2025.12.05鉄道JR東日本 C58活用し新観光列車 29年春以降に 東北線盛岡―一ノ関間で など 【今週の交通新聞より】

2025年11月25日~11月228日の交通新聞から注目のニュースをご紹介!
交通新聞に掲載のニュースの中から、特に注目のニュースをトレたび編集室がピックアップしてご紹介します。
【今週注目のニュースはこちら】
・JR九州 鹿児島、日豊線で自動運転 27年末までにGOA2.5
・JTBグローバルマーケティング&トラベルとJR東海 インバウンド専用特別列車のツアー商品発売
・JR北海道・上川大雪 日本酒×鉄道、地域共創で連携協定 鉄道風景ラベルの日本酒発売
・JR四国など グループの対象施設で「Wesmo!」取り扱い開始
・JR東日本 C58活用し新観光列車 29年春以降に 東北線盛岡―一ノ関間で
12月1日 月曜日
JR東日本 C58活用し新観光列車 29年春以降に 東北線盛岡―一ノ関間で
門司港-荒尾間 小倉―宇佐間 きょうから2.0本格導入
JR九州の古宮洋二社長は11月27日の定例会見で、香椎線で行っている運転士以外の係員が前頭乗務するGOA2・5自動運転の導入区間を、2027年末までに鹿児島線門司港―小倉間(11・0㌔)と日豊線小倉―宇佐間(75・8㌔)に拡大すると発表した。また、きょう1日からは両区間に鹿児島線小倉―荒尾間(140・6㌔)を加えた区間で自動列車運転支援装置(GOA2・0自動運転)を本格導入。サステナブルなモビリティサービスの実現に向けた取り組みの一環として、安全性を維持・向上しながら業務運営の効率化につなげていく。
GOA2・5の導入はヒューマンエラー削減による安全性向上をはじめ、労働人口減少を背景に持続可能な鉄道網の構築に向けた必要な人材の確保を目指すもので、課題とする運転士のなり手不足を係員・自動運転乗務員で補うのが狙い。
装置開発に当たっては、既存の自動列車停止装置「ATS―DK」を活用することで大きな投資を伴わずにドライバーレスを実現。保安装置と同等の信頼性とフェールセーフ性を持つ高機能ATO(自動列車運転装置)を組み合わせ、従来の自動運転システムに用いられてきたATC(自動列車制御装置)と同等の安全性を担保している。
同社は、24年3月に香椎線西戸崎―宇美間(25・4㌔)にGOA2・5自動運転を導入。この技術を基に、同時期から鹿児島線折尾―二日市間(62・3㌔)でGOA2・0自動運転技術の実証実験を開始した。2・0では高機能ATOに停止位置や運転パターンを覚えさせたデータベースを車両に搭載することで追加地上設備を不要とする。
今回の導入拡大に向けては、2・0で得られた知見を2・5にフィードバックして地上設備投資を最小化。香椎線で240個を要した地上子の増設割合を3分の1、投資額を4分の1に抑える。
さらに、2・5の機能も搭載する車両を2・0で営業運転することで、香椎線では営業終了後の夜間に限られた試運転機会を日中にも拡大でき、同線で約4年半を要した走行試験期間を約2年半に短縮する。
導入拡大線区は、車両や乗務員の運用などから総合的に判断し、投資に対して効果が見込める線区として選定。2・5化の段階ではさまざまな車種が走行することから効果が薄いとして鹿児島線小倉―荒尾間は対象から除外する。
車両は香椎線で用いた819系に変わって、2・0に向けては813系と817系を計46編成、2・5に向けては813系の26編成を対象編成として整備。初めに813系1編成でスタートし、以降は毎年10編成程度のペースで改造を加えていく。地上設備も含め、取り組み全体での事業費は約30億円を見込む。
1日から始まるGOA2・0自動運転では、自動列車運転支援装置が運転士の操作をサポートする。駅出発から駅停止まで列車の加減速は自動制御するが、回復運転や注意運転など運転士による手動介入も可能。介入後も停止位置、停止信号に対する減速制御は同装置が基本的に行う。
12月2日 火曜日
JTBグローバルマーケティング&トラベルとJR東海 インバウンド専用特別列車のツアー商品発売
迫力の富士、車窓から 東海道線三島-身延線富士宮間を運行
JTBグループで訪日旅行を専門に扱うJTBグローバルマーケティング&トラベル(JTBGMT)とJR東海は11月27日、インバウンド専用特別列車の運行を共同で企画し、同列車への乗車を目玉としたツアー商品の発売を開始した。インバウンド専用特別列車の運行はJR東海初の試み。東海道線三島から身延線富士宮まで直通運転する特別列車の車窓から富士山の景色を満喫してもらう。
新幹線で静岡へ
JTBGMTが主催する訪日客向けパッケージ旅行「サンライズツアー」では、美しい日本の富士山を一目見たいという多くの訪日目的に着目し、静岡方面からも富士山の情景を楽しみつつ地域の魅力に触れられるルートの構築を構想してきた。一方、JR東海は訪日客に東海道新幹線で静岡県に来てもらい、在来線の車窓から雄大な富士山を眺め、観光資源が豊富な山麓を周遊してほしいとの思いから、両社が連携して企画が実現した。
ツアーは、「富士山と静岡のわさび堪能ツアー 北斎特別列車&新幹線付き」と題し、来年3月19日~12月22日の毎週火、木、土曜日(除外日あり)に実施。静岡県と同県観光協会が両社と連携し、プロモーションに協力する。
行程は、東京から同新幹線で三島に向かい、特別列車に乗車。途中の東海道線東田子の浦、身延線富士根では停車時間を設け、車窓から富士山の撮影を楽しんでもらう。身延線内では景色をゆっくりと観賞できるよう、一部区間で徐行運転を行う。
富士宮で下車後、バスで静岡県富士山世界遺産センター、富士山本宮浅間大社、白糸の滝、御殿場プレミアム・アウトレット(一部プラン)を巡り、途中のわさび田ではわさびのすりおろし体験や試食が楽しめる。バスは三島駅に向かい、新幹線で東京に戻る。
特別列車は、313系3両編成を使用する予定。富士山と葛飾北斎の富嶽三十六景を満喫する「美術館列車」をコンセプトに、車内に関連する絵画を飾り、北斎の世界観へいざなうなど、鉄道をユニークな観光コンテンツに磨き上げ、世界へアピールする。
両社は、訪日客が同県の歴史や文化的価値を再発見し、隠れた地域の魅力を実感できるツアーづくりにより、個人では手配や旅行が容易ではなかった地域への人流創出につなげたいとしている。
ツアーの予約は、サンライズツアーのウェブサイト、国内外の旅行代理店向けの専用サイトで受け付ける。
12月3日 水曜日
JR北海道・上川大雪 日本酒×鉄道、地域共創で連携協定 鉄道風景ラベルの日本酒発売
JR北海道と、酒造会社の上川大雪酒造(北海道上川町)などを運営する上川大雪(札幌市)は、地域共創に関する連携協定を締結した。1日にJR北海道本社で、綿貫泰之社長と塚原敏夫上川大雪社長が会見し、2社による地域活性化の取り組みなどについて説明。第1弾として来年1月以降、ラベルに北海道の鉄道風景をあしらった日本酒を発売することを発表した。
同酒造は、北海道産の酒造好適米など地域資源を使った酒づくりにこだわるメーカー。現在は緑丘蔵(上川町)、碧雲蔵(帯広市)で酒造りを行い、来年には網走市にも酒蔵創設を予定している。
協定は、北海道の鉄道旅行の魅力向上や北海道産酒造好適米を使用した日本酒の付加価値向上、北海道の観光・文化、地域振興など、地域共創の幅広い取り組みを推進することで、北海道における新たな価値創造を図ることが目的。それぞれの強みを生かし、地域資源を活用した鉄道旅行や日本酒づくりによる地域活性化、地域振興に資するイベント、北海道のポテンシャルを生かした新たな価値創造などを進めていく。
第1弾では、JR北海道フレッシュキヨスク限定パッケージの日本酒「旅して」(720㍉㍑入り)を、来年1月上旬から同社の「北海道四季マルシェ」ココノススキノ店で先行販売。2月以降、同店の札幌ステラプレイス店や「北海道四季彩館」函館店、帯広店などでも販売する。
北海道産米を全量使用した純米(予定価格・税別1900円)、純米吟醸(同2700円)、純米大吟醸(同3900円)の3種類で、いずれも「北海道の鉄道の旅のお供に『口当たりの良い、飲まさる(つい飲んでしまう)酒を』」がコンセプト。ラベルは、写真家の番匠克久氏が撮影した北海道の鉄道旅行に出かけたくなるような写真と酒蔵のシンボルマーク、「旅して」の文字をデザインした。
第2弾は、3月26日の北海道新幹線開業10周年に先駆けて、ラベルに新幹線車両をデザインした商品を発売。720㍉㍑入りで、内容や発売日などは未定。
綿貫社長は「鉄道とお酒は親和性が高い。四季折々の沿線風景とともに、その土地の水と米を使ったお酒を味わってもらうような付加価値の高い商品を作り出していきたい」、塚原社長は「当社は北海道内のいろいろな地域に酒蔵をつくっており、JR北海道は全道にまたがる鉄路を持つ会社。機会を最大限生かして地域振興につながる取り組みをしていきたい」とそれぞれ述べた。
12月4日 木曜日
JR四国など グループの対象施設で「Wesmo!」取り扱い開始
JR四国、JR西日本、JR四国ステーション開発は、JR四国グループの対象施設でJR西日本のキャッシュレス決済サービス「Wesmo!」を開始した。これに合わせて、対象施設でのWesmo!による支払いで、JR西日本グループの「WESTERポイント」の還元率が通常の10倍となるキャンペーンを31日まで実施している。
WESTERポイント10倍CP
今回のサービス開始は、Wesmo!利用エリアの拡大やWESTER会員の新規来店促進で四国在住者、旅行者などの利便性を高めるとともに、両社グループ双方の増収につなげるのが狙い。
対象は、JR四国ステーション開発が運営管理する高松駅ビル「高松オルネ」、松山駅高架下商業施設「JR松山駅だんだん通り」、徳島駅ビル「徳島駅クレメントプラザ」の3施設。高松は「shikoku meguru kitchen(シコク メグル キッチン)」など26店舗、松山は「えひめしや」など15店舗、徳島は「おみやげ一番館」など29店舗で利用できる。
キャンペーンは、200円の利用で通常1ポイント(還元率0・5%)に対し10ポイント(5%)が即時付与される。対象店舗にはキャンペーンのPOPを掲出する。
12月5日 金曜日
JR東日本 C58活用し新観光列車 29年春以降に 東北線盛岡―一ノ関間で
北東北エリアへ観光誘客
JR東日本は3日、かつて「SL銀河」で活躍したC58239号機を活用した新たな観光列車の検討を始めると発表した。臨時列車として東北線盛岡―一ノ関間を走行する予定で、運行開始は2029年春以降を目指す。SLならではの新たな旅の魅力と地域の観光資源を組み合わせることで、北東北エリアの地域活性化と国内外からの観光誘客を図る。
C58239号機は、川崎車輛(現・川崎車両)が1940年に製造。岩手県の山田線、釜石線、大船渡線を中心に走り、72年の廃車後は、盛岡市内の岩手県営運動公園で静態保存されていた。
その後、東日本大震災の復興支援などを目的にJR東日本によって復元され、2014年4月から〝のってたのしい列車〟「SL銀河」のけん引機として釜石線花巻―釜石間で活躍。客車側の老朽化により、23年に運転を終了した後、盛岡車両センター(盛岡市)内のSL検修庫で保存されてきた。
同機の運転開始にあたっては、必要な検査や手続き、転車台や灰処理設備などのメンテナンスのほか、機関士の育成を進めていく。客車に使用する車両は未定で、既存車両の改造を検討している。
運行区間は、新幹線停車駅と世界遺産・平泉(岩手県平泉町)などの人気観光地を結ぶ盛岡―一ノ関間を選定。1日1往復以上の運転を計画しており、観光列車自体が観光コンテンツとなるだけでなく、同列車を通じた北東北エリアの周遊にもつなげる。
今後、北東北ならではの魅力を体験できる列車を目指し、沿線自治体や観光関係団体と連携しながら、客車や運行体制・計画、サービス内容などの検討を進めていく。
交通新聞
- ※画像の改変・複製利用等を禁じます

