700系をベースに誕生したJR九州初の新幹線車両
2004年の九州新幹線の新八代駅〜鹿児島中央駅間開業に合わせ、当時東海道・山陽新幹線で活躍していた700系をベースに、JR九州初の新幹線車両として誕生した800系。当初は「つばめ」として運用を開始し、2011年の九州新幹線全線開業後は一部の「さくら」にも使用され、博多駅〜鹿児島中央駅間を走っています。
最高速度は260km/hで、新幹線の開業前は3時間40分かかっていた博多駅〜西鹿児島駅(現在の鹿児島中央駅)間の所要時間を大幅に短縮しました。
800系はどんな列車?
九州新幹線の特性に合わせて開発
ベースとなっているのは700系ですが、急勾配が連続する区間がある九州新幹線の特性に合わせて、編成の全6両が電動車となっているのが特徴です。また、新八代駅〜鹿児島中央駅間はトンネル区間が約70%を占めることから、車体に制振材を充填してトンネル走行中の車内騒音低減を図っています。
2011年の九州新幹線全線開業を控えた2009年からは、性能やデザインにマイナーチェンジを加えた1000番代・2000番代が増備されました。
白い体に黒い背中の“ツバメ”のような外観
外観・内装デザインは、JR九州をはじめ数々の鉄道車両デザインを手掛けている工業デザイナーの水戸岡鋭治さん(ドーンデザイン研究所)が担当。丸みを帯びたノーズを持つ前頭部は、他の新幹線車両にはない縦長のヘッドライトが大きな特徴です。カラーリングは純白のボディに、黒と古代漆を屋根部分に配した“ツバメ”のようなデザイン。
側面にはJR九州のコーポレートカラーである赤色の帯を巻いています。各車両のドア横には号車番号が大きく描かれ、国鉄時代に運転されていた特急「燕」のヘッドマークをイメージしたロゴがあしらわれています。
- ※こちらの装飾のある列車は現在走行しておりません。
地域色豊かなインテリア
800系は全車普通車でグリーン車のないモノクラス仕様。「さくら」「つばめ」とも、1〜3号車が自由席、4〜6号車が指定席です。
白を基調とした客室には木材を各所に取り入れ、明るく温かみのある雰囲気を創出。シートはゆったりとした2+2配列で、背面部や肘掛け、インアームテーブルに木材が採用されています。さらに、ロールブラインドや手すり、握り棒には九州山地のサクラ材を使用。デッキの洗面室には熊本県八代市のイグサで作られた縄のれんが掛けられているなど、地域色豊かなインテリアとなっています。
車両ごとに異なるシートデザイン
1000番代4号車
1000番代5号車
地域色豊かなインテリアデザインも800系の大きな特徴の一つです。シートのデザインは前期型の0番代と後期型の1000番代・2000番代で異なります。
0番代のシート布地は日本の伝統色を取り入れた西陣織。1・4号車はサクラ色の木材に緑青の布地、2・6号車は柿渋色の木材に瑠璃の布地、3・5号車はクスノキ色の木材に古代漆の布地という組み合わせになっています。
1000番代・2000番代は各号車でデザインが異なり、1号車が赤い唐松模様の西陣織、2号車がワインレッドの革張り、3号車がカーマインのツイード張り、4号車はアイビー柄のゴブラン織、5号車はオレンジ系のツイード張り、6号車が赤いアイビー柄の西陣織というバリエーションです。
0番代と1000番代・2000番代のどの車両が来るかは乗るまでのお楽しみです。
800系はこう楽しむ!
ネット限定きっぷでお得に乗車
800系に乗るなら、JR九州のネット限定きっぷがおすすめ。
例えば、乗車7日前の23時まで購入できる「九州ネット早特7」なら、博多駅〜熊本駅間は通常5,840円のところ、3,900〜4,800円(価格変動制)で利用できます。
また、列車出発の6分前まで購入できる「九州ネットきっぷ」では5,310円と、乗車直前でも約10%OFFに。ぜひ活用してお得に旅を楽しんでください。
鹿児島中央駅から世界遺産の島・屋久島へ
鹿児島中央駅からは、神秘的な縄文杉で有名な屋久島へのアクセスも便利。
鹿児島中央駅からは路線バスで、屋久島行きの船が出る鹿児島本港(南埠頭)まで約20分。そこから高速船「トッピー&ロケット」に乗り換えれば、最短約1時間50分で世界遺産の島・屋久島に到着します。
悠久の森の自然を、登山やトレッキングで満喫しましょう。
列車情報
| 運転日 | 毎日 |
|---|---|
| 運転区間 | 博多駅〜鹿児島中央駅 |
| 運転時刻 |
【つばめ301号】始発・川内駅6:19発→鹿児島中央駅6:31着 【つばめ345号】終電・博多駅22:36発→熊本駅23:25着 【つばめ300号】始発・熊本駅6:30発→博多駅7:19着 【つばめ336号】終電・鹿児島中央駅19:33発→博多駅21:27着 ※800系で運行する始発・最終列車の時刻を掲載 |
著者紹介
- ※文/佐藤正晃
- ※写真/一般社団法人 屋久島観光協会、(株)交通新聞クリエイト
- ※掲載されているデータは2025年12月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください


