トレたび JRグループ協力

2025.06.05鉄道「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」-“土佐流のおもてなし”で高知を楽しむ観光列車(THE列車)

幕末志士ゆかりの地を往く「ものがたり列車」第3弾

「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」は、予讃線を走る「伊予灘ものがたり」、土讃線の「四国まんなか千年ものがたり」に続く「ものがたり列車」の第3弾として、2020年7月4日に高知〜窪川駅間で運行を開始した列車です。高知は幕末期に坂本龍馬をはじめ、数多くの志士を輩出した地。彼らが描いた夢に思いを馳せた列車は、そんな高知の自然と風土を活かした“土佐流のおもてなし”に溢れています。

「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」はどんな列車?

JR四国の社員がデザインを担当


四国各地の特急列車として活躍したキハ185系2両を改造した列車の外観や内装は、「伊予灘ものがたり」や「四国まんなか千年ものがたり」を手掛けた、JR四国ものがたり列車推進室長の松岡哲也さんが担当しました。

「文明開化ロマンティシズム」をデザインコンセプトに、星空から日が昇り明るい青空になる情景を、幕末の志士たちが夢見た日本の夜明けになぞらえ、未来的なモチーフも入れ込んでます。1号車は幕末の歴史を象徴する「クロフネ」、2号車は新しい時代の夜明けを連想させる「ソラフネ」として、それぞれ異なる色使いで表現。

内装は蒸気機関やロケットエンジンデザインのダイナミズムを、明治期の装飾表現と融合させた「空想ファンタジーデザイン」です。照明ポールやテーブルの支柱を張り巡らされた配管に見立て、機械美に幻想性を重ね合わせたものとなっています。

1号車「KUROFUNE」定員28名


窪川方の1号車(キロ185-1867)は、大海をゆく蒸気船をモチーフに、文明開化期から萌芽する19世紀末芸術を想起させるデザイン。木目調の壁に、青空をイメージした天井が広がります。窪川方には3〜4名で利用できるBOX席が4つ、高知方には窓向きのカウンター席が左右に6席ずつ設けられています。

2号車「SORAFUNE」定員19名


高知方の2号車(キロ185-1868)は、志士たちが見た未来への「夢」をコンセプトに、レトロSF小説で描かれる空想科学上の宇宙船をイメージ。白が基調の車内はすべての席がカウンタータイプです。海側(南側)席には一人旅でも気兼ねなく利用できる席が9席が設けられています。一方の山側(北側)席は三角形のカウンターテーブルを挟んで斜めに向き合った座席が10席並んでいて、2人組での旅行におすすめです。

「おきゃく文化」を体験できる座席レイアウト変更機能


高知県では親族や仲間が集まる祝いの宴席のことを「おきゃく」と呼びます。「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」には、これを表現する機能が。1号車・2号車ともに、窓向きのカウンター席を転換して中央に寄せ、長机のような形にできるのです。この機能は、おきゃく文化を体験できる旅行商品などで活用されています。

「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」はこう楽しむ!

ごめん・なはり線の特別運行


普段は高知駅〜窪川駅間を走る「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」ですが、4月〜6月は曜日限定で土佐くろしお鉄道のごめん・なはり線を特別運行中。毎週金曜日に高知〜奈半利駅間を1日1往復します。

高知県東部、南国市の後免駅と奈半利町の奈半利駅を結ぶごめんなはり線は、高架区間から見下ろす土佐湾の広々とした景観が見どころ。(高知行き)列車は土佐藩出身で三菱の創業者の岩崎弥太郎の少年期のエピソードと太平洋に沈んでいく夕日にちなんだ「雄飛(ゆうひ)の抄」、(奈半利行き)列車は煌めく太平洋をイメージした「煌海(きらめき)の抄」と名付けられています。

自然豊かな高知の食材を活かした料理


「煌海の抄」(高知→奈半利)

「雄飛の抄」(奈半利→高知)

車内では、海と山に囲まれた高知県の食材を活かした“スペシャリテ”を楽しむことができます。「雄飛の抄」ではスコーンやサンドイッチを詰め込んだ「浜スイーツ&ティーセット」を、「煌海の抄」では和・洋・中の彩り豊かな「龍馬が愛したシャモ肉とひがしこうちの山海便り」を提供。コースターや器には、土佐紙や四万十ヒノキなどの「高知らしさ」がさりげなく取り入れられています。

※乗車の4日前までに「食事予約券」の購入が必要です。

ひがしこうち観光1日フリーきっぷ

2025年4月1日から2026年3月31日まで、ごめん・なはり線沿線の観光に便利な「ひがしこうち観光1日フリーきっぷ」が発売されています。高知〜奈半利駅間の快速・普通列車の普通車自由席が1日乗り放題のきっぷで、対象の観光施設では割引特典が受けられます。価格はおとな2,900円、こども1,450円です。

※「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」に乗る場合は別途、特急券とグリーン券が必要です。


列車情報

運転日 6月27日までの毎週金曜日
運転区間 高知駅~奈半利駅間(土讃線、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線経由)
運転時刻 【雄飛(ゆうひ)の抄】奈半利駅15:18発→高知駅17:57着
【煌海(きらめき)の抄】高知駅12:00発→奈半利駅14:38着

観光列車「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」についての詳しい情報はこちら!


著者紹介

佐藤正晃

1991(平成3)年、スーパートレイン全盛期生まれの旅行・交通ライター。青森県青森市出身。

撮影旅・乗車旅が好き。最近は吞み鉄にもハマっている。

親の転勤が多く、幼少期は盛岡市や東京都で過ごしたため、東日本エリアの鉄道には並々ならぬ思いがある。大学卒業後、旅行関連業界を経て、現在は取材のため各地を飛び回る日々。

  • 文/佐藤正晃
  • 写真/JR四国・交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2025年5月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください
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