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2021.07.21鉄道323系 “優しさ”詰まったJR西日本の普通列車、その工夫とは? なつかしの大阪環状線走行列車も

これまで以上に愛される大阪環状線へ。優しさいっぱいの323系とは

鉄道ファンといえば新幹線、観光列車に特急列車が好き……。それはもちろんその通り。
しかし日々の通勤や通学を支える普通・快速列車にも、たまらない魅力が隠されています。さながら実家のような安心感と最先端の技術を兼ね備える不思議な存在、それが普通・快速列車なのです。
 
今回は、JR西日本の「大阪環状線改造プロジェクト」の一環で登場した、323系をご紹介します。これまでの大阪環状線のイメージを一新するこの車両の特徴とは…? キーワードは「優しさ」です。
323系以前に活躍した大阪環状線車両も振り返ります。長きにわたり愛された103系・201系などが登場します!

大阪環状線の新たな顔! 323系で魅力度アップ

2013年度にJR西日本が立ち上げた「大阪環状線改造プロジェクト」。
大阪環状線を「行ってみたい」「乗ってみたい」と思われる路線にするべく、駅や車両の機能充実とともに新しい価値を創出し、ひいては大阪の活性化を目指そう、という、現在も進行中のプロジェクトです。

そのプロジェクトのメニューのひとつが新型車両・323系の投入でした。
開発のコンセプトは「安全・安心の向上」「機器の信頼性向上」「情報提供の充実」「人に優しい快適な車内空間」の4点。それらが表れている、323系の特徴を見てみましょう!

ロゴマークがアクセント! まずは外観をチェック


大阪環状線 323系

2016年12月にデビューした323系。
JR西日本の電車で広く使用されているブラウンと大阪環状線で長く使用されているオレンジが、帯やドア脇にカラーリングされています。
また、先頭車前面・側面には「大阪環状線改造プロジェクト」のロゴマークを配しています。

前照灯は車両中央寄りはアンバー色、車両外側寄りは白色に光るLED灯です。
大阪環状線内を走行する関空快速などの近郊形車両とドア位置を共通化するため、3扉化(1両あたり3ケ所のドア)しました。

4号車は女性専用車。照明に注目


大阪環状線 323系 女性専用車

4号車は女性専用車となっていて、識別性を高めるためにドア脇にはピンク色が使われています。


大阪環状線 323系 女性専用車 女性専用車の車内

4号車の車内は、他の号車との区別の意味もあって、白色ではなく電球色の照明となっています。
どことなく暖かみと優しさが感じられますね。

インテリアデザインは、グリーンのモケット、オレンジの手すり、明るい白、落ち着いた床となっていて、これは近畿圏アーバンネットワークで共通の仕様です。

気になる車内をチェック。Wi-Fi設備も整備!


大阪環状線 323系 車内

座席はすべてロングシート。座面の高さは450mmで、立ち上がりやすいように計算されているという、隠れた優しさがあるのです。
全ての座席の下にはクッション性を高めるためにSバネを採用し、座り心地は抜群。


大阪環状線 323系 優先席

優先席は、モケットにカラフルなピクトグラムを配置したポップなデザインです。
そして、ここにももちろん優しさが。個別に設置されたひじ掛けは、前方に傾斜していて、立ち上がりの際の補助となるよう工夫されているのです。


8号車は出入口スペースが拡大されている

さらに、大阪駅で混雑が集中する8号車では、ロングシートを短くして立席スペース・出入口スペースを拡大しています。
どうしても混雑してしまう車内を少しでも快適に過ごせるように、との配慮が感じられます。

ドア上に設置された液晶表示器では、4ヶ国語表示(日本語、英語、中国語、韓国語 )や、駅設備の案内、ドアの開く方向の案内を新たに追加し、より便利な情報サービスを提供。
Wi-Fi設備も整備され、工夫と優しさにあふれる323系は、これから長く愛される車両になっていくでしょう。

それでも忘れられない、これまでの愛され車両

大阪環状線は、2021年4月で60周年を迎えました。今はすべて323系に置き換わりましたが、これまでの車両に愛着のある人も多いはず。
あなたのなかの「大阪環状線」はどれですか。

101系


大阪環状線 開通 101系

1961年4月25日、大阪環状線が開通しました。
この時点では、まだ環状にはなっておらず、逆「の」の字での運転でした。
101系は、1961年から1985年まで大阪環状線で活躍(1989年から1991年まで、桜島線で復活)しました。


大阪環状線 高架化完成 101系

1964年3月には、西九条駅の高架化が完了したことで、環状での運転がスタートしました。


大阪環状線 101系 歴史列車 大阪環状線30周年記念「歴史電車」

大阪環状線が30周年を迎えた1991年4月には、「歴史電車」と名付けられたイベント列車が走りました。

103系


大阪環状線 103系

103系は、1969年から2017年まで、約48年間の長きにわたり、大阪環状線を走りました。
大阪環状線といえばこの車両、という人も多いかもしれません。


ラッピング列車「OSAKA POWER LOOP」

103系はこんな色鮮やかなラッピングを施されたこともあります。
「大阪環状線改造プロジェクト」の一環で、2014年から2017年の約3年間、8名のアーティストが車両デザインを担当して大阪の魅力を発信したときのものです。

201系


大阪環状線 201系

2005年から2019年まで、大阪環状線で活躍した車両が201系です。
2019年6月の引退の際は、別れを惜しむファンや多くの報道陣が最後の雄姿を見守りました。


そして323系へ。
これまでの歴史とともに、323系は走ります。

  • トレたび編集室/編
  • 写真/交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2021年7月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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