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2022.12.07鉄道特急「はまかぜ」・「かにカニはまかぜ」 -播但線を経由して香住駅・浜坂駅・鳥取駅に向かう特急列車 冬は山陰の味覚カニを味わいに(THE列車)

関西と山陰を播但線経由で結ぶ特急列車

大阪市や兵庫県南部の神戸市・明石市・姫路市と兵庫県の但馬(たじま)地方を結ぶ播但(ばんたん)線経由の特急列車が、大阪駅~香住駅・浜坂駅・鳥取駅間を結ぶ「はまかぜ」です。

また、冬のカニの季節に運転される臨時特急列車が「かにカニはまかぜ」です。

「はまかぜ」「かにカニはまかぜ」の基本情報

「はまかぜ」「かにカニはまかぜ」は大阪駅から姫路駅まで東海道本線・山陽本線を走り、姫路駅から進行方向を変え、播磨と但馬を結ぶ播但線に入ります。

和田山駅からは山陰本線に進み、天橋立・宮津方面の京都丹後鉄道が接続する豊岡駅に停車します。

次の停車駅となる城崎温泉駅は、1300年前に道智上人(どうちしょうにん)が開湯したという古湯の下車駅です。平安時代から歌に詠まれ、文豪・志賀直哉をはじめ多くの文人に愛された湯治場。趣の異なる七つの外湯があり、浴衣姿で外湯めぐりを楽しむ人たちで賑わっています。

冬になると、温泉に加えて名物であるカニも満喫することができます。


城崎温泉駅を出た列車は、竹野駅、佐津駅、香住駅と停車しますが、カニのシーズンともなれば味覚を求める人たちが下車します。香住駅を発車して鎧(よろい)駅を通過し、トンネルを抜ければ、列車は余部橋梁(あまるべきょうりょう)の上を走ります。

日本海と海岸線のパノラマ風景を車窓に渡り終えると、間もなく次の停車駅となる浜坂駅です。TVドラマ「夢千代日記」の舞台となった湯村温泉の下車駅で、「かにカニはまかぜ」の終着駅になります。

なお、「はまかぜ5・2号」の1往復は、この先の県境を越えて鳥取県に入り、日本最大の砂丘・鳥取砂丘で知られる県都の玄関口になる鳥取駅まで運転されます。

鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報

キハ189系特急用気動車


ステンレス製の車体に茜色の帯を側面窓回りに巻いた車両が、キハ189系特急用気動車です。先頭車両の正面にも茜色がアクセントしてデザインされ、精悍なスタイルとなっています。

最高速度は130km/hで、排気ガス中の窒素酸化物の排出量を低減させるエンジンを搭載しており、環境に配慮した気動車となっています。

基本が3両編成で、多客時などには2本連結して6両編成で使用されています。

普通車指定席(1・2号車)


3両編成の列車は全車が普通車指定席となります。各車両には、シートピッチが970mmの2人掛けリクライニングシートが配置され、ゆったりと利用することができます。

座席のモケットの色は深みのある赤色で、暖かく落ち着いた雰囲気を演出しています。

1号車は定員60名、2号車は定員56名で洋式トイレと男性用トイレが設置されています。なお、各車両の車端部座席には、大型テーブルとコンセントが用意されています。


普通車指定席(3号車)

3両編成の3号車(大阪駅発車時の最後部)には、バリアフリー対応の設備として車いす対応座席(4席)や車いす対応大型トイレ、授乳時などに利用できる多目的室が用意されています。

このほか、洗面所や男性用トイレが備わっています。車いす対応座席を含めて定員は40名になります。

なお、多客時には6両編成となる列車があり、3号車と6号車がバリアフリー対応車両となります。

特急「かにカニはまかぜ」

毎年、山陰のカニの季節(11月~3月)になると運転される臨時列車です。

12月は金・土・休日(年末を除く)に運転されますが、カニが旬を迎える1月5日~3月31日は毎日運転となります。城崎温泉・竹野・佐津・香住・浜坂の各駅に11時前後に到着しますので、昼食にカニ料理を味わうのに最適です。

また、復路の列車は現地を15時台に発車し、明石・神戸・三ノ宮・大阪の各駅に18時台に到着しますので、まさに日帰りでカニを堪能するのに便利な列車となります。

眼下に日本海の景観が広がる余部橋梁


山陰本線の車窓の見どころとして、鎧駅~餘部(あまるべ)駅間に架かる余部橋梁があります。かつては1912(明治45)年1月に完成した東洋随一の鋼トレッスル橋でしたが、2010年8月に現在の余部橋梁に建て替えられました。

橋の上からは日本海と美しい海岸線の風景が望め、しばし車窓に目が釘付けになります。

なお、旧余部鉄橋は3橋脚3スパンが展望施設「空の駅」として残され、日本海のパノラマ風景を楽しむことができます。

駅長おすすめ駅プラン「かにカニ日帰りエクスレス」

JRの往復特急列車普通車指定席に、カニ料理(昼食)がセットになったおトクな日帰りプランです。

北近畿(城崎温泉・但馬・丹後・若狭)、北陸、山陰エリアの選りすぐりの施設で、カニを満喫できるプランが用意されています。個室利用や温泉入浴、お土産など、各地で様々なお楽しみが用意されているのも魅力です。

なお、竹野・佐津・香住・浜坂エリアの利用では、帰りに城崎温泉駅での途中下車が可能になります。


列車情報

運転日 運転日/毎日 ※「かにカニはまかぜ」は毎年11月~3月のカニの季節に運転
運転区間 東海道本線・山陽本線・播但線・山陰本線 大阪駅~香住駅・浜坂駅・鳥取駅間
運転時刻 【1号】大阪駅9:38発→浜坂駅13:09着
【3号】大阪駅12:23発→香住駅15:32着
【5号】大阪駅18:04発→鳥取駅22:31着
【2号】鳥取駅6:00着→大阪駅10:01着
【4号】浜坂駅13:30発→大阪駅17:05着
【6号】香住駅16:52発→大阪駅20:05着
【かにカニはまかぜ・下り】大阪駅7:48発→浜坂駅11:33着
【かにカニはまかぜ・上り】浜坂駅15:11発→大阪駅18:51着

著者紹介

ミスターK(結解喜幸)

1953年、東京都出身。出版社勤務を経て旅行写真作家に。鉄道や時刻表のたのしさを知り尽くした鉄道の達人。現在は地酒とつまみを追い求める「飲み鉄」にはまっている。

  • 文/ミスターK(結解喜幸)
  • 写真/JR西日本、交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2022年12月1日現在のものです。
  • 運転日・運転区間等は変更となる場合があります。
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