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2023.09.08鉄道特急「こうのとり」 -福知山線を経由して新大阪駅と豊岡駅・城崎温泉駅を結ぶ特急列車。287系・289系の2タイプの車両を使用した列車が丹波路を快走する-(THE列車)

大阪と文人に愛された城崎温泉を結ぶ特急列車

JR京都線・JR宝塚線・福知山線を経由して、新大阪駅と福知山駅・豊岡駅・城崎温泉駅を結ぶのが特急「こうのとり」です。

2011年3月12日に「北近畿」の愛称を変更して登場した列車で、兵庫県の県鳥・コウノトリ(国の天然記念物)に因んで命名されました。沿線の豊岡市には間近でコウノトリの生態を観察できる兵庫県立コウノトリの郷公園があります。

特急「こうのとり」の基本情報

列車は287系電車と289系電車の2タイプの車両で運転され、新大阪駅発が8~12時台の列車は城崎温泉行き、13~22時台の列車は福知山行き(1本は豊岡行き・1本は金・土曜・休日運転の城崎温泉行き)となります。


新大阪駅を発車した列車は上淀川橋梁を渡り、梅田の繁華街を車窓に映して大阪駅に到着。大阪駅からJR宝塚線を走る列車は、次の停車駅である尼崎駅から兵庫県に入り、宝塚駅に向かいます。
車窓の住宅地が途切れて田園風景が広がるようになると、武庫川や篠山川が姿を現します。峠を越え、山里の風景が続くと福知山駅に到着です。福知山駅から山陰本線に入った列車は、播但線が接続する和田山駅、京都丹後鉄道が接続する豊岡駅に停車して、終着の城崎温泉駅に到着します。

鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報

287系特急形電車


2011年3月12日のダイヤ改正から運転を開始した特急形電車。白を基調とした車体にダークレッドの帯を巻いた精悍なデザインです。
グリーン車を連結した4両編成と普通車のみの3両編成があり、4+3の7両編成、4両編成、3両編成で運用。下りの「こうのとり5・7・19・25号」、上りの「こうのとり2・6・16・18号」に使用されています。
なお、3・4両編成の2号車、7両編成の2・6号車に車イス対応座席、多機能トイレがあります。

289系特急形電車


2015年10月31日から運転を開始した特急形電車。元は交直流電車の683系2000番代で、直流電車化して289系になりました。
287系と同じく白を基調とした車体にダークレッドの帯を巻いていますが、正面のスタイルが287系と若干異なっています。
グリーン車を連結した4両編成と普通車のみの3両編成があり、4+3の7両編成、4両編成、3両編成で運用。下りの「こうのとり1・3・9・11・13・15・17・21・23・27号」、上りの「こうのとり4・8・10・12・14・20・22・24・26・28号」に使用されています。
なお、3両編成の2号車、4両編成の3号車、7両編成の3・6号車に車イス対応座席と車イス対応トイレがあります。

グリーン車


287系 グリーン車

4・7両編成の1号車半室がグリーン車(半室は普通車指定席)です。シートピッチ1,160mmのゆったりした大型リクライニングシートが、横3列の2+1席配置で5列15席が用意されています。
また、287系は全席に、289系は車端部の席にモバイル用のコンセントが設置されています。

普通車指定席


287系 普通車指定席

自由席はなく、全車指定席です。普通車はシートピッチ970mmのリクライニングシートを、横4列の2+2席配置で14~18列(1号車は5列)用意。
モバイル用のコンセントは車端部の席に設置されており、パソコンに対応した大型テーブルも備わっています。
287系のトイレは3両編成の3号車、4両編成の4号車、7両編成の4・7号車以外にあり、全トイレにおむつ交換台があります。289系のトイレは3両編成の3号車、4両編成の2・4号車、7両編成の2・4・7号車以外にあり、3・5・6号車のトイレにおむつ交換台があります。

特急「きのさき」との接続

午後の列車は新大阪駅発福知山駅行きがメインですが、終着の福知山駅では京都駅発城崎温泉駅行きの特急「きのさき」や「はしだて」が接続する列車があり、すぐに乗り換えて城崎温泉に向かうことができます。
例えば、新大阪駅15時5分発の福知山駅行きの特急「こうのとり15号」は、特急「きのさき9号」に2分で接続し、城崎温泉駅には18時1分に到着します。新大阪駅13時5分発の特急「こうのとり11号」や18時1分発の特急「こうのとり19号」も同様に接続します。

城崎温泉


開湯1300年の歴史を持ち、平安時代から歌に詠まれたのが、兵庫県を代表する名湯・城崎温泉です。文豪・志賀直哉をはじめ多くの文人に愛された湯治場で、情緒あふれる温泉街と個性豊かな7つの外湯めぐりが名物になっています。
浴衣姿でそぞろ歩きすれば、温泉街の中心を流れる大谿川沿いの枝垂れ柳が温泉気分を盛り上げてくれます。山陰地方の山海の幸が存分に楽しめるのも、城崎温泉の魅力のひとつです。


列車情報

運転日 毎日運転
運転区間 JR京都線・JR宝塚線・福知山線・山陰本線 新大阪駅~福知山駅・豊岡駅・城崎温泉駅間
運転時刻 【1号】新大阪駅8:09発→城崎温泉駅10:58着※土・休日は新大阪駅8:06発
【9号】新大阪駅12:05発→城崎温泉駅14:54着
【13号】新大阪駅14:05発→城崎温泉駅16:50着※主に金・土・休日運転
【12号】城崎温泉駅9:33発→新大阪駅12:29着
【28号】城崎温泉駅18:53発→新大阪駅21:44着※土・休日は新大阪駅21:42着
※城崎温泉駅発着の始発・終発列車

「こうのとり」HPはこちら


著者紹介

ミスターK(結解喜幸)

1953年、東京都出身。出版社勤務を経て旅行写真作家に。鉄道や時刻表のたのしさを知り尽くした鉄道の達人。現在は地酒とつまみを追い求める「飲み鉄」にはまっている。

  • 文/ミスターK(結解喜幸)
  • 写真/(株)交通新聞クリエイト,豊岡市フォトライブラリー
  • 掲載されているデータは2023年9月1日現在のものです。
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