トレたび JRグループ協力

2025.02.19鉄道特急「しなの」―日本列島の中央を縦断する特急列車(THE列車)

山間のカーブ区間も振り子車両で高速走行

名古屋駅〜長野駅間を結ぶ特急「しなの」は、名古屋周辺の都市的な風景から木曽川沿いの名勝、篠ノ井線の広大な景色まで一度に楽しむことができる列車です。

車両はJR東海が開発した383系。山間部を通りカーブが多い中央本線を高速で走れるよう、振り子式の車体傾斜機構が搭載されています。普段は6両編成ですが、多客時は最大10両編成に増結されます。383系は登場から約30年が経過しており、2029年度頃には新型車両の385系が投入される予定です。

「しなの」はどんな列車?

カーブを高速で通過できる振り子式車両

383系にはカーブを通過する際に車体を傾斜させることで遠心力を緩和し、乗り心地を維持しながら高速でカーブを走行できる振り子式の車体傾斜機構が搭載されています。383系の登場以前も振り子式の車両は存在していましたが、383系では車体を傾斜させるタイミングをコンピューターで制御する「制御付自然振子方式」という新たなシステムを開発。
曲線半径に応じて定められている通過速度+最大35km/hでカーブを通過することができます。

2種類の先頭形状


383系はJR東海が開発した車両で、先頭正面から側面にかけて同社のコーポレートカラーであるオレンジ色の帯があしらわれています。先頭車両の形状は2種類あり、基本的には長野寄りの先頭にパノラマ型の非貫通タイプ、名古屋寄りの先頭に貫通タイプの車両が連結されています。

  • 貫通タイプが両方に連結される場合もあります。

グリーン車(1号車)


長野寄りの先頭1号車は非貫通型のグリーン車。重厚感のあるリクライニングシートが「2+2」配列で設けられています。グリーン車の最大のウリは前方のパノラマ展望。最前列の席からは、木曽路の絶景を進んでいく様子を座ったまま楽しむことができます。

  • パノラマ型ではないグリーン車が連結される場合もあります。

普通車(2〜6号車)

2〜6号車は普通車。2〜4号車が指定席、5・6号車が自由席となっています(6両編成の場合)。
グリーン車と同様に、「2+2」配列でリクライニングシートが設置されています。一般的な車両よりもシートピッチが広めに確保されており、足元に簡易フットレストも備わっているのが普通車としては珍しいポイントです。

「しなの」はこう楽しむ!

寝覚の床


車窓からの見どころの一つが、木曽エリア有数の景勝地・寝覚の床です。花崗岩の岩盤が木曽川の流れで浸食されてできた地形で、箱状に削られた巨岩から自然の悠久さを感じることができます。一説によれば、竜宮城から戻った浦島太郎がここで玉手箱を開けてしまい、夢から覚めたように感じたことが名前の由来と言われています。
木曽福島のやや南に位置しており、A・B席側(長野方面行きでは左側、名古屋方面行きでは右側)の窓から見ることができます。

お得なきっぷを活用

名古屋方面から木曽路エリアへのおでかけには「木曽エリアフリーきっぷ」がおすすめ。1人10,000円で名古屋駅から中津川駅~洗馬駅間のフリーエリアまで「しなの」を往復利用でき、さらにフリーエリア内の特急を含む各列車の自由席が3日間乗り降り自由です。木曽エリアでの食事や買物に使える「エンジョイチケット」の引換券も付いてきます。



列車情報

運転日 毎日運転
運転区間 中央本線、篠ノ井線、信越本線 名古屋駅〜長野駅間
運転時刻 【1号】名古屋駅7:00発→長野駅10:03着
【25号】名古屋駅19:40発→長野駅22:39着

【2号】長野駅6:09発→名古屋駅9:18着
【26号】長野駅19:40発→名古屋駅22:42着
備考 ※始発・最終列車の時刻を掲載。

「しなの」の詳しい情報はこちら!


著者紹介

佐藤正晃

1991(平成3)年、スーパートレイン全盛期生まれの旅行・交通ライター。青森県青森市出身。

撮影旅・乗車旅が好き。最近は吞み鉄にもハマっている。

親の転勤が多く、幼少期は盛岡市や東京都で過ごしたため、東日本エリアの鉄道には並々ならぬ思いがある。大学卒業後、旅行関連業界を経て、現在は取材のため各地を飛び回る日々。


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  • 文/佐藤正晃
  • 写真/JR東海・上松町観光協会・交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2025年1月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください
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