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2021.05.14鉄道JRきっぷを安く買う方法。知っている人だけがお得になる!蜂谷あす美が解説「乗車券」編

鉄道旅行の基本は「乗車券」 乗車券を制する者はお得旅を制する(はず)

皆さんこんにちは。時刻表を忘れて出かけると、どうしようもない不安に襲われ思わず駅の売店で購入してしまう蜂谷です。2015年1月にJR全線完乗しました。鉄道旅行を重ねるうちにきっぷのルールに少しずつ詳しくなりました。また、それと呼応するように、もったいない買い方、使い方をしている人を見かけるたび「工夫すればお得になるのに!」とやきもきすることが増えました。そこで、知人たちから寄せられた相談などをベースに、JRきっぷの使いこなし方を6回に分けて解説していきます。

乗車券とは? ないと旅が始まらない

第1回目は、乗車券のお得な買い方、使い方、乗り方について


画像はイメージです

それではさっそく本題に入っていきましょう。JRきっぷの話をしていくうえで最初に取り上げるべきは「乗車券」です。乗車券をうまく使いこなしさえすれば、それだけで鉄道旅行のお得度は向上すると信じています。
乗車券とは、列車に乗る上で最低限必要なきっぷです。普通列車であれ、特急列車であれ、観光列車であれ、これがないと始まりません。乗車駅から下車駅までの運賃を支払って購入します。各駅停車や快速列車といった普通列車は乗車券だけで乗車できます。なお、細かい話をすると普通列車であっても座席が指定されているもの、グリーン車には別途指定席券、グリーン券が必要です。


「ふだんの移動ではSuica使ってるから乗車券なんて買ったことないよ」


「SuicaなどのICカードは「ICカード乗車券」といって乗車券の一種です!」

横道にそれました。「トレたび」できっぷの解説をするのが初めてのため、テンションが若干不安定ですがご了承ください。本シリーズはあくまで「鉄道旅行」を前提としています。乗車券は次の種類があります。


乗車券の種類

普通乗車券(片道・往復・連続)
定期乗車券
普通回数乗車券
団体乗車券
貸切乗車券

「定期乗車券」はいわゆる定期券のこと、普通回数乗車券は10回分の運賃で11回分買える「回数券」を指します。また「団体乗車券」は8人以上で一緒に移動するときにお得になる乗車券です。これらは「トレたび」の範疇ではないので割愛!

ここで扱っていくのは「普通乗車券」ですが、かっこ書きを見ればわかるように細かく分類すれば3種類もあるのです。一般的に「A駅からB駅」で完結する1枚のきっぷを想定すると思います。正式には「片道乗車券」といい、今回の主題です。「往復」と「連続」は中級者向けと(勝手に)位置づけているので、次回以降に解説します。

遠くまで乗れば割安に!途中下車と有効期間をフル活用



「東京駅から大阪駅まで、東海道本線を各駅停車で行く旅をひらめいた!途中の名古屋駅で寄り道しようと思うんだけど、乗車券は『東京駅から名古屋駅』と『名古屋駅から大阪駅』を買えばいいんでしょ」


「もったいない! 途中下車のルールを使えば『東京駅から大阪駅』の1枚で済みます」

さて、乗車券使いこなしの真骨頂です。乗車券は下図のように距離に応じた運賃が定められています。


JR時刻表2021年5月号930ページより抜粋

図で「運賃」を「営業キロ」で割ると、1キロあたりの運賃が導き出せるのですが、「営業キロ」が大きくなればなるほど、1キロあたりの運賃が安くなることがおミソ! つまり遠くまで移動すればするほど乗車券は割安になっていくのです。これを「遠距離逓減制」といいます。

さらに、乗車券には「途中下車」のルールがあります。途中下車とは、乗車券の発駅から着駅の間で改札の外に出ることをいい、移動距離101キロ以上の乗車券で適用されます。回数制限はありません。冒頭の例でいえば名古屋駅に加えて京都駅で寄り道をしてもOKです。ただし逆走は禁じられているため、いったん京都駅まで行った後に名古屋駅まで戻ることはできません。昔の横スクロールゲームみたいなものと考えてください。


途中下車を使うと具体的にいくらお得になるのか

「東京駅から大阪駅」で乗車券を購入した場合:8,910円
「東京駅から名古屋駅」、「名古屋駅から大阪駅」で購入した場合:東京駅から名古屋駅が6,380円、名古屋駅から大阪駅が3,410円なので、合計9,790円

880円お得に!

ここで注意! 下図に定められた「都区内」や「各特定市内駅」のエリアを出発地としている、または目的地としている場合は、そのエリア内での途中下車はできません。


JR時刻表2021年5月号955ページより抜粋

JR時刻表2021年5月号955ページより抜粋

今回の場合は、東京駅の次に品川駅で、または大阪の駅の手前、新大阪駅での途中下車がそれにあたります。どうしても降りたいときは別途この区間の乗車券を購入しましょう。

例は東海道本線のシンプルな行程としましたが、途中で重複しない「一筆書き」であれば複雑なものでも発券できるので、世の鉄ちゃんの一部(含む筆者)は、旅の始まりから終わりまでが1枚のきっぷで完結するような乗車券作成に執念を燃やします。


「複雑で長くしたら1日で移動しきれなさそうだけど、どうすんの」


「1日で完結する旅なんて想定していません。有効期間を目いっぱい使います」

もし都合よくお手元に乗車券のある人がいたら、よく見てください。乗車券には「発駅」と「着駅」、それに運賃のほかに「●月●日から●月●日まで有効」と書いてあります。この有効期間が乗車券をフル活用するうえでは必須の存在です。
有効期間とは、その乗車券を使い続けられる期間のことで、距離が100キロまでは1日、101キロ以上200キロまでは2日、以降は200キロごとに1日ずつ増えていきます。


JR時刻表2021年5月号951ページより抜粋

たとえば「東京駅から大阪駅」は距離が556.4キロのため、図に当てはめると有効期間は4日。極端な例ではありますが、東海道本線鈍行列車の旅のなかに「途中下車してお泊り」を加えるなどして、最大3泊4日の旅にすることも可能です。

乗車券の落とし穴、「近郊区間」


「途中下車のルール使えば日本中どこでも途中下車し放題になるってことか~~」


「『必ず』『絶対』が付いてる選択肢を速攻誤りと見なすのは、たいていの試験で有効なワザ。もちろん乗車券にも『近郊区間』など、例外があります」

ここまで「途中下車」と「有効期間」を駆使した乗車券の使いこなし方を解説しましたが、これらがまったく適用されないエリアがあります。それが「近郊区間」です。

近郊区間は東京、仙台、新潟、大阪、福岡の5つがあります。東京近郊区間は「超広義の関東」といったところでしょうか。このエリア内で完結する乗車券の場合は、途中下車はできず、また距離にかかわらず有効期間は「1日」となります。エリア内で完結しない、つまり出発地、または目的地のどちらかが1駅でもエリアからはみ出ていれば、例によって途中下車ルールと距離に応じた有効期間が適用されます。


「近郊区間、つまらない…!」


「近郊区間にはおもしろいルールがあって、経路を問わず『一番安い区間』で運賃を計算します」

再び乗車券をよく見てもらいたいのですが、「発駅」と「着駅」の下にこまごまと路線名や駅名が書かれているの、わかりますか。乗車券は行先だけでなく、経由地も決められており、それをもとに運賃を計算しています。あらかじめレールの敷かれた人生のようなものです。

しかしながら近郊区間に関しては「どんな遠回りをしても最安の運賃」で計算するルールがあります。たとえば渋谷駅から原宿駅までは山手線の外回りでは一駅ですが、内回りの列車に乗ってしまうと最も遠い駅となりますよね。しかし運賃は外回りだろうが内回りだろうが140円(ICカードなら136円)と同一です。これを応用すればさらに複雑な行程で渋谷駅から原宿駅へ、それこそ1日がかりで移動することもできますが、運賃は140円です。


「近郊区間において改札を出ず、ひたすら「遠回り」かつ「一筆書き」で移動するのを「大回り乗車」といいます。発駅と着駅を初乗り区間にすれば1日140円で遊べるので、多くの鉄ちゃん(含む筆者)が一度は楽しむ道です」


「……考えとくね(やるとは言ってない)」

まとめ

今回は乗車券のルールを解説しました。筆者はこうしたルールを知ってしまったばっかりに、鉄道旅行前に「トクトクきっぷ」を使ったほうがいいのか、普通に乗車券を買ったほうがいいのかを運賃計算しないと気が済まない体になってしまいました。また、地元の福井帰省に際しては、「東京駅発、東海道新幹線、北陸本線、北陸新幹線経由、東京駅行き」と大きく1周する一筆書き乗車券のお世話になることもしばしばです(福井駅は途中下車扱い)。ぜひ皆さんも乗車券を究めて複雑な行程づくりを楽しんでください。そのうち「この行程は券売機で発券できるだろうか」と謎のチャレンジを試みるようになります。


著者紹介

蜂谷あす美

旅の文筆家。福井県福井市出身。慶應義塾大学卒業後、出版社勤務を経て、現在に至る。「旅は再訪のための下見」をモットーに、2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅を中心としたエッセイや紀行文などを数多く執筆しているほか、ご当地牛乳にほれ込み牛乳の連載も経験あり。最近はラジオをはじめ、トークでも活躍。著書『女性のための鉄道旅行入門』『もっとお得にきっぷを買うアドバイス50』(ともに天夢人)

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  • 掲載されているデータは2021年5月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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