トレたび JRグループ協力

2025.12.24鉄道【鉄道ダイヤ情報連動企画】思い出の“レジェンドトレイン”を熱く語る!

JR東日本の記憶に残る特急列車‼

今回はJRグループ協力の鉄道雑誌として、美しい写真と旬の話題を中心に毎月盛りだくさんの記事が好評の『鉄道ダイヤ情報』とのコラボ記事!
発売中の2月号特集「JR東日本の首都圏特急」の出張記事として、思い出のレジェンド特急車両を語っていただきました。

鉄道ライター・栗原 景さん、鉄道写真家・村上悠太さん、『鉄道ダイヤ情報』編集長・大杉豊さんの鉄道愛の歴史が伝わってきます!!

『鉄道ダイヤ情報』×トレたび 連動企画です。

栗原 景(ライター)推薦 489系〔白山〕


ボンネット形の先頭部が特徴的 写真/PIXTA

小学生だった昭和50年代、毎年夏休みに長野へ帰省する際、主に利用していたのが489系特急〔白山〕です。
489系は、1972(昭和47)年3月ダイヤ改正で急行〔白山〕が特急に格上げされた際にデビューした特急型電車です。交直流特急型電車である485系0番代をベースとし、66.7‰(1000m水平に進むごとに66.7mの高低差)という当時国鉄最大の急勾配区間だった信越本線横川~軽井沢間で、同区間専用のEF63形電気機関車との「協調運転」に対応していました。機関車を連結する横川駅では必ず5分停車し、乗客はこぞってホームに降りて『峠の釜めし』を買うのが風物詩。でも、レイルファンとしては、上野方に機関車を連結するシーンも見たい。ギリギリまでホームで車両を眺め、発車してから車内を歩いて席に戻って親を焦らせたものでした。


EF63形との連結 写真/PIXTA

碓氷峠を越える横川~軽井沢間では、客室の一番後ろに立って車内を眺めたものです。碓氷峠の66.7‰区間では車両の前後で1.3mもの高低差が生じ、当時小学生だった筆者は自分の背丈ほどの“急坂”になることを観察したかったのです。
〔白山〕は、1982(昭和57)年11月から1985(昭和60)年3月まで食堂車が復活し、青森行き〔鳥海〕とともに上野駅から発着する最後の食堂車付き昼行特急となりました。筆者にとって、489系〔白山〕は国鉄の最新技術と伝統のサービスを兼ね備えた、憧れの特急列車でした。

村上 悠太(鉄道写真家)推薦 251系〔スーパービュー踊り子〕


撮影:片瀬白田~伊豆稲取駅間

幼少の頃、村上家恒例のイベントだったのが家族での下田旅行。
鉄道大好きちびっ子だった僕の憧れは、当然、251系〔スーパービュー踊り子〕一択! 
3歳のときにデビューしたその列車は、リゾート感が満載。伊豆の海を連想させる鮮やかなブルーの車体は、10両のうち3両がダブルデッカー構造で、天井まで伸びる窓は悠太少年にとってまるで空につながっているように見えました。
デビュー時は9・10号車が「グループユニット」というボックスシートで、その中でも10号車はダブルデッカーの2階になるため、ここが大好きでした。ただ、夏の伊豆、さらにデビューしたての“スーパービュー”ということで、指定席確保は至難の業。指定席発売日になる乗車日の1カ月前、指定席券申込書を駅の営業開始と同時に届けるべく、母が早起きをしてくれていたのをよく覚えています。 母の努力のおかげで、ときおり奇跡的に10号車最前部の席を取ることができたことも。


迫力ある前面展望 写真/村上悠太

憧れの251系 写真/村上悠太

前面展望はもちろん、当時鉄道の運転士に憧れていた僕にとっては、運転士さんのお仕事風景をずっと見ていられるのが最高でした。加えて10号車の1階には「子ども室」があり、音の出る椅子があるなど、はしゃいでも怒られないので、それも当時の僕には最高の設備でした。
そんな大好きな“スーパービュー踊り子”。いつしか自分に家族ができたら我が子と一緒に、と思うようになりました。結果としてその夢は叶ったのですが、僕が3歳のときにデビューし、その僕が父になるくらいですから、251系もいつしかベテラン車両に。 もう一度、乗ることができるなら、間違いなくその名を挙げたい、僕の「レジェンドトレイン」です。

大杉 豊(月刊『鉄道ダイヤ情報』編集長)推薦 E351系〔スーパーあずさ〕


撮影:小渕沢~長坂駅間

JR東日本の首都圏エリアでは、東海道本線、中央本線、常磐線、房総など各方面に特急列車が運転されています。これら各方面の在来線特急列車をまとめたのが、『鉄道ダイヤ情報』2026年2月号の巻頭特集でした。
あらためて歴代を眺めてみると、姿や格好、そして役割に特徴のある列車・車両たちが活躍を続けてきたことがわかります。じつのところ、どれも乗る・撮るより“眺める”ことのほうが多かったのですが、これらの列車・車両からレジェンドを推すなら、E351系〔スーパーあずさ〕になりますでしょうか。
国鉄時代より受け継がれてきた特急型車両が走る中央本線に、初のJR世代として登場したE351系。651系〔スーパーひたち〕や、251系〔スーパービュー踊り子〕のようにビッグな存在と想像していたのですが、実際に車両を目の前にすると、思ったよりも小柄な車体にビックリ。そして車内に足を踏み入れると「ちょっと下がる」ような感覚があり、客室も全体が低~い印象。振子車両はここまで車体を絞って、重心を下げるように作られているんだと、浅い鉄道知識ながら、車両の凄みを細部から感じたのでした。


東京駅

電車好きでも電車に酔うのかと、これより前の振子車両の乗車体験はショッキングなものでしたが、E351系では、そのような不快感はありませんでした。自席がカーブの内側になると、窓から見える線路やホームが異様に近く感じ、その感覚を楽しむことが、振子列車の醍醐味に思うぐらいでした。
今はE353系に統一された〔あずさ〕〔かいじ〕ですが、車両性能が良ければ、空気ばね式車体傾斜でも速度短縮効果などは十分なのでしょう。加齢とともに揺れに弱くなりつつあるので、その点でも十分に思っています。

まとめ

今回は、栗原 景さん・村上悠太さん・大杉 豊さんにそれぞれの視点から思い出の車両について語っていただきました。
家族旅行の思い出や当時食べた駅弁、乗り心地といった多様な楽しみ方・思い出からは“鉄道”という文化の奥深さを改めて知ることが出来たのではないでしょうか?

『鉄道ダイヤ情報』・トレたびは今後もこうした鉄道の魅力を伝える記事を発信していきますので、ぜひご覧ください!


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『鉄道ダイヤ情報』

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著者紹介

栗原 景(くりはら かげり)

1971年、東京生まれ。鉄道と旅、韓国を主なテーマとするジャーナリスト。出版社勤務を経て2001年からフリー。
小学3年生の頃から各地の鉄道を一人で乗り歩き、国鉄時代を直接知る最後の世代。
東海道新幹線の車窓を中心に、新幹線の観察と研究を10年以上続けている。

主な著書に「廃線跡巡りのすすめ」、「アニメと鉄道ビジネス」(ともに交通新聞社新書)、「鉄道へぇ~事典」(交通新聞社)、「国鉄時代の貨物列車を知ろう」(実業之日本社)ほか。

著者紹介

村上 悠太

1987年鉄道発祥の地新橋生まれで、JRと同い年の鉄道写真家。
地域の日常や鉄道にまつわる「ひと」をテーマに創作を続ける。「鉄道ダイヤ情報」(交通新聞社発行)ではあらゆる現場で鉄道を支える「鉄道HERO」たちの取材を続ける。
2025年12月、「ありがとうT4 JR東海公式 923形ドクターイエロー引退記念写真集(ウェッジ発行)」を出版。

Twitter:https://twitter.com/yuta_murakami
Instagram:https://www.instagram.com/yuta_murakami/

  • 文/栗原 景、村上 悠太、大杉 豊
  • 写真/交通新聞クリエイト
  • 編/トレたび編集室
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