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2024.09.20鉄道特急「しおかぜ」―岡山駅〜松山駅間を結ぶ特急列車 主力の8000系が大リニューアル(THE列車)

瀬戸の疾風「しおかぜ」がより快適に進化

中国地方の交通の要衝である岡山から瀬戸内海を渡り、文学の街として知られる四国の大都市・松山を結ぶのが、特急「しおかぜ」です。

四国側の宇多津駅・多度津駅と松山駅との間は、高松駅〜松山駅間の特急「いしづち」と併結して走ります。
車両は流線型の先頭形状が特徴の8000系と、「しおかぜ」には2016年から投入されている8600系の2種類が使われています。

「しおかぜ」はどんな列車?

8000系が全面リニューアル


主にモノクラス3両の「S編成」が「いしづち」に、グリーン車付き5両の「L編成」が「しおかぜ」に使用されている8000系。2023年から車両全体の大規模リニューアル工事が進められています。

S編成のリニューアル第1号は2023年12月23日にデビュー。
2024年8月2日にはL編成のリニューアル第1号もデビューしました。2027年度には全編成の工事が完了する予定です。

カラーリングは8600系と共通化

リニューアル後の8000系の外観は、元々の車両コンセプト「瀬戸の疾風」を進化させ、より特急らしいスピード感やスマートさを表現。カラーリングが8600系と共通化され、岡山・高松から松山に向かう特急列車を明確化する色彩デザインになりました。

流線型の先頭形状から車体側面にかけてあしらわれているラインのオレンジ色は、瀬戸内の温暖な気候や愛媛特産の柑橘を表したもの。窓下のグリーンは、「いしづち」として乗り入れる香川のオリーブをイメージしています。

1号車「グリーン席」


1号車の松山寄り半室はグリーン席で、座席は「1-2」配列。

モケットは8600系と同様に「四国の芳醇なめぐみ」をモチーフとした臙脂色のデザインで、電動レッグレストや読書灯が付いています。
室内の照明は蛍光灯からLEDに変更。天井面と一体感を持たせた作りの間接照明となり、頭上もすっきりとした印象です。

1〜3号車、8号車「普通車指定席」


普通車指定席はオレンジ色が広がる明るい雰囲気の客室。座席は「2-2」配列で、全席の肘掛け部分にコンセントが設けられた新たなリクライニングシートに取り替えられました。

モケットのデザインは「光きらめく柑橘」がモチーフになっています。
グリーン車と同様にLED間接照明が採用され、リニューアル前と比べて客室全体が明るくなりました。

4〜7号車「普通車自由席」


※6・7号車の座席は形状が若干異なります。

普通車自由席も「2-2」の座席配列。

モケットは「瀬戸内の海」をモチーフとした青系の生地に新調。各列の窓側にコンセントが新設されています。
5号車には広々とした車椅子用のフリースペースが設けられました。このほか、和式トイレがすべて洋式化されるなど、客室以外の場所でも快適化が図られています。

「しおかぜ」はこう楽しむ!

お子さま連れにおすすめの「予讃線8000系アンパンマン列車」


©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV

下り「しおかぜ9号・21号」と上り「しおかぜ10号・22号」は、アンパンマンのなかまたちが描かれた「アンパンマン列車」で運行されています。
1号車の一部は虹をイメージしたカラフルな「アンパンマンシート」。座席だけでなく、デッキやトイレにもアンパンマンの世界が広がっており、お子さま連れにおすすめの車両になっています。


道後温泉本館が5年半ぶりに全館営業再開


松山の名湯・道後温泉では、同温泉のシンボル「道後温泉本館」で2019年から行われていた保存修理工事が7月11日に完了し、約5年半ぶりに全館の営業が再開。
明治時代から続く浴室の雰囲気はそのままに、アメニティの充実化や冷暖房機器の増設など、快適に温泉を楽しめるようになりました。

装い新たに生まれ変わった8000系「しおかぜ」で出かけてみてはいかがでしょうか。


列車情報

運転日 毎日運転
運転区間 宇野線、本四備讃線、予讃線 岡山駅〜松山駅間
運転時刻 【1号】岡山駅7:22発→松山駅10:06着
【27号】岡山駅20:39発→松山駅23:34着

【4号】松山駅5:05発→岡山駅7:51着
【30号】松山駅18:39発→岡山駅21:29着
備考 ※岡山駅~松山駅間の全区間を運転する始発・最終列車の時刻を掲載。このほか、岡山駅〜伊予西条駅間の区間運転があります。

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著者紹介

佐藤正晃

1991(平成3)年、スーパートレイン全盛期生まれの旅行・交通ライター。青森県青森市出身。

撮影旅・乗車旅が好き。最近は吞み鉄にもハマっている。

親の転勤が多く、幼少期は盛岡市や東京都で過ごしたため、東日本エリアの鉄道には並々ならぬ思いがある。大学卒業後、旅行関連業界を経て、現在は取材のため各地を飛び回る日々。

  • 文/佐藤正晃
  • 写真/JR四国・交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2024年8月1日現在のものです。
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