富士山と山間の風景を車窓に走る特急列車
東海道本線や身延線、飯田線などの特急列車に使用されるのが、普通車3両編成が基本の373系優等用直流電車です。車両は車窓の風景を楽しむのに最適なワイドビュー仕様で、白色の車両先頭部以外はステンレスが使用されています。車内は2人掛けのリクライニングシートのほか、3両編成のうち2両の車端部に4人用セミコンパートメント席が設置されています。東海道本線・身延線では、静岡駅~富士駅~甲府駅間を結ぶ特急「ふじかわ」に使用され、富士山や富士川を車窓に楽しめる列車として1日7往復が運行されています。
静岡駅を発車した列車は東海道本線を走り、清水駅、富士駅と停車。富士駅では進行方向を変え、富士山を右手車窓に見ながら1号車を先頭に身延線へと入ります。富士宮駅を発車してしばらくすると列車は南に向きを変え、沼久保駅の先から左手に富士川が寄り添ってきます。この先、列車は左手車窓に富士川を眺めながら北へと向かい、稲子駅を通過すると山梨県に入り、山間を縫うように走ります。鰍沢口駅(かじかざわぐちえき)を発車すると甲府盆地の開けた地形の中を走るようになり、善光寺駅を通過すると右手から中央本線が寄り添い、終着の甲府駅に到着します。
鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報
ステンレス車体の優等用直流電車
車体側面に車窓の風景を楽しめるワイドな窓を採用したのが、ステンレス車体の373系優等用直流電車です。曲面ガラスを使用した美しいフォルムの先頭部分は普通鋼製で、白色に塗装されています。車体中央にJR東海のコーポレートカラーのオレンジ色の帯が巻かれ、窓まわりは濃いグレーという特急車両にふさわしいシックで落ち着いた雰囲気があります。
リクライニングシートの普通車指定席・自由席
列車は普通車のみの3両編成で、身延線内で甲府寄りの1号車は指定席、2・3号車は自由席(2号車は指定席に変更となる時がある)です。車内にはフリーストップ式の回転式リクライニングシートが横2+2席で配置されています。座席にはひじ掛け内蔵の小型テーブルやフットレストが装備されていますので、ゆったりとくつろいで車窓の旅を楽しむことができます。
家族・グループに最適なセミコンパートメント席
先頭車両の3号車の車端部と2号車の両車端部には、家族旅行やグループ旅行に最適な普通車指定席のセミコンパートメント席が設置されています。ボックス席の中央には駅弁や飲み物を置ける大型テーブルが設置されていますので、食事などをしながらゆったりと過ごすことができます。なお、3号車の車端に4人用×2組、2号車の両車端に4人用×2組があります。
富士宮焼きそばや甲州のほうとうを満喫
全国区のB級グルメとして名高い「富士宮焼きそば」を味わえるのが、身延線富士宮駅が玄関口となる富士宮市です。市内各地で焼きそばの独特な香ばしさを楽しめます。また、甲府駅周辺には甲州名物の「ほうとう」や「馬刺し」を提供する郷土料理店があり、両端の始終着駅で駿河の海の幸と甲州の山の幸、途中下車してB級グルメを味わう旅が楽しめます。
身延山久遠寺や温泉など沿線名所が点在
富士宮駅から白糸の滝・富士五湖方面の路線バス、身延駅からは日蓮宗大本山・身延山久遠寺への路線バスが発着しています。久遠寺~奥之院間には身延山ロープウェイが運行されており、手軽に奥之院からの眺めを楽しむことができます。また、下部温泉駅が最寄り駅となる下部温泉郷は千二百年の歴史をもち、武田信玄公も戦いの傷を癒やした湯として知られています。
土曜・休日の旅に利用できる「休日乗り放題きっぷ」
東海道本線熱海~豊橋間および身延線全線、御殿場線全線のJR線の快速・普通列車の普通車自由席が、土曜・休日と12月30日~1月3日の期間のいずれか1日間が乗り降り自由となる「休日乗り放題きっぷ」(おとな2,720円、こども1,360円)。別に特急券を購入すれば、東海道本線・身延線の特急「ふじかわ」など在来線の特急列車が利用できます。
列車情報
運転日 | 毎日7往復 |
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運転区間 | 東海道本線・身延線 静岡駅~富士駅~甲府駅間 |
運転時刻 |
【下り(甲府方面)】 1号:静岡駅8:17発→甲府駅10:31着 13号:静岡駅19:45発→甲府駅22:06着 【上り(静岡方面)】 2号:甲府駅6:20発→静岡駅8:42着 14号:甲府駅18:36発→静岡駅20:58着 |
著者紹介
- ※文/ミスターK(結解喜幸)
- ※写真/ミスターK(結解喜幸)、SONIC RAIL GARDEN
- ※掲載されているデータは2022年3月12日現在のものです。
- ※運転日・運転区間等は変更となる場合があります。