品川駅~いわき駅・仙台駅間を結ぶ常磐線の特急列車
東京といわき・仙台を常磐線経由で結ぶ速達タイプの特急列車が、E657系10両編成の「ひたち」です。
常磐線には上野駅~水戸駅間がノンストップ(朝・夜の一部列車は柏駅・土浦駅・友部駅に停車)となる「ひたち」のほか、上野駅~水戸駅間の主な駅に停車して「ひたち」を補完する、短・中距離の利用に便利な、品川駅・上野駅~土浦駅・勝田駅・高萩駅間の「ときわ」が運転されています。
下り列車は、上野駅発毎時0分(7~21時)が「ひたち」、毎時30分(7~22時)と22時・23時が「ときわ」になります。
特急「ひたち」の基本情報
品川駅を発車した列車は、東海道本線、東北本線を走って上野駅に到着します。かつて常磐線の特急列車は上野駅発着でしたが、品川駅発着となって利便性が向上しました。
上野駅からはノンストップ(一部列車は柏駅・土浦駅・友部駅に停車)で水戸駅へと向かいます。水戸駅で奥久慈(おくくじ)方面への水郡線、大洗(おおあらい)・鹿島神宮方面への鹿島臨海鉄道大洗鹿島線、次の勝田(かつた)駅では阿字ヶ浦(あじがうら)方面のひたちなか海浜鉄道湊線が接続しています。
太平洋の絶景が見渡せる日立駅、スパリゾートハワイアンズの最寄り駅となる湯本駅、夏井川渓谷・郡山方面の磐越東線が接続するいわき駅、右手車窓に時折見える太平洋を眺めながら原ノ町駅を過ぎると、列車は福島県から宮城県に入ります。
東北本線と合流すれば、間もなく終着の仙台駅に到着します。
鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報
E657系交直流特急形電車
2012年3月に常磐線のサービス向上を目指して登場したのが、精悍なスタイルのE657系交直流特急形電車です
車体の塗装は、やや赤みを帯びた白色をベースとしたもので、運転台と側面の窓周りに黒色、窓下に紅梅色の太い帯、裾部と前面の下部は薄紫色となっています。
「ひたち」「ときわ」ともに同一の10両編成で、5号車にグリーン車を連結しています。なお、E657系の最高速度は130km/hになります。
グリーン車(5号車)
10両編成の列車の5号車は、ゆとりある空間と落ち着いた雰囲気のグリーン車です。
シートピッチ1,160mmの大型リクライニングが2+2席で配置され、モケットには偕楽園(かいらくえん)にちなんだ梅の柄がデザインされています。
座席には大型テーブルとコンセントが備わり、車内のWi-Fiサービスを利用してパソコンをインターネットに接続することもできます。
また、5号車には車いす対応座席(普通車は6号車)と電動車いす対応の多目的トイレが設置されています。
普通車(1~4・6~10号車)
普通車には2+2席のリクライニングシートが配置されています。車内のWi-Fiサービスが利用でき、各座席にパソコン対応のテーブルとコンセントが備わっています。
普通車は全車指定席ですが、座席未指定の特急券にも対応した3色のランプが各座席の上に設置。赤いランプの点灯時は空席、黄色ランプはまもなく指定席特急券を持った人が来る、青色ランプは指定席特急券を持った人がいる、となります。
座席未指定券で乗車できますが、常に赤色ランプの座席に移動する必要がありますので、乗車前に駅のみどりの窓口で座席を指定するのが良いでしょう。
E653系「フレッシュひたち」塗装車
2013年3月まで常磐線の特急「フレッシュひたち」として活躍していたE653系の5色の塗装を、E657系5編成に再現してリバイバルカラー車として順次運転を開始しています。
車体には茨城県や福島県に因んだ5色のテーマカラーが施され、2026年春まで通常の塗装とともに「ひたち」「ときわ」に使用されます。
5色のカラーはそれぞれ、以下をテーマとしています。
- 緑色:霞ケ浦と帆曳船(ほびきふね)
- 紅色:梅と好文亭(こうぶんてい)
- 黄色:ひたち海浜公園と水仙
- 青色:塩屋埼(しおやさき)海岸と灯台
- 橙色:袋田の滝と紅葉
水戸の偕楽園
金沢の兼六園、岡山の後楽園とともに日本三名園のひとつに数えられるのが、水戸の偕楽園です。
江戸時代の1842(天保13)年、水戸藩9代藩主の徳川斉昭(なりあき)によって造園された庭園で、約100品種3,000本の梅が植えられた梅の名所として知られています。早春にはかぐわしい梅の花が咲き誇り、毎年恒例の「水戸の梅まつり」が開催されます。
梅の見頃に合わせて臨時駅「偕楽園駅」が開設され、同駅着9時17分の「ひたち3号」から16時33分の普通列車まで、下りのすべての特急列車と普通列車が停車します。
- ※2023年は2月11日~3月26日の土曜・休日
目の前に海が広がる日立駅
目の前に青く輝く太平洋が広がる日立駅は、2011年に美しいガラス張りの駅舎に建て替えられました。
駅舎のデザインを監修したのは日立市出身の世界的な建築家・妹島和世(せじまかずよ)氏で、2012年に「グッドデザイン賞」、2014年には鉄道の国際デザインコンペティション「ブルネル賞」駅舎部門の優秀賞など、数多くの賞を受賞しています。
駅改札口付近や自由通路の東側先端の展望イベントホールから太平洋の美しい景観を存分に楽しめます。
運転日 | 毎日運転(1日15往復) |
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運転区間 |
東海道本線・東北本線・常磐線 品川駅・上野駅~いわき駅・仙台駅間 |
運転時刻 | 【1号】品川駅6:45発→いわき駅9:18着 【29号】品川駅20:45発→いわき駅23:19着 【2号】いわき駅5:53発→品川駅8:49着 ※2023年3月18日から品川駅8:50着(土曜・休日は8:48着) 【30号】仙台駅18:02発→品川駅22:53着 ※2023年3月18日から品川駅22:52着 ※始発・最終列車の時刻を掲載 |
著者紹介
- ※文/ミスターK(結解喜幸)
- ※写真/JR東日本、交通新聞クリエイト、茨城県(偕楽園)
- ※掲載されているデータは2023年2月1日現在のものです。
- ※運転日・運転区間等は変更となる場合があります。