2025.06.06鉄道JR東海・近鉄グループホールディングスなど 志摩エリアの観光キャンペーンを共同展開 など 【今週の交通新聞より】
2025年6月2日~6月6日の交通新聞から注目のニュースをご紹介!
交通新聞に掲載のニュースの中から、特に注目のニュースをトレたび編集室がピックアップしてご紹介します。
【今週注目のニュースはこちら】
・JR九州 「かもめ」トレチャッタ 新幹線で初企画
・JR西日本 「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」「びわ湖周遊・せとうちコース」新設
・JR東北本部 仙石線仙台―西塩釜間100周年 多賀城駅中心に謝恩企画
・JR東海・近鉄グループホールディングスなど 志摩エリアの観光キャンペーンを共同展開
・JR高崎支社 「SMART インテグレート架線」導入 高崎線新町―倉賀野間下り線に
6月2日 月曜日
JR九州 「かもめ」トレチャッタ 新幹線で初企画
保育施設 150人が参加
JR九州は、団体貸切列車の利用促進を図る「トレチャッタ!」の取り組みで、西九州新幹線「かもめ」を利用するプランを開催した。新幹線を利用する初めての企画で、同新幹線大村車両基地の見学を組み合わせた長崎線佐賀駅発着ツアーに佐賀市内の保育施設2園から計約150人が参加した。
同社は貸切列車(トレインチャーター)をもっと気軽に利用してもらおうと、「取れちゃう」とかけた造語「トレチャッタ!」をキーワードに、昨年4月から貸切利用の営業に力を入れている。以降、バス需要が高い遠足などのニーズを取り込もうと、各種モデルコースを設定して会社や学校などに提案、在来線ではこれまで40件計約4000人が利用。新幹線では今回が初の催行になった。
5月23日に行われたツアーでは、川上こども園と真生幼稚園の園児、保護者ら約150人が佐賀から貸切の特急「リレーかもめ」で佐世保線武雄温泉に向けて出発。武雄温泉で西九州新幹線「かもめ」の貸切列車に乗り換え、大村車両基地へ直接入った。
園児らは、貸切列車内で乗車マナーの大切さや集団行動での注意点などについて学び、基地内では「かもめ」のメンテナンスを行う検査場の見学などを楽しんだ。
今回のプランを企画した佐賀鉄道事業部佐賀駅の一ノ瀬章駅長もツアーに同行し、「西九州新幹線の魅力を感じてもらいたいとの思いでプランを作り上げた。参加した子どもたちの目がキラキラと輝いている様子が印象的で、秋以降もワクワクしてもらえる企画を用意したい」と話した。
同様のプランは5月30日も実施され、今月11日までに2回予定されている。
6月3日 火曜日
JR西日本 「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」「びわ湖周遊・せとうちコース」新設
JR西日本は5月30日、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の新たなコースとして、2026年春から琵琶湖と瀬戸内を巡る「びわ湖周遊・せとうちコース(下り・上り)」を設定すると発表した。瑞風は17年6月のデビュー以来、西日本を巡る五つのコースで特別な旅を提供してきたが、このうち「山陽下り・上り」(各1泊2日)の2コースを大幅に見直し、新コースを設定。瀬戸内の多島美に加え、悠々と水をたたえる琵琶湖と緑豊かな山々や田園が織り成す景観などを楽しめる。
瑞風は、「美しい日本をホテルが走る。~上質さの中に懐かしさを~」がコンセプト。西日本に数多く点在する日本の原風景を舞台に、▽車両▽車窓▽食事▽沿線――の四つの魅力を提供し、これまでに約1万4000人が乗車している。
新コースは京都と下関を発着。下りは京都から湖西線・北陸線経由で琵琶湖を一周しながら、初日に北陸線木ノ本で下車し、滋賀県長浜市を訪ねる。その後、東海道・山陽線経由でせとうちエリアを巡り、2日目に山口県岩国市を訪れ、下関着。
上りは、下関を出発して初日に山口県防府市を訪れ、その後にせとうちエリアを巡り、2日目に滋賀県近江八幡市を訪問。琵琶湖を周遊しながら京都に向かう。
滋賀県内の新たな立ち寄り観光地は、下りが長浜市の渡岸寺観音堂(向源寺)、赤後寺(日吉神社)、上りが近江八幡市のヴォーリズ記念館、ハイド記念館。
また、新たな「食の匠」として、イタリアンレストラン「Biwa collage(ビワコラージュ)」(長浜市)のエグゼクティブシェフ・市山技氏が選出された。市山氏は「型にはまらない、自由で楽しい料理」を掲げ、地元食材を生かした創作イタリアンを提供。上り2日目の昼食を監修する。
車内の伝統工芸品も、滋賀県にゆかりのある装いを取り入れ、「浮御堂波蒔絵香合」や「琵琶湖真珠と卯山窯(うざんよう)の陶板」などが展示される。さらに、膳所焼の「鮟鱇茶入(あんこうちゃいれ)」や、湖東焼の「染付山水絵細水指(そめつけさんすいえほそみずさし)」も加わり、車内に彩りを添える。
JRグループ旅客6社と滋賀県などは、27年秋(10~12月)に同県でデスティネーションキャンペーンを開催することが決まっている。瑞風の新コース設定で、滋賀の観光をさらに盛り上げることになる。
同日は大津市の滋賀県公館で記者会見が行われ、JR西日本の財剛啓理事・近畿統括本部副本部長・京滋支社長、三日月大造同県知事、浅見宣義長浜市長、市山氏、瑞風のクルーらが出席。
財支社長は「日本最大の湖・琵琶湖をはじめ、長い年月をかけて地域の皆さまが取り組んできた滋賀の風景、歴史、文化などを、瑞風の旅を通じて広く皆さまにお伝えしたい」とあいさつ。
三日月知事は「憧れのこの列車が滋賀県を走ってくれることをとてもうれしく光栄に思う。春夏秋冬の車窓から見る景色もとても美しい。その中で育まれてきた歴史や産業を立ち寄り観光地でご体感いただきたい」、市山氏は「滋賀県の湖北エリアは食材が豊富で水もきれいだ。今回は自由な発想で楽しい料理をコンセプトに(コース料理を)組ませていただいた」と述べた。
6月4日 水曜日
JR東北本部 仙石線仙台―西塩釜間100周年 多賀城駅中心に謝恩企画
記念証配布や限定掛け紙弁当
地域と交流の機会に
JR東日本東北本部は、仙石線仙台―西塩釜間があす5日に開業100周年を迎えることを記念して、同日を中心に多賀城駅などでさまざまな企画を実施する。記念式典や写真展、記念弁当の販売、装飾列車の運行などイベントを通じて、鉄道利用者や地域の人に感謝の気持ちを表すとともに、さらなる地域との交流促進を図る。
開業日当日は、10時から多賀城駅の北口広場で記念式典を開催。新たに設置するフォトスポットのお披露目などを行う。同駅南北通路では同日限定でオリジナル掛け紙付きの記念弁当を販売。「みやぎまるごと弁当 多賀城パッケージ<多賀城創建1300年記念<」(こばやし・1600円)と、「伯養軒の炙りえんがわずし」(伯養軒・1780円)の2種類。各50個限定。
さらに、同駅舎内の改札外スペースでは「多賀城駅写真展」がスタート。宮城県多賀城市所蔵の同駅の開業から現在までの写真や、「未来の多賀城駅」をイメージして東北生活文化大学高等学校の生徒が制作した絵画を展示する。8月31日まで。
また、同日開業100周年を迎える榴ケ岡、陸前原ノ町、福田町、陸前高砂、多賀城、西塩釜の6駅改札前では、10時から台紙付き硬券タイプの「きっぷ風記念証」を配布する。デザインは各駅共通。13時まで、なくなり次第終了。
このほか8月にかけて、仙石線沿線の業務に携わるJR東日本とグループ会社社員が同線開業100周年を記念した缶バッジを着用し、お祝いムードを盛り上げる。同線を走る「マンガッタンライナーⅡ」車内では、100周年を記念したポスターによる装飾を行う。
6月5日 木曜日
JR東海・近鉄グループホールディングスなど 志摩エリアの観光キャンペーンを共同展開
志摩の新たなブランド創出 「英虞湾」柱に地元と観光プラン
首都圏から集客
JR東海と近鉄グループホールディングス(GHD)は、三重県、志摩市とともに4者が協働し、英虞湾を柱とした観光プランを提供する「志摩にしました。」キャンペーンを展開している。首都圏から同県志摩エリアへのレジャー旅行需要を喚起する。10月31日まで。
伊勢志摩国立公園を代表する景勝地の英虞湾は、大小60の島とリアス式の複雑な海岸線が特徴で、美しいオーシャンビューが楽しめる。夕日や朝焼けの景色も絶景で、穏やかな海はクルージングにも最適とされる。
キャンペーンは、志摩が誇る観光資源の英虞湾を柱に、海と自然の美しさが楽しめるエリアという一つのブランドイメージを新たにつくり出す。4者が協力して地域が一体となり、持続可能な観光地エリアを目指すプロジェクトとして推し進める。
これまでJR東海と近鉄グループの近畿日本鉄道は、東海道新幹線の利用者向けに名古屋から伊勢志摩エリアへお得に移動できる近鉄伊勢志摩フリーパスを販売するなど、交通面での連携を図ってきた。
JR東海は今回、近鉄GHD伊勢志摩支社とさらに連携を深め、旅の主目的となるように英虞湾を主とした志摩エリアの魅力づくりを協働で実施し、EXサービス上で観光プランの販売を行いつつ、首都圏を中心にPRを展開する。
一方の近鉄GHDは、JR東海との連携を強化し、グループのアセットが集積する伊勢志摩エリアの商品開発に向けて、重要なマーケットである首都圏の在住者に満足してもらえるように取り組んでいく。
用意した観光プランでは、英虞湾が生み出す景色と空間でしか味わえない価値を楽しんでもらう。志摩マリンレジャーによる湾内周遊クルーズ船の運航、賢島宝生苑の日帰り温泉入浴、都リゾート志摩ベイサイドテラスで提供するロンネフェルトの紅茶、焼きバナナとブリオッシュのフレンチトーストの特別プレート、海女さんが地元食材で作った「海女の庭」の海の幸コース料理など、キャンペーンの特設ウェブサイトで予約方法とともに紹介している。
6月6日 金曜日
JR高崎支社 「SMART インテグレート架線」導入 高崎線新町―倉賀野間下り線に
JR東日本高崎支社は4日、高崎線新町―倉賀野間(2・2㌔)下り線に、新たな電車線設備「SMART インテグレート架線」(SiMple Aluminum Conductor Steel Reinforced〈Thermal resistance〉Integrate Catenary)を同社管内で初めて導入したと発表した。電線本数を従来よりも少ない2本に集約することで、さらなるメンテナンスの省力化や工事費の削減を図るとともに、働き方改革の促進が期待される。
架線設備は、変電所からの電気を電車線設備に送る「き電線」、パンタグラフと接触して電車に電気を供給する「トロリ線」、トロリ線をつり下げて支える「ちょう架線」、これらを支える柱や梁(はり)などの「電車線支持物」で構成されている。
架線の方式は、必要となる電気容量や運転速度に応じて電線の数が異なり、電線4本の「シンプル架線」や輸送量の多い線区で設置されている「ツインシンプル架線」(電線6本)、首都圏エリアを中心に導入されている「インテグレート架線」(同3本)などがある。
このうちインテグレート架線では、き電線とちょう架線を統合した「き電ちょう架線」2本とトロリ線1本の計3本をビーム下に設置し、高圧配電線は地上化することで空中の設備全体を簡素化。運行に必要な電気容量を確保しつつ、全体の本数や支持する金具を削減し、省メンテナンスを実現している。
今回導入した「SMART インテグレート架線」は、これをさらに簡素化したもので、従来銅線を使用していたき電ちょう架線に、優れた空力特性を持つ軽量のアルミ系電線を採用することで、き電ちょう架線を2本から1本に集約。さらなるメンテナンスの省力化を実現する。
具体的には、アルミ線の特殊な表面形状により、風による抵抗を約3割、重量を約6割低減。また、本数が減ったことにより架線系としての重量も軽減し、電車支持物にかかる荷重が減少することから、施工に伴う支持物の建て替え回数を減らし、工事費の削減を図ることができる。
さらに、新町―倉賀野間は、元々ツインシンプル架線であったことから、今回の導入により検査業務が大幅に削減。き電線の徒歩検査が不要になるほか、検査本数自体も3分の1に削減され、多くが高所や夜間で行われる保守作業の負担軽減、安全性向上につながる。
既に下り線での架線張り替え工事は完了しており、上り線は来年2月に導入予定。今後は導入箇所での施工性やメンテナンス性を検証した上で、全社的に導入拡大を目指す。
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