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2021.08.19鉄道7200系(JR四国)―国鉄時代の置き土産・121系をリニューアル。ライムグリーン塗装の台車がキラリ

記念碑的車両・121系の後継。一新された走行機器で最高の乗り心地に

鉄道ファンといえば新幹線、観光列車に特急列車が好き……。それはもちろんその通り。
しかし日々の通勤や通学を支える普通・快速列車にも、たまらない魅力が隠されています。さながら実家のような安心感と最先端の技術を兼ね備える不思議な存在、それが普通・快速列車なのです。
 
今回は、JR四国の「7200系」を紹介します。
四国にとって記念碑的な存在である国鉄時代の置き土産・121系が、2016年~2019年にかけてリニューアルされたのがこの車両。
121系の歴史的な意義を受け継ぐかのように7200系もまた新機軸をいくつも引っ提げ、新たな時代を切り開く車両として存在感を示しています。
特に、台車をはじめとして一新された走行機器による乗り心地はまさに一乗の価値あり。


その知られざるヒミツを覗いてみましょう。

予讃線・土讃線を走る、つぶらな瞳の正体は


JR四国 7200系(121系リニューアル) これは全38両のうちの「7209」。系統のくくりだけではなく、車両一つひとつを個別に愛でたいもの

同僚の6000系や7000系と比べると、ヘッドライトが丸く突き出たデザイン。なんだかつぶらな瞳のようでキュートではありませんか?
カラーリングの詳細は後述しますが、赤と緑の重なったラインもハイカラで素敵です。

7200系の運転区間は、JR四国の予讃線(高松駅~伊予西条駅間)と土讃線(多度津駅~琴平駅間)。
有明浜や琴弾公園のならぶ美しい瀬戸内海沿い、それから金刀比羅宮へのルートという、香川県・愛媛県の重要なエリアを日々走っています。

見ているだけでも幸せな気分になる7200系ですが、その魅力は見た目だけではありません。歴史的な経緯を背景にした存在感、そして最先端の技術を駆使したその機能性はまさに圧倒的。JR四国の普通・快速列車の顔役と言ってもよいでしょう。
まずは、その歴史的な背景から。ルーツとなった121系とは、どんな車両だったのでしょう。

四国初の「電車」! 121系が 7200系のルーツ


JR四国 121系 赤のラインが施された121系

121系は1987年に導入された近郊形電車。2019年にすべての車両が7200系に置き換えられるまで、32年間にわたって予讃線と土讃線の一部を運転していました。
この車両は、実は四国にとって記念碑的な存在でした。国鉄からJRに移行するはざまの時期にあって、ある大きなイベントの主役となったのが、この121系だったのです。さて、そのイベントとは……!?

祝! 電化開業


JR四国 121系出発式

これは1987年(昭和62年)3月23日に撮影された、121系の出発式の写真。
出発式の写真にうつる垂れ幕にはこうあります。「祝 電化開業出発式」。

そう、それまで四国には気動車だけが走っており、国鉄分割民営化を9日後に控えたこの日、予讃本線(現在の予讃線)高松駅~坂出駅間・多度津駅~観音寺駅間と土讃本線(現在の土讃線)多度津駅~琴平駅間が初めて電化開業したのです。
121系はその区間用の車両として製造され、四国にとって初めての「電車」として栄光の運転開始を遂げたのでした。


JR四国 121系出発式

その後、予讃線は少しずつ電化され、1993年3月までに高松駅~伊予市駅間の電化開業を達成します。1992年には8000系、2014年には8600系といった特急電車も登場。四国においても電車の存在はごく当たり前のものとして定着していきました。
121系の出発式は、一つの近郊形電車が運転を開始した以上の大きな意味があるものでした。それは四国の鉄道にとって、当たり前に電車が走る未来への幕開けそのものだったのです。


JR四国 121系 「四国カラー」で運転していた121系

レトロなボディに最新の機器。7200系のヒミツに迫る

そんな121系も運転開始から30年以上が経過し、2016年~2019年には全38車両がリニューアル工事および型式変更が実施されることとなりました。
7000系との連結を考慮し「7200系」と名付けられたこの車両は、121系からステンレス製の車体こそ継承したものの、走行機器については最先端の技術を使ったものに一新。抵抗制御からVVVFインバータ制御(※)に変更、台車をコイルばね台車から「efWING」に交換するなどの改造を経て、大幅にパワーアップしました。

  • VVVF=Variable Voltage Variable Frequency(可変電圧可変周波数)。VVVFインバータ制御とは直流を交流に変換する制御のこと。

ライムグリーンに塗装された“最高級のスニーカー"のような台車。実は新素材技術の結晶


JR四国 7200系(121系リニューアル)efWING

オシャレは足元からと言いますが、鉄道車両でもそれは同じかもしれません。
デザインやビビッドな色合いが目を引くこの台車は、川崎重工業が開発した「efWING」。グッドデザイン賞・金賞(2013年)、日本産業技術大賞・文部科学大臣賞(2014年)という輝かしい受賞歴を持つ、台車界における次世代のスターです。

「efWING」のキーワードはずばり、「新素材技術を利用した構造の簡素化」。
従来の台車においては、鋼製の台車フレーム(側バリ)と台車フレームから独立したコイルばねが別々に用意されていました。この両方の機能を、主に航空機で使われるCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics、炭素繊維強化プラスチック。カーボン(炭素繊維)とプラスチックを合成した最新素材)製バネに一本化することで構造の簡素化に成功。
つまり、他の一般的な車両ではおなじみのコイルばねではなく、「efWING」と書かれた緑色の弓状の部分、まさに弓状にしなってばねの役割を果たすのです。

このように構造を刷新したことにより、安定的な加速・走行を実現するとともに、車両1両あたり900kg減という驚異的な軽量化が達成されました。鉄道車両の軽量化はすなわち、動力となるエネルギーの削減、ひいてはCO2排出量の低減につながります。
単にデザインが優れているだけではなく、その機能性と環境への配慮こそ「efWING」の真髄なのです。なんだか、まるで最高級のスニーカーのようではありませんか?


JR四国 7200系(121系リニューアル)

なお、7200系の車両のラインカラーは、121系の新製当時の赤色を踏襲した赤と、「efWING」の採用をはじめとした環境への配慮を表現した緑の二色で施されています。
板バネおよび車輪部分に彩色が施された、川崎重工業のモーターサイクル製品のイメージカラー・ライムグリーンとも響き合うデザインは、瀬戸内海や琴平山といった自然を借景するといっそう美しく映えるのです。

ロングシートとボックスシートの共存する車内


JR四国 7200系(121系リニューアル)

車内の座席配置はやや変則的な千鳥配置。ボックスシートの対面にロングシートが置かれています。
121系時代には一般的なセミクロスシートで、ボックスシートにはボックスシートが、ロングシートにはロングシートが向かい合っていたのですが、7200系にリニューアルする際に一部のボックスシートをロングシートに変更したという経緯があります。
同じタイミングで車いすスペースを設置。より多くの人に開かれた客室が志向されました。

動き出しの「揺れ」を楽しんでほしい…


JR四国 7200系(121系リニューアル) これは「7203」。つぶらな瞳で見つめられると……

かつて新時代を築いた車体を、今まさに次世代の技術が運ぶ。7200系はそんなドラマがある車両です。
通勤や通学で毎日乗る人は、ぜひそのドラマの存在に目を向けてみましょう。いつもと同じはずの単なる移動が、まるで色がついたように鮮やかに見違えるかもしれません。

そしてそれ以外の人は、観光列車と同じように、この車両に乗ることを目的に旅に出てみてはいかがでしょうか。
ここまで読んだあなたは立派な7200系ファン。実際に走る姿を目にして、その車体に乗り込み、動き出しの揺れを感じることの楽しさを、誰よりも深く味わえるはずです。

  • トレたび編集室/編
  • 写真/交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2021年8月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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