2021.07.02鉄道JR長崎支社 キハ66、67形引退記念 車両部品をオンライン販売 など【今週の交通新聞より】
2021年6月28日~7月2日交通新聞から注目のニュースをご紹介!
交通新聞に掲載のニュースの中から、特に注目のニュースをトレたび編集室がピックアップしてご紹介します。
【今週注目のニュースはこちら】
・JR水戸支社 勝田車両センター60周年記念見学ツアー、写真展など開催
・JR西日本 新型電気式気動車「DEC700形」(1両1編成)導入へ
・JR長崎支社 キハ66、67形引退記念 車両部品をオンライン販売
・特集 待望の運転再開 JR西日本「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」
・JR九州 九州新幹線10周年記念・駅弁コンテスト 嘉例川駅「花の待つ駅かれい川」が総合優勝
6月28日 月曜日
JR水戸支社 勝田車両センター60周年記念見学ツアー、写真展など開催
JR東日本水戸支社は、勝田車両センターの開所60周年を記念し、記念グッズの販売や写真展、同センターの見学ツアーなどを順次実施している。
同センターは国鉄時代の1961年4月に、常磐線の電化に伴い勝田電車区として発足。2004年4月に現在の名称に改められた。
記念グッズ第1弾として、土浦、勝田、水戸駅構内のニューデイズ計4店舗でオリジナルクリアファイル3種類を販売。表面は、同センター社員が撮影・厳選したE657系=イメージ=、E501系、在来線電気・軌道総合検測車E491系「East i―E」の写真をデザインした。1枚330円。3種類を同時購入すると、60年前の勝田電車区の電車運用表(レプリカ)が贈られる。
水戸駅改札内では7月18日まで記念写真展を開催中。かつての構内や車両など、同センターの60年間のあゆみを振り返る写真28点をパネル展示している。
8月28日と9月23日には同センターの見学ツアーを開催する。両日とも午前、午後の2回、各回20人の募集。構内ではオリジナルヘッドマーク前での記念撮影をはじめ、車両洗浄体験や運転台の見学、検修庫内での業務体験などさまざまなメニューを楽しめる。ツアーグッズの進呈も予定している。
同社グループのびゅうトラベルサービスの企画・実施。旅行代金は品川・上野発着大人1万8500円、子ども1万5500円。7月1日14時から「日本の旅、鉄道の旅」サイトで販売する。
同社は今後も、車両部品などの鉄道古物のほか、トートバッグやカレンダーなど記念オリジナルグッズの販売も予定している。
6月29日 火曜日
JR西日本 新型電気式気動車「DEC700形」(1両1編成)導入へ
JR西日本は25日、持続可能な鉄道・交通システムの構築に向けた取り組みの一環として、新型電気式気動車「DEC700形」(1両1編成)を導入すると発表した。電車・気動車のシステム共通化によるメンテナンス技術の向上・効率化や、次世代車両への転換に向けた各種技術検証の実施を目的に、広島支社下関総合車両所新山口支所に配置する。
DEC700形は、ディーゼルエンジンと発電機で発電した電力により、モーターを駆動して走行する電気式気動車で、今後、試運転、各種性能の確認試験を行う。バッテリー搭載によるハイブリッド方式への変更も可能な構造としており、ハイブリッド方式についての検証試験も実施予定。
同車両では、電車・気動車のシステム統合によるメンテナンス技術の効率化や、機械部品の削減による運転時、メンテナンス時の安全性、安定性の向上を目指す。また、従来の工法よりもユニット化を進めており、運転台や機器室をユニットとして車両に組み込むことで、工期短縮、コスト低減も期待できる。車体デザインには、中国地域のカラーである黄色のラインなどをあしらう。
6月30日 水曜日
JR長崎支社 キハ66、67形引退記念 車両部品をオンライン販売
きょう30日で引退するJR九州長崎支社所属のキハ66、67形気動車のラストラン企画として、JR九州商事のオンラインショップ「九州の旅とお取り寄せ」で同車両の部品が販売される。申し込みは3回に分けて受け付けて抽選。第1回はきょう30日17時締め切り。
第1回で取り扱う部品は、つり革(3点、各1100円)、席番(15点、同)、車内形式板(1点、2万5300円)、製造銘板(1点、3万6300円)、方向幕(1点、2万2000円)など11種類計50点。当選者には7月5日に通知される。
第2回の募集期間は7月15~20日、第3回は同30日~8月4日。温度計(丸形)、行先表示器(方向幕付き)、サン板(車番付き)、座席(背もたれ)などを予定する。
部品は全て昨年引退した車両のもので、JR九州長崎鉄道事業部佐世保車両センター発行の「部品使用証明書」を添付する。
7月1日 木曜日
特集 待望の運転再開 JR西日本「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」
新常態に対応 地域を再発信
JR西日本の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は、乗客に特別な時間を過ごしてもらうとともに、地域の魅力を発信していくために投入されている列車だ。1年以上に及ぶ長期運休を余儀なくされたが、6月21日からの運転再開に当たっては、コロナ禍や新常態のニーズに対応したサービス・仕組みを導入した。10月出発分からは、料理を監修する「食の匠」に新たに3人が加わり、立ち寄り観光地に「大乗寺」(兵庫県香美町香住区)を追加する。「瑞風」の価値の維持・向上に向けた各種取り組みを紹介する。
(秋元 尚浩記者)
瑞風は、車窓からの美しい景色、一流の「食の匠」監修の料理、アートや伝統工芸を取り入れて上質な空間が演出された車内、1日1回組み込まれている立ち寄り観光などを通じ、沿線の魅力を堪能できるのがセールスポイント。コースは、山陰・下り(1泊2日)、山陰・上り(同)、山陽・下り(同)、山陽・上り(同)、山 陽・山陰周遊(2泊3日)の五つ。
2017年6月17日にデビューした瑞風だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年2月末から運休、6月には車両の定期検査・工事に入った。同社では営業運転再開を今年2月17日に予定していたが、緊急事態宣言の発出を受けて2度延期。4月14日に運転再開したが、再びコロナの感染急拡大を受けて同24日から運休していた。
客室・沿線で食事
コロナ禍や新常態ニーズに対応したサービス・仕組みは、昨年計画し、今年4月の運転再開時から導入されていた。具体的には、非接触のニーズを踏まえて、昼食や夕食のコース料理を提供するのは、食堂車ではなく、客室に変更した。
客室備え付けのタブレット端末は、展望車(1、10号車)、ラウンジカー(5号車)などの混雑状況の確認や飲み物の注文をできるようにしたもの。夕食前に展望車やラウンジカーに分かれて、車窓の景色を眺めながら食前酒などを楽しむ「アペリティフタイム」も新設した。
朝食は、瑞風の車内ではなく、沿線の店舗で提供するスタイルを一部日程で導入。山陰・下りの2日目、山陰・上りの2日目と山陽・山陰周遊の3日目の朝食場所は、それぞれ須佐湾から取れる食材を用いた料理が人気の「口福の馳走屋 梅乃葉」(山口県萩市)、17年6月の瑞風デビューに合わせて開設されたイタリアンレストラン「AL MARE(アルマーレ)」(鳥取県岩美町)となっている。
「各店とも地産の特別メニューを用意している。これまで以上に沿線の魅力を体験していただきたい」と話す同社鉄道本部営業本部瑞風推進事業部の担当者。
オリジナル日本酒
オリジナル日本酒の車内販売(車内での申し込み受け付け)もスタートした。
製造者は、京都の 「瑞風ラウンジ」(現在利用停止中)で日本酒を提供する佐々木酒造(京都市)。商品名は「聚楽第 純米大吟醸エクセレント(瑞風オリジナル)」。酒造好適米の山田錦と地下からくみ上げる名水で仕込み、低温長期発酵を行った後、もろみを酒袋につるし、垂れ落ちたしずく部分のみを瓶詰めした。720㍉㍑。1万円。市販はしていない。
JR西日本では車内販売に先立つ昨年11月から今年1月にかけて、過去に瑞風に乗車した人を対象とした通信販売を行った。第2弾として、澄川酒造場(山口県萩市)による瑞風オリジナル「東洋美人」の販売も予定している。
途中下車 シースピカ貸切多島美楽しむ
立ち寄り観光については、4月14日の運転再開に合わせ、密回避の観点から、一部のコースでより少人数での観光を可能としたほか、移動で利用するバスを、従来の瑞風のデザインを採用した「瑞風バス」1台に、「トイレ付きバス」を加えた2台とした。
山陽・上りコース2日目の内容も一部変更した。JR西日本グループと瀬戸内海汽船グループが昨年秋に導入した観光型高速クルーザー「SEA SPICA(シースピカ)」を貸切利用する行程を組み込み、瀬戸内海の多島美を楽しめるようにした。
大乗寺で曼荼羅体感
10月出発分からは、山陰・下りコースの1日目の立ち寄り観光地に香住の名刹(めいさつ)、大乗寺が設定される。
大乗寺は、江戸時代を代表する絵師、円山応挙(まるやま・おうきょ)と、その弟子の作品165点(重要文化財)を擁することで知られる。客殿13室に襖(ふすま)絵が描かれており、立体曼荼羅(りったいまんだら)の空間を体感できるほか、通常非公開の収蔵庫内も見学してもらう。
■今秋から「食の匠」に新メンバー 地元食材生かす3氏
10月出発分からは、瑞風の料理を監修する「食の匠」に新たに「和彩空間 たち花」(島根県奥出雲町)主人の立花秀明氏、「Mia paese(ミア・パエーゼ)」(同浜田市)オーナーシェフの竹中厚志氏、「hiroto(ヒロト)」(広島市)オーナーシェフの廣戸良幸氏の3人が加わる。「食の匠」の新メンバーが登場するのは、列車デビュー後初めてとなる。
立花氏は、地元・奥出雲の食材を最大限に生かし、旬の味わいを提供している料理人。18年には、農林水産省料理人顕彰制度「第9回料理マスターズ」、山陰初となるブロンズ賞を受賞した。
竹中氏は、自然豊かな島根の食材に目を向けるとともに、石見焼の器など県内の工芸品を取り入れた、ここでしか表現できない一皿を追求。フランス発祥のレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」に20年、21年と連続で掲載された。
廣戸氏は、生産者との対話を通して見極めた食材などにより、シンプルながらも印象深い料理を提供する。世界的に著名なレストランガイドで二つ星を獲得している。
来年2月出発分にかけた第15期では、山陰・下りコースの2日目昼食が立花氏、山陰・上りコースの1日目昼食が竹中氏、山陽・下りコースの2日目昼食が廣戸氏監修の料理となる。
今年3月下旬にJR西日本本社内で開かれた「新たな『食の匠』記者発表会」。この中で、室博執行役員・鉄道本部営業本部長(当時、現総合企画本部地域共生部アドバイザー)は、「瑞風の食を通じ、西日本エリアの素晴らしさや、その土地、食材の魅力を発信する料理人の活躍を伝えていきたい。そのためにも食の匠はさらに充実させていく予定だ」と今後の方針を話した。
7月2日 金曜日
JR九州 九州新幹線10周年記念・駅弁コンテスト 嘉例川駅「花の待つ駅かれい川」が総合優勝
JR九州は6月30日、九州新幹線(博多―鹿児島中央間)全線開業10周年を記念し、今年3~5月に実施した駅弁コンテスト「九州新幹線 駅弁シリーズ2021」の投票結果を発表した。新幹線沿線の熊本、鹿児島エリアの駅弁21種類の中から、肥薩線嘉例川駅で販売する「花の待つ駅かれい川」が総合優勝に輝いた。
コンテストには、熊本エリアから8種類、鹿児島エリアから13種類の駅弁がエントリー。3月1日~5月31日の期間に、購入者から1585件の投票が寄せられ、味、盛り付け、パッケージ、総合の4項目の平均点で受賞駅弁を決めた。
「花の待つ駅かれい川」を製造する森の弁当やまだ屋(鹿児島県霧島市)は、2004年3月の同新幹線新八代―鹿児島中央間開業に合わせて、嘉例川駅で駅弁「百年の旅物語 かれい川」を販売開始。同年始まったJR九州の「九州の駅弁ランキング」で第4回―第6回を3連覇するなど高い評価を得て、現在も駅弁を求めて同駅を訪れる人は多い。
今回の花の待つ駅かれい川は、女性向けにボリュームを抑えて開発されたもので、同市産黒米のご飯に、甘い卵焼き、原木栽培のシイタケのうま味が染みた鶏の煮付け、つけあげ(地魚のすり身)などのおかずを添えた。1200円。
このほか、熊本エリアの優勝は新玉名駅で販売する「長洲きゃあめし弁当」(1100円、長洲町旅館飲食店組合製造)、準優勝は同ランキングの初代王者で3年連続トップだった新八代駅などの「鮎屋三代」(1350円、頼藤商店)。
鹿児島エリアは、優勝が「百年の旅物語 かれい川」(1200円)、準優勝が鹿児島中央駅の「薩摩黒膳弁当」(980円、城山ストアー)。森の弁当 やまだ屋は総合優勝と鹿児島エリア優勝のダブル受賞を飾った。
この日、本社で受賞駅弁の製造会社に対する表彰式が行われ、青柳俊彦社長から各社の代表に賞状と記念品が贈られた。
あいさつで青柳社長は「21種類の駅弁は、老舗のものや新しく登場したものなど、どれも魅力的だった。たくさんの応募があり、互角に競い合う良い勝負だったため、特別に総合優勝を設けた。このようなにぎわいづくりをきっかけに、熊本と鹿児島、そして九州全体が活性化されることを祈念する」と述べた。
森の弁当やまだ屋の山田まゆみさんは「嘉例川駅開業100周年の時に地域の人たちが桜を植え、今では季節になるときれいに咲いています。花の待つ駅かれい川は、その花のおもてなしを薩摩の郷土料理で表現しました。今回の受賞は地域の人々の思いがお客さまに届いたものと感じており、とてもありがたく感謝しています」と喜びを語った。
交通新聞
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