トレたび JRグループ協力

2026.04.22鉄道「SLばんえつ物語」―“貴婦人”が牽引する磐越西線のSL列車(THE列車)

レトロ客車で味わう磐越西線のSL旅

1999年に運行を開始した「SLばんえつ物語」は、磐越西線の新津駅〜会津若松駅間を走る観光列車です。列車名は、磐越西線の沿線地域を指す「ばんえつ(磐越)」と、豊かな森と水に育まれた自然のなかで人と人との触れ合いから生まれる「物語」を組み合わせたもの。

優美なC57形蒸気機関車が大正ロマンを思わせるレトロな客車を牽引し、磐越西線の風光明媚な車窓を楽しめるSL列車として長年にわたって親しまれています。

「SLばんえつ物語」はどんな列車?

製造80年のC57 180が牽引


電車

列車を牽引するのは、1946年に製造されたC57形蒸気機関車180号機です。C57形は、大きな動輪と細いボイラーが生み出す優美なシルエットから「貴婦人」の愛称で親しまれてきました。

180号機は、かつて新津市内(現在は新潟市に合併)の小学校で静態保存されていましたが、地元の要望を受けて1999年に動態復元。以来、「SLばんえつ物語」の顔として磐越西線を走り続けています。

大正ロマン調のレトロ客車

客車は数度のリニューアルを経て、現在は12系客車を改造した7両編成で運転されています。木目調を多用した内装と落ち着いた色調の設えが特徴で、車内には大正ロマンを思わせる懐かしい雰囲気が漂います。蒸気機関車に牽引される非日常感も相まって、乗り込んだ瞬間から特別な旅の気分を味わえます。

普通車指定席(2・3・5・6号車)


電車の座席

普通車指定席には4人掛けのボックスシートが並びます。A・D席が窓側、B・C席が通路側の配置で、向かい合って座れるため、家族や友人同士での乗車にもぴったりです。赤色のシートモケット、木目調の化粧板、丸型の照明など、どこか懐かしさを感じさせるデザインが印象的です。

5号車の会津若松方には売店も設置されています。お弁当や菓子、軽食、ドリンク類に加え、車内限定のオリジナルグッズも揃っており、旅の記念にチェックしておきたいところです。

グリーン車(7号車)


グリーン車は「2+1」配列のリクライニングシートが並び、普通車よりゆとりある空間でくつろぎながら旅を楽しめます。

注目はグリーン車専用のパノラマ展望室です。上り(会津若松行き)では最後尾から遠ざかる線路と景色を、下り(新津行き)では先頭に立つC57が客車を力強く引く姿を眺められます。進行方向によって異なる見どころがあるのも、SL列車ならではの魅力です。

オコジョ展望車両(1号車)


オコジョルーム

すべり台などお子さまも楽しめる「オコジョルーム」と、森をイメージしたフラットベンチに腰掛けながら景色を楽しめる「オコジョ展望室」があり、展望室では車体側面まで広がるパノラマウィンドウから沿線の自然をより開放的に味わえます。

「オコジョ」の名前は、沿線の飯豊山系に生息する小型の哺乳類に由来しています。オコジョをモチーフにしたキャラタター「オコジロウ」と「オコミ」は、車内や沿線の駅などで装飾などを見かけることができます。

展望車(4号車)


4号車はフリースペースの展望車。窓向きのカウンター席があり、景色をじっくり眺めながらゆっくり過ごせます。会津若松方はハイデッカー仕様となっており、窓向きに設けられたベンチソファから、少し高い視点で磐越西線の風景を楽しめるのが特徴です。

車内には乗車記念スタンプのほか、丸型の郵便ポストも設置されています。車内オリジナルの消印で手紙を送ることができるのも、「SLばんえつ物語」ならではの楽しみです。

「SLばんえつ物語」はこう楽しむ

会津若松駅から「鶴ヶ城」

会津若松駅から足を延ばして訪ねたいのが、鶴ヶ城です。江戸時代には会津松平家の居城となり、戊辰戦争では新政府軍の猛攻に約1か月耐え抜いたことから「難攻不落の名城」とも称されています。現在の天守閣は1965年に再建されたもので、のちに幕末当時をイメージした赤瓦の姿へと改められました。天守閣は歴史博物館として公開されており、会津藩の歴史や文化を深く知ることができます。

喜多方駅から「熱塩温泉」


Ⓒ福島県観光物産交流協会

喜多方駅から車で約15分の熱塩温泉は、約600年前に開湯されたという歴史ある温泉地。会津の山あいにたたずむ静かな湯の里で、塩分を多く含む泉質は婦人病や胃腸病、神経痛などに効くとされています。
周辺にはかつて、喜多方から日中線というローカル線が延びていました。1984年の廃止後、廃線跡の一部はしだれ桜の並木道として整備され、春には見事な花のトンネルをつくります。また、旧熱塩駅舎は往時の記憶を伝える記念館として公開されています。

新津駅から「新津鉄道資料館」

新津駅では新津鉄道資料館への立ち寄りもおすすめです。新津はかつて機関区や工場が置かれた「鉄道のまち」として発展してきた地域で、館内ではその歴史や技術、文化にまつわる資料を展示しています。屋外にはC57形やDD14形ディーゼル機関車、115系電車のほか、200系やE4系新幹線の先頭車両なども保存・展示されており、見応えたっぷりのスポットです。


列車情報

運転日 主に土休日(4月25・26・29日、5月2・3・5・6・9・10・16・17・23・24・30・31日、6月6・7・
13・14・20・21・27・28日)
※7月以降の運転日は順次専用サイトにてお知らせします。
運転区間 磐越西線 新津駅〜会津若松駅間
運転時刻 【上り】新津駅10:03発→会津若松駅13:36着
【下り】会津若松駅15:28発→新津駅18:44着

「SLばんえつ物語」について詳しくはこちら


著者紹介

佐藤正晃

1991(平成3)年、スーパートレイン全盛期生まれの旅行・交通ライター。青森県青森市出身。

撮影旅・乗車旅が好き。最近は吞み鉄にもハマっている。

親の転勤が多く、幼少期は盛岡市や東京都で過ごしたため、東日本エリアの鉄道には並々ならぬ思いがある。大学卒業後、旅行関連業界を経て、現在は取材のため各地を飛び回る日々。

  • 文/佐藤正晃
  • 写真/福島県観光物産交流協会、交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2026年4月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください
トレたび公式SNS
  • X
  • Facebook
  • Instagram