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2021.07.21鉄道鉄道総研 新たな高速試験装置 時速500キロ域の走行状態を再現【今週の交通新聞より】

2021年7月19日~7月21日交通新聞から注目のニュースをご紹介!

交通新聞に掲載のニュースの中から、特に注目のニュースをトレたび編集室がピックアップしてご紹介します。

【今週注目のニュースはこちら】
・特集 鉄道総研 新たな高速試験装置 時速500キロ域の走行状態を再現
・JR東日本・びゅうトラベルサービス 軽井沢エリアで「学び」テーマにファミリーワーケーション商品
・JR九州 「36ぷらす3」39週目に合わせて特別車内イベント

  • 7月22・23日は祝日のため休刊です

7月19日 月曜日

特集 鉄道総研 新たな高速試験装置 時速500キロ域の走行状態を再現


交通新聞

 鉄道総研では昨年から今年にかけて、高速走行の状態を再現できる新たな試験装置を東京都国分寺市の国立研究所内に完成させた。新幹線などのパンタグラフの性能を評価する「高速パンタグラフ試験装置」と、車輪や車軸の耐久性・性能などを評価する「高速輪軸試験装置」で、いずれも最高時速500キロでの高速走行状態を再現可能なことから、さまざまな試験や現象解明への活用が期待される。両試験装置について紹介する。

■高速パンタグラフ試験装置

 気温、湿度の制御も可能に

 電気鉄道において架線とパンタグラフは、車両を駆動するエネルギー(電力)を車両に供給するための装置。エネルギーの授受は架線の中で最も下方に位置するトロリ線と、パンタグラフの舟体最上部のすり板がすべり接触によって形成する電気接点から行われる。トロリ線とすり板が離れるとアーク放電が発生し、両方の損耗を引き起こしてしまうことから、架線とパンタグラフの良好な接触状態を維持するためのさまざまな技術が施されている。

 パンタグラフには、すり板の局所的な摩耗を防ぐため左右にジグザグに張られている架線の架設範囲をカバーし、高低差や振動に追従できる追随性能が求められる。電車を動かすのに必要な電力を通電できる電流容量、すり板などの摩擦部品の耐摩耗性、さまざまな環境下でも使用可能な耐候性、走行中の空気力によって押上力が適切に変化する良好な揚力特性、高速走行中の低騒音性なども必要とされる。

 架線とパンタグラフの性能評価は、現車試験に比べて試験が容易で、さまざまな条件での試験ができることから、定置試験装置による現象再現が行われている。しかし、鉄道総研が従来所有していた「パンタグラフ総合試験装置」は架線を模擬した円盤の回転速度が時速300キロまでしか出ない、左右加振性能や通電能力が低い、実物のトロリ線が付けられないという制約や、1977年竣工(しゅんこう)で老朽化が進んでいるという背景があった。

 そこで、現在の営業最高速度を超える速度領域における集電性能と低騒音性能を両立する新幹線用パンタグラフの開発に当たり、パンタグラフが時速500キロでトロリ線から1000アンペアの電流を取り入れながら走行する状態を再現可能な試験装置を新たに製作することになった。

 新しくできた高速パンタグラフ試験装置は、1階に制御室や環境雰囲気制御装置を、地下1階に試験装置と装置を動かすための油圧源を設置している。

 試験装置は、トロリ線を配置した回転円盤を高速で回転させることで、円盤の下にあるパンタグラフがトロリ線に接触し、時速500キロの走行状態を再現できる。円盤は外周約12メートル、直径約3・8メートル。円盤を上下左右に加振することで、トロリ線の左右偏位、上下変位を再現。パンタグラフとトロリ線に電流(交流・直流を切り替え可能、最大電圧600ボルト、電流1000アンペア)を流すことで、走行時の離線アークや部材の温度上昇なども再現できる。パンタグラフ架台を上下に加振することにより、車両の上下振動を再現する。

 さらに、従来のパンタグラフ総合試験装置にはなかった環境雰囲気制御装置が設けられ、気温(マイナス20~プラス40度)や湿度(10~90%)の環境条件を制御した試験が可能となり、実現象の再現性が高くなった。

 昨年9月に竣工、10月から基礎データを取得する試験を実施している。今後は、現在の営業最高速度を超える速度域での集電性能と低騒音性能を備えた新しい新幹線用パンタグラフの開発に活用する。高速走行時のトロリ線の運動を再現し、パンタグラフの集電性能の評価も行う。さらに、温度や湿度などの環境条件を制御し、トロリ線とパンタグラフすり板の摩耗現象の解明、すり板の性能評価や寿命延伸に向けた材料評価、故障原因の解明などにも活用していく予定。

■軸距や空気ばね間隔 幅広い台車構造対応

 高速輪軸試験装置

 鉄道車両の安全な走行に重要な役割を果たす車輪や車軸。その耐久性や性能などを評価する試験装置として、高速輪軸試験装置が今年2月に完成した。

 輪軸を台車枠に組み込んで実際の走行条件を再現する。輪軸や台車部品の検査周期延伸などの保守省力化が求められる中、これまであった類似装置では実台車の性能・耐久性評価が困難だった。経年55年で老朽化が進んでいたため、走行中に台車へ作用する荷重を模擬しながら最高時速500キロでの台上試験が可能な装置の製作に至った。

 試験装置は、防振のため装置全体をコンクリート製の浮き床上に設置し、防音装置で全体を覆う構造。地上部に車両走行時の動揺を模擬する上下左右の加振機と車体質量相当の荷重枠があり、地下ピット部に車両走行状態を模擬する軌条輪装置と、それを回転させる誘導電動機、加減速時の車両の慣性を付与するフライホイールを設置している。

 試験の際はレールを模擬した円盤状の軌条輪を高速で回転させることで、車輪が軌条輪上を回転し、台車が最高時速500キロでレール上を走行している状態を再現できる。さらに、軌条輪を上下に加振することにより、軌道の高低変位を再現。車体を模擬した荷重枠に上下方向2本、左右方向1本の加振機を動作させることで、車体の上下左右の走行中の動揺を再現し、台車に発生する荷重を模擬できる。

 車両を加速・減速させる際に輪軸にかかる回転力(トルク)は、フライホイールにより模擬。時速300キロ以下では最大150キロニュートン、時速300キロ超では最大110キロニュートン相当の慣性質量を付与する。在来線用と新幹線用の軌間に対応しているほか、対応軸距1500~3000ミリ、空気ばね間隔は1750~2600ミリと幅広い台車構造に対応しており、さまざまな台車の試験が可能となっている。

 今後は、輪軸や軸受などの輪軸構成部品とその他台車部品に対し、実車に近い条件での耐久性評価試験を実施することで、寿命評価や検査周期の延伸などといった保守省力化に向けた研究開発を進める。台車の性能向上に向けた振動特性や温度特性などの評価試験、損傷原因の究明や不具合対策の効果検証にも活用していく。


7月20日 火曜日

JR東日本・びゅうトラベルサービス 軽井沢エリアで「学び」テーマにファミリーワーケーション商品


交通新聞

 JR東日本と同社グループのびゅうトラベルサービス(VTS)は、西武ホールディングスの子会社・プリンスホテルと連携し、長野県軽井沢エリアで「学び」をテーマにしたファミリーワーケーション商品などを発売している。大人、子ども双方に有意義な時間を過ごしてもらうほか、オリジナルの若年層向けキャンプワーケーションなども設定し、新しい働き方と新しい旅のスタイルを提供する。

 プリンスホテルと連携した商品は、ファミリーワーケーションとして、子どもに学びのプログラムを設定するとともに、大人には快適な仕事環境を提供。双方に有意義な時間を過ごしてもらえるようなプログラムを用意する。「日本の旅、鉄道の旅」サイトできょう20日以降順次発売開始。

 商品は、アウトドアリゾート「ライジング・フィールド軽井沢」で自然体験などのアクティブラーニング体験2泊3日(8月19~21、25~27日)や、「イートンハウス軽井沢」で英語や自主性を育むプログラム1泊2日(9月22~23日)、進化のプロセスを体感する生命進化編プログラム1泊2日(9月25~26日)などを設定した。対象は小学生、中学生など。

 また、プリンスホテルとVTSでは、アーリーチェックイン、レイトチェックアウトが可能な長時間滞在型プランも用意。現在、軽井沢、下田、雫石、万座、苗場、函館大沼の各プリンスホテルで発売中。軽井沢の場合、往復の交通費込み、2人1室利用で大人1人5万800円など。VTSのサイトから申し込む。

 このほか、JR東日本グループオリジナル商品として、ライジング・フィールド軽井沢でテントに宿泊するアウトドアワーケーション、JR東日本グループ運営ホテルでのプラン(宇都宮、館山、新潟、盛岡)のほか、東北や首都圏などでのロングステイプランも設定している。


7月21日 水曜日

JR九州 「36ぷらす3」39週目に合わせて特別車内イベント


交通新聞

 JR九州は、5日間で九州を一周するように走るD&S(観光)列車「36ぷらす3」があす22日から26日にかけての運行でデビュー39週目を迎えることを記念し、「39(サンキュー)」をかたどったフォトプロップスを用意するなど特別な車内イベントを実施する。

 記念撮影用のプロップスは、同列車1、6号車の畳と同じ熊本県八代産のイ草を使い、太い縄の輪の中に39を配置したデザイン。「イ草縄工房・竹 井上産業」(同県八代市)が輪、障がい者支援施設「熊本県くすのき園」(同県宇城市)が数字を作製した。

 また、同列車での思い出や誰かへの感謝の気持ちなどを車内で記入した乗客に限定オリジナル缶バッジを進呈。手吹きグラスと日本酒、コースターが一組の「九州酒あじわいセット」など3種類のセット商品を特別価格の3900円で販売する。

 22~26日の5日間は各ルートの停車駅で沿線自治体がおもてなしイベントを開催。23日の日豊線大隅大川原駅は地元高校生が作った食品販売、24日の日豊線重岡駅は日本酒の振る舞い、25日の同杵築駅は物販購入者先着39人にグッズプレゼントなどが行われる。



交通新聞

鉄道、航空、自動車などの交通機関はもとより、観光、旅行、経済など交通・運輸界にかかわる様々な情報を提供している総合専門紙。1943年(昭和18年)4月1日に「陸輸新報」として創刊、2013年(平成25年)12月18日には通巻2万号を迎えました。JR、私鉄、官公庁など幅広い読者の皆さまから高い評価を得ています。また、交通業界にとどまらず、不動産、金融、保険、サービスといった業界の方々からも注目されています。

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