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2021.08.05鉄道A列車で行こう―ジャズのスタンダード・ナンバーが列車名の由来。お洒落な外観&インテリアを号車ごとに解説(THE列車)

ジャズとハイボールが楽しめる観光特急列車

デザインのテーマは「16世紀の天草に伝わった南蛮文化」。細部まで豪華に装飾されたステキな観光特急列車が、鹿児島本線熊本駅と三角(みすみ)線三角駅を結ぶ「A列車で行こう」です。列車の愛称名はジャズのスタンダード・ナンバー「A列車で行こう(Take The "A" Train)」を冠したもの。車内ではジャズに耳を傾けながらオリジナルのハイボールが楽しめるという、大人旅にふさわしいサービスを楽しむことができます。

編成はキハ185系2両編成。1号車が「A-TRAIN BAR」と呼ばれるカウンターバーを備えた普通車指定席、2号車は家族・グループ旅行に最適なボックスシートもある普通車指定席となっています。

ミカン畑や山を抜け、車窓に映し出される有明海

熊本駅を発車した列車は、右手に九州新幹線の高架橋を見ながら車両基地を抜け、白川を渡ります。九州新幹線がオーバークロスして山側に移ると、今度は九州新幹線の車両基地が左手車窓に映し出され、列車は三角線が分岐する宇土駅に到着。
宇土駅を発車して右手にカーブしたあとは、三角線(あまくさみすみ線)に入って終点の三角駅を目指します。住吉駅を通過すると右手車窓に有明海が映し出され、天気が良い日には対岸の雲仙普賢岳が見えることも。そのまま赤瀬駅付近まで、ときどき隠れつつも有明海を臨むことができます。
赤瀬駅からは左手に曲がり、赤瀬トンネルをくぐり抜けて山間部へ。ミカン畑を抜けると今度は左手に、戸馳島側の有明海が見え始め、列車は終点の三角駅に到着します。

鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報

1号車(普通車指定席+バーカウンター「A-TRAIN BAR」)


1号車の「A-TRAIN BAR」 1号車の「A-TRAIN BAR」


1号車の座席

三角駅寄りの1号車(普通車指定席)。2人掛けのリクライニングシートが中央通路を挟んで7列(28席)用意されているこの号車の目玉は、なんと言ってもオリジナルのハイボールやグッズを販売するバーカウンター「A-TRAIN BAR」です。その向かいには記念スタンプも置いてあるカウンター、付近にはフリースペースとなるソファーやベンチが配置されています。
なお、2号車との連結部分のデッキにはトイレも2つ用意されています。

2号車(普通車指定席)


2号車の座席

熊本駅寄りの2号車(普通車指定席)は、2人掛けのリクライニングシートが中央通路を挟んで10列(40席)と4人掛けボックスシート席4組(16席)の計56席。ボックスシート席には折り畳み式の大テーブルが設置されていますので、家族・グループ旅行で駅弁を楽しむのに最適です。
また、窓に向かって座れる子ども椅子席(3席)やフリースペースのソファーが配置されています。

「南蛮文化」の異国情緒あふれる車内装飾


バーカウンター「A-TRAIN BAR」付近の装飾 バーカウンター「A-TRAIN BAR」付近の装飾

座席やソファー、ベンチのシートモケットは、南蛮文化をテーマにした列車にふさわしい柄模様が採用され、情緒あふれる雰囲気を盛り上げています。
バーカウンターの近くには太陽の光を浴びて車内を美しく彩るステンドグラスや、16世紀、大航海時代まっただ中の南蛮文化をイメージしたマリア像の置物など、その時代の天草にタイムスリップしたかのような錯覚を誘う、美しい装飾が施されています。

「A列車で行こう」でしか味わえないスイーツも


バーカウンター「A-TRAIN BAR」でお買い物を楽しむ バーカウンター「A-TRAIN BAR」でお買い物を楽しむ

天草の塩を使用した、「A列車で行こう」限定販売の「カカオ研究所塩チョコレート」や5種の柑橘ストレート果汁を独自の製法でブレンドした「まるごとぎゅーっとゼリー」、ミネラル豊富な天草五和の塩を使用したアイスクリーム「塩バニラ」など、沿線の味覚が揃っています。また、キーホルダーやストラップ、車内で流れるジャズを収録したCD、クリアファイル、タオルなどのオリジナル商品もここで購入することができます。

地元育ちのデコポンが使用されたハイボールと、心が躍るジャズの音色


甘酸っぱさが人気の「“A”ハイボール」

1号車の「A-TRAIN BAR」のカウンターにはハイボールサーバーが備えられ、通常のハイボールのほか、地元のデコポンをアレンジした「“A”ハイボール」が販売されています。
ここでは列車名の由来であるジャズの名曲、「A列車で行こう」を向谷実氏がアレンジしたバージョンがBGMとして流れており、まさに大人旅にふさわしい空間が演出されていると言えるでしょう。先述のとおり、カウンター前のソファーはフリースペースなので、ここでグラスを傾けながらくつろぐのもおすすめです。

天草への高速船に接続


「天草宝島ライン」のクルーザー。実は特急「A列車で行こう」と同じ工業デザイナー、水戸岡鋭冶氏の監修

特急「A列車で行こう」の運転日には、三角駅から徒歩約5分の宇城市三角港と上天草市前島港(松島)を20分で結ぶ高速船「天草宝島ライン」3往復が運航されており、天草への旅行にも便利です。
JR券と「天草宝島ライン」乗船券がセットになった「天草・熊本2枚きっぷ」(おとな3,060円、こども1,530円 ※片道×2人でも利用可)があり、指定席特急券をプラスすれば「A列車で行こう」にも乗車可能です。


列車情報

運転日 土・日・祝日を中心に運転 ※詳しくはJR九州ホームページにてご確認ください。
運転区間 鹿児島本線・三角線(あまくさみすみ線) 熊本駅~三角駅間
運転時刻 【1号】熊本駅10:36発→三角駅11:13着
【3号】熊本駅12:24発→三角駅13:03着
【5号】熊本駅14:37発→三角駅15:15着
【2号】三角駅11:19発→熊本駅11:56着
【4号】三角駅13:50発→熊本駅14:31着
【6号】三角駅16:19発→熊本駅17:01着

特急「A列車で行こう」公式サイト(JR九州のホームページ)


著者紹介

ミスターK(結解喜幸)

1953年、東京都出身。出版社勤務を経て旅行写真作家に。鉄道や時刻表のたのしさを知り尽くした鉄道の達人。現在は地酒とつまみを追い求める「飲み鉄」にはまっている。

  • 文/ミスターK(結解喜幸)
  • 写真/株式会社シークルーズ、交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2021年8月現在のものです。
  • 運転日・運転区間等は変更となる場合があります。

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