名古屋駅と南紀を結ぶ紀勢本線の特急列車
東海道新幹線名古屋駅から紀伊半島の紀伊勝浦駅までの南紀エリアを結ぶのが、キハ85系ワイドビュー車両で運転されている特急「南紀」です。2両編成の列車は、紀伊勝浦駅寄りの2号車が普通車指定席、名古屋駅寄りの1号車は普通車自由席です。
名古屋駅を発車した列車は関西本線を走りますが、四日市駅を過ぎると伊勢鉄道伊勢線(伊勢鉄道伊勢線区間はJR線の運賃・料金とは別の運賃・料金です)を経由して紀勢本線に入ります。伊勢市駅・鳥羽駅方面へ向かう参宮線が分岐する多気駅を発車すると、列車は次第に山間部を走ります。峠を越えると紀伊長島駅の手前から熊野灘が見えはじめ、この先は左手車窓に波静かなリアス海岸や海辺の町などが映し出されます。
熊野市駅を発車してしばらくすると、ミカン畑が車窓を飾り、やがて列車は熊野川を渡って新宮の市街地へと入っていきます。新宮駅の先から美しい海岸線に沿って走ると、列車は終着の紀伊勝浦駅に到着します。
鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報
車窓の風景が楽しめるキハ85系ワイドビュー車両
この列車に使用されるキハ85系気動車は、側面に天地95センチメートルの大型の連続窓を配置し、さらに通路の床面よりも20センチメートル高い位置に座席を設置しています。このため、座席に座るとワイドな車窓の風景が目の前に迫り、これから待ち受けるであろう絶景が楽しみになります。なお、2号車の普通車指定席には、バリアフリー対応の座席やトイレが設置されています。
先頭車のスタイルは貫通と非貫通の2タイプ
スマートなスタイルが人気のキハ85系の先頭車には、貫通扉が付いた貫通タイプ、大型曲面ガラスとルーフウインドウを採用した非貫通タイプ(写真)の2種類があります。前面のパノラマ風景を楽しめる非貫通タイプは1号車に連結されることが多く、始発の紀伊勝浦駅(新宮駅)から上り列車に乗車する時は、自由席の列に並んで先頭の座席を確保するとよいでしょう。
ゆったり座って行くには普通車指定席
2両編成の列車は2号車が普通車指定席となります。自由席は1号車のみですので、名古屋駅~熊野市駅・新宮駅・紀伊勝浦駅間など3時間以上かかる区間では、ゆったりと座って車窓の風景を楽しめる普通車指定席がおすすめです。下り列車は進行方向の左側、上り列車では右側を指定すると、青い海が広がる熊野灘の風景も楽しめます。
紀勢本線の旅で味わいたい松阪駅「あら竹」の名物駅弁
紀勢本線の旅のお供にしたい味の逸品が、松阪駅にて「あら竹」が販売する、牛肉を使った名物駅弁です。牛の顔をデザインした容器のふたを開けると童謡「ふるさと」のメロディーが流れる「黒毛和牛モー太郎弁当」をはじめ、「モー太郎寿司」や「元祖特撰牛肉弁当」などがあり、事前に電話予約すると特急列車のドア口まで駅弁を届けるサービスも行なっています。
往復に普通車指定席が利用できる「南紀・熊野古道フリーきっぷ」
往復に特急「南紀」の普通車指定席(片道あたり1列車限り)を利用できるのが、南紀方面への旅に便利な「南紀・熊野古道フリーきっぷ」(3日間有効)です。フリー区間が三瀬谷駅~熊野市駅間の「伊勢路コース」(名古屋市内発おとな8380円)と、熊野市駅~紀伊勝浦駅間の「中辺路コース」(名古屋市内発おとな9970円)があり、指定された路線バスも乗り降り自由となります。
※多客期にはご利用いただけません。
土曜・休日限定で利用できる「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」
JR東海の在来線全線と在来線駅に隣接する16の私鉄の快速・普通列車の普通車自由席が、土曜・休日の連続する2日間乗り降り自由となる「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」。別に特急券を購入すれば、特急「南紀」を含むフリー区間内の在来線特急列車が何度でも利用できるという、便利でおトクなきっぷです。
※多客期にはご利用いただけません。
列車情報
運転日 | 毎日4往復 |
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運転区間 | 関西本線・伊勢鉄道線・紀勢本線 名古屋駅~新宮駅・紀伊勝浦駅間 |
運転時刻 |
【下り】 1号:名古屋駅8:02発→紀伊勝浦駅11:56着 7号:名古屋駅19:45発→新宮駅23:14着 【上り】 2号:新宮駅6:20発→名古屋駅9:41着 8号:紀伊勝浦駅17:11発→名古屋駅20:49着 |
著者紹介
- ※文/ミスターK(結解喜幸)
- ※写真提供/熊野市・熊野市観光協会、(公社)三重県観光連盟、公益社団法人和歌山県観光連盟、SONIC RAIL GARDEN
- ※掲載されているデータは2022年3月12日現在のものです。
- ※運転日・運転区間等は変更となる場合があります。