用茶畑で収穫した茶葉のみを使用した、うれしの茶などがラインナップ

時間によって変わる景色を楽しもう

さて、そんな「ふたつ星4047」ですが、午前便と午後便で2つの性格の異なる海車窓を楽しむことができます。午前便は日本一の干満比を誇る有明海、午後便では波静かで「琴の海」とも呼ばれる大村湾が車窓の主役を飾ります。午前便はA席(ソファ席など一部席はD席)、午後便はD席(ソファ席など一部席はA席)が海側のシートになりますので、予約時にはぜひそちらをリクエストしてみましょう!
でも、もし反対側しか空いてなくてもご安心を。先述の「ラウンジ40」に行けば十分に車窓を楽しむことが可能です。また、午前便は諫早〜浦上間の長崎本線旧線区間では、D席が海側になります。


波穏やかな「琴の海」大村湾沿いの車窓

お弁当&スイーツはぜひ事前にチェックを!

ほかにも事前に予約することで味わえるスペシャルなメニューも!
ちょうどランチタイムに走行する午前便では武雄温泉駅にある「カイロ堂」が手がけるオリジナルの2種類のお弁当が味わえます。どちらも佐賀牛を使用したお弁当で、有明海の海苔と佐賀牛のローストビーフなどが入ったちょっとリッチな二段重の「特製 ふたつ星弁当」(2520円)とすき焼き風に味付けされた佐賀牛が乗った「4047弁当」(1440円)が用意されています。
おすすめはやはり「特製 ふたつ星弁当」!佐賀牛をおもいっきり堪能できるだけでなく、荒くおろした大根の鬼おろしをつけていただく、ローストビーフはお弁当のクオリティーを超えています!!


午前便に乗るなら絶対予約したいカイロ堂の「特製ふたつ星弁当」

こちらも魅力満点の「4047弁当」

  • どちらも車内で受け取るので予約時に乗車駅と下車駅を明記しよう

午後便では長崎市内にある洋菓子店「ママン・ガトー」の人気メニュー「熱々スフレ」の車内販売アレンジバージョン「長崎スフレ」(900円)が楽しめます。
しかも!ラウンジ40内で焼き上げるため、熱々の出来立て!焼き上げている時間は車内にも甘い香りがほんのりと…。D&S列車で過ごす優雅な午後に最適な一品です。


車内で焼き上げる「長崎スフレ」見てください、このフワフワ感!!

停車駅や車内イベントで「ふたつ星4047」ならでは出会いが

ふたつ星4047の停車駅ではさまざまなおもてなしを実施。また、同じくD&S列車として九州中を周る「36ぷらす3」で好評な車内体験イベントも行われます。イベントの内容は「佐賀海苔の試食体験」(午前便)と「波佐見焼転写体験」(午後便)で、どちらも乗車後にラウンジ40で申し込みが必要です。


千綿駅ではしばしの途中下車が楽しめる。秋〜冬シーズンは夕日の時間帯だ

午後便では名物くじら焼きの販売も実施


午後便で体験できる「波佐見焼転写体験」(2500円)

先着で最大12名体験可能で千綿駅発車後約20分間実施される

出かけよう、西九州の海めぐりへ

午前便と午後便、どちらがおすすめ!?

さあ、そんな「ふたつ星4047」ですが、ずばり午前便と午後便、どっちに乗るのがおすすめでしょうか…。
これは非常に難しい問題なのですが、秋〜冬は大村線を走行している最中に大村湾に沈む夕日を見ることができるシーズンになります。一方で、午前便でしか味わえないカイロ堂のお弁当や体験イベント、そして肥前浜駅に併設されている日本酒BAR「HAMA BAR」での地酒の飲みくらべも魅力です。
正直なところ、どちらもおすすめなので、ぜひリピート乗車がおすすめです!西九州新幹線と「ふたつ星4047」を組み合わせれば、2つの新しい西九州の鉄道旅が満喫できる上、最速23分で長崎と武雄温泉を行き来できるので、「長崎までふたつ星を楽しんで、市内観光して、宿泊は武雄温泉や嬉野温泉にして、美肌の湯を堪能する!」みたいなプランも手軽に楽しめます。


西九州新幹線とともに誕生した新しいD&S列車で西九州を満喫しよう!

どこで予約できるの?

「ふたつ星4047」は全席指定の特急列車で、一部の席を除いてJR九州の「ネット予約」サービスが利用可能です。また、カイロ堂の2種類のお弁当(午前便)、ママン・ガトーの長崎スフレ(午後便)は公式サイト内から事前の予約が必要です。こちらは3営業日前までの予約が必要で、旅程が決まったら早めの予約がおすすめです。

さらに今なら期間限定で片道は西九州新幹線「かもめ」、片道は「ふたつ星4047」が利用できる「かもめぐるりんきっぷ」も販売中(追記:「かもめぐるりんきっぷ」は2023年3月31日で販売終了となりました)。博多発長崎着で大人9300円です。

新しい魅力満載の西九州、ぜひ訪れてみてくださいね!


「ふたつ星4047」についてもっとくわしく

特急「ふたつ星4047」ー 有明海や大村湾の風景を楽しめる観光列車。西九州の魅力と地域のおいしいものまで(THE列車)


著者紹介

村上 悠太

1987年鉄道発祥の地新橋生まれ、JRと同い年の鉄道写真家。
「鉄道ダイヤ情報」(交通新聞社発行)では「ユータアニキ」としてあらゆる現場で鉄道を支える「鉄道HERO」たちの取材を続ける。元々旅好きから写真を始めたので、乗り物に乗って旅をしながら写真を撮るのが大好き。

Twitter:https://twitter.com/yuta_murakami
Instagram:https://www.instagram.com/yuta_murakami/

  • 取材・撮影・文=村上悠太
  • 掲載されているデータは2022年10月現在のものです。
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