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2023.02.07鉄道特急「ひたち」 -品川・東京・上野から水戸・日立・湯本・いわき・原ノ町・仙台を目指す。精悍なスタイルの特急列車(THE列車)

品川駅~いわき駅・仙台駅間を結ぶ常磐線の特急列車

東京といわき・仙台を常磐線経由で結ぶ速達タイプの特急列車が、E657系10両編成の「ひたち」です。

常磐線には上野駅~水戸駅間がノンストップ(朝・夜の一部列車は柏駅・土浦駅・友部駅に停車)となる「ひたち」のほか、上野駅~水戸駅間の主な駅に停車して「ひたち」を補完する、短・中距離の利用に便利な、品川駅・上野駅~土浦駅・勝田駅・高萩駅間の「ときわ」が運転されています。

下り列車は、上野駅発毎時0分(7~21時)が「ひたち」、毎時30分(7~22時)と22時・23時が「ときわ」になります。

特急「ひたち」の基本情報

品川駅を発車した列車は、東海道本線、東北本線を走って上野駅に到着します。かつて常磐線の特急列車は上野駅発着でしたが、品川駅発着となって利便性が向上しました。

上野駅からはノンストップ(一部列車は柏駅・土浦駅・友部駅に停車)で水戸駅へと向かいます。水戸駅で奥久慈(おくくじ)方面への水郡線、大洗(おおあらい)・鹿島神宮方面への鹿島臨海鉄道大洗鹿島線、次の勝田(かつた)駅では阿字ヶ浦(あじがうら)方面のひたちなか海浜鉄道湊線が接続しています。


太平洋の絶景が見渡せる日立駅、スパリゾートハワイアンズの最寄り駅となる湯本駅、夏井川渓谷・郡山方面の磐越東線が接続するいわき駅、右手車窓に時折見える太平洋を眺めながら原ノ町駅を過ぎると、列車は福島県から宮城県に入ります。

東北本線と合流すれば、間もなく終着の仙台駅に到着します。

鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報

E657系交直流特急形電車

2012年3月に常磐線のサービス向上を目指して登場したのが、精悍なスタイルのE657系交直流特急形電車です


車体の塗装は、やや赤みを帯びた白色をベースとしたもので、運転台と側面の窓周りに黒色、窓下に紅梅色の太い帯、裾部と前面の下部は薄紫色となっています。

「ひたち」「ときわ」ともに同一の10両編成で、5号車にグリーン車を連結しています。なお、E657系の最高速度は130km/hになります。

グリーン車(5号車)

10両編成の列車の5号車は、ゆとりある空間と落ち着いた雰囲気のグリーン車です。

シートピッチ1,160mmの大型リクライニングが2+2席で配置され、モケットには偕楽園(かいらくえん)にちなんだ梅の柄がデザインされています。


座席には大型テーブルとコンセントが備わり、車内のWi-Fiサービスを利用してパソコンをインターネットに接続することもできます。

また、5号車には車いす対応座席(普通車は6号車)と電動車いす対応の多目的トイレが設置されています。


普通車(1~4・6~10号車)

普通車には2+2席のリクライニングシートが配置されています。車内のWi-Fiサービスが利用でき、各座席にパソコン対応のテーブルとコンセントが備わっています。


普通車は全車指定席ですが、座席未指定の特急券にも対応した3色のランプが各座席の上に設置。赤いランプの点灯時は空席、黄色ランプはまもなく指定席特急券を持った人が来る、青色ランプは指定席特急券を持った人がいる、となります。

座席未指定券で乗車できますが、常に赤色ランプの座席に移動する必要がありますので、乗車前に駅のみどりの窓口で座席を指定するのが良いでしょう。

E653系「フレッシュひたち」塗装車


2013年3月まで常磐線の特急「フレッシュひたち」として活躍していたE653系の5色の塗装を、E657系5編成に再現してリバイバルカラー車として順次運転を開始しています。

車体には茨城県や福島県に因んだ5色のテーマカラーが施され、2026年春まで通常の塗装とともに「ひたち」「ときわ」に使用されます。

5色のカラーはそれぞれ、以下をテーマとしています。

  • 緑色:霞ケ浦と帆曳船(ほびきふね)
  • 紅色:梅と好文亭(こうぶんてい)
  • 黄色:ひたち海浜公園と水仙
  • 青色:塩屋埼(しおやさき)海岸と灯台
  • 橙色:袋田の滝と紅葉

水戸の偕楽園


金沢の兼六園、岡山の後楽園とともに日本三名園のひとつに数えられるのが、水戸の偕楽園です。

江戸時代の1842(天保13)年、水戸藩9代藩主の徳川斉昭(なりあき)によって造園された庭園で、約100品種3,000本の梅が植えられた梅の名所として知られています。早春にはかぐわしい梅の花が咲き誇り、毎年恒例の「水戸の梅まつり」が開催されます。

梅の見頃に合わせて臨時駅「偕楽園駅」が開設され、同駅着9時17分の「ひたち3号」から16時33分の普通列車まで、下りのすべての特急列車と普通列車が停車します。

  • 2023年は2月11日~3月26日の土曜・休日

目の前に海が広がる日立駅


目の前に青く輝く太平洋が広がる日立駅は、2011年に美しいガラス張りの駅舎に建て替えられました。

駅舎のデザインを監修したのは日立市出身の世界的な建築家・妹島和世(せじまかずよ)氏で、2012年に「グッドデザイン賞」、2014年には鉄道の国際デザインコンペティション「ブルネル賞」駅舎部門の優秀賞など、数多くの賞を受賞しています。

駅改札口付近や自由通路の東側先端の展望イベントホールから太平洋の美しい景観を存分に楽しめます。


太平洋が一望できる絶好のオーシャンビュースポットです

運転日 毎日運転(1日15往復)
運転区間

東海道本線・東北本線・常磐線 品川駅・上野駅~いわき駅・仙台駅間
※2023年3月18日から全列車品川駅発着

運転時刻 【1号】品川駅6:45発→いわき駅9:18着
【29号】品川駅20:45発→いわき駅23:19着
【2号】いわき駅5:53発→品川駅8:49着
※2023年3月18日から品川駅8:50着(土曜・休日は8:48着)
【30号】仙台駅18:02発→品川駅22:53着
※2023年3月18日から品川駅22:52着

※始発・最終列車の時刻を掲載

著者紹介

ミスターK(結解喜幸)

1953年、東京都出身。出版社勤務を経て旅行写真作家に。鉄道や時刻表のたのしさを知り尽くした鉄道の達人。現在は地酒とつまみを追い求める「飲み鉄」にはまっている。

  • 文/ミスターK(結解喜幸)
  • 写真/JR東日本、交通新聞クリエイト、茨城県(偕楽園)
  • 掲載されているデータは2023年2月1日現在のものです。
  • 運転日・運転区間等は変更となる場合があります。
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