トレたび JRグループ協力

2022.05.25鉄道鉄道写真家・村上悠太がリニア・鉄道館へ! 人気の車両展示やシミュレータはもちろん、鉄道ジオラマの裏側にも迫ります!

歴代車両から最新まで、人気の車両が勢ぞろい!

JR東海を象徴する歴代の在来線車両から東海道新幹線、そして超電導リニアまでが一堂に会するリニア・鉄道館。2019年には屋外でN700系量産先行車(X0編成)の展示もスタートし、より展示車両の魅力が増しました。
今回はそんなリニア・鉄道館について解説していきたいと思います!

『JR時刻表』×トレたび 連動企画です。


リニア・鉄道館 あおなみ線金城ふ頭駅から徒歩2分のリニア・鉄道館

リニア・鉄道館へ到着!出迎えてくれるのは……

リニア・鉄道館へはJR名古屋駅からあおなみ線に乗り換えて終点の金城ふ頭駅へ。駅を出て少しだけ名古屋方面に高架沿いを戻れば、リニア・鉄道館は目の前です。

館内に入るとまず来場者を出迎えてくれるのは、世界最高速度を記録した3両の「シンボル」たち。冒頭から蒸気機関車、新幹線、そして超電導リニアが登場します。


(左から)C62形式蒸気機関車17号機、955形新幹線試験電車(300X)、超電導リニアMLX01-1 (左から)それぞれの時代にそれぞれの技術を結集して世界最速を記録した「C62形式蒸気機関車17号機」、「955形新幹線試験電車(300X)」、「超電導リニアMLX01-1」

「超電導リニアMLX01-1」の車内 「超電導リニアMLX01-1」は車内に入ることも可能

新幹線の歴史がわかる車両展示!

さらに進むと車両たちが登場! リニア・鉄道館の広大な館内には全39両の車両が展示されています。特に目を引くのが東海道新幹線を駆け抜けた新幹線車両たち。シンボル展示、屋外展示を含めると13両展示されています。やはりJR東海といえば新幹線ですよね!


JR東海を象徴する東海道新幹線の歴代車両が並ぶ1階の車両展示 JR東海を象徴する東海道新幹線の歴代車両が並ぶ1階の車両展示

新幹線の展示両数は国内の展示施設・博物館と比較してもかなり多く、日本の新幹線史を開拓した0系から、2階建てグリーン車や個室など新しい旅客サービスを提案した100系、最高時速270km化を実現し、〔のぞみ〕時代の元祖ともいえる300系、快適性と環境適合性を高いレベルで実現した700系。そして屋外には東海道新幹線新世代を構築したN700系量産先行試作車と、東海道新幹線のありとあらゆるものが集結しているといっても過言ではない展示内容に、思わずうなってしまいます!


初代新幹線0系21形式新幹線電車 初代新幹線「0系21形式新幹線電車」。高速鉄道の歴史はこの車両から始まった


「100系168形式新幹線電車」は新幹線初の2階建ての食堂車 「100系168形式新幹線電車」は新幹線初の2階建ての食堂車

食堂車内 2階の食堂車車内も見学可能


東海道新幹線のニュースタンダードを築いたN700系新幹線電車は3両が保存 東海道新幹線のニュースタンダードを築いた「N700系新幹線電車」(量産先行試作車)は3両が保存され、車内見学も可能

普通車の座席 量産先行試作車の普通車には、量産車に取り付けられているコンセントがない!

憧れの新幹線を運転してみよう!

リニア・鉄道館では東海道新幹線を「見る」だけでなく、運転体験ができるのも大きな特徴! 誰でも運転士気分が体験できるシミュレータには「新幹線シミュレータ『N700』」があり、実際の運転室を限りなく再現したリアルなモックアップで運転体験をすることができます。


リアル運転を体験できる「新幹線シミュレータ『N700』」 限りなくリアルな運転を体験できる「新幹線シミュレータ『N700』」

新幹線シミュレータN700内 体験は総合案内受付での先着順で1回500円

在来線の保存車両も見どころ!

新幹線だけでなく、在来線の保存車両も貴重な車両たちが勢ぞろい。新型車両HC85系が投入される特急〔ひだ〕や〔南紀〕として活躍していた「キハ82形式気動車」、急カーブが続く中央本線の速達化を実現した「クハ381形式電車」などが展示されています。


在来線の展示車両 在来線の展示車両(一番手前が「キハ82形式気動車」)

在来線の展示車両 特急〔しなの〕として活躍した「クハ381形式電車」


ホジ6005 形式蒸気動車 「ホジ6005 形式蒸気動車」

国鉄バス第1号車 「国鉄バス第1号車」。「ホジ6005形式蒸気動車」とともに国の重要指定文化財にも指定されている

在来線にもシミュレータが!

さて、先ほどご紹介したリニア・鉄道館のシミュレータ。N700系のほかにも「在来線シミュレータ『運転・車掌』」があり、ツーハンドルタイプの211系とワンハンドルタイプの313系の各4台の運転シミュレータがあります。こちらのシミュレータは運輸区で使用している運転訓練装置をベースにしているため本格派!


在来線タイプのシミュレータ 在来線タイプのシミュレータもずらり

さらに、同じ部屋の奥にある車掌シミュレータは、国内の博物館系施設で初導入となったシミュレータ。運転シミュレータ同様に、実際の車掌訓練装置を元にした施設で、大型モニターに映し出される映像を見て安全を確認しながらドアを開閉するほか、実際に車内放送を体験することが可能です。

リニア・鉄道館の各シミュレータは先着順・有料で、新幹線シミュレータと在来線の車掌シミュレータは総合案内で受付しており、1回各500円です。在来線の運転シミュレータはシミュレータがある部屋の前の券売機にて利用券を購入して体験することができます。こちらは1回100円です。

精巧に再現されたジオラマの世界へ

そして、リニア・鉄道館に入館したら絶対に見逃せないのがジオラマ! レール全長は約1km、約220㎡の日本最大級の「鉄道ジオラマ」には、東海道新幹線沿線の東京から大阪までの風景が至る所に散りばめられており、その中をJR東海の車両たちが24時間の時の流れに合わせて走行していきます。


リニア・鉄道館の広大な鉄道ジオラマ リニア・鉄道館の広大な鉄道ジオラマ

東海道新幹線沿線の風景が再現されている 東海道新幹線沿線の風景が再現されている

この「24時間」というのがジオラマでは大切なキーワードになっており、始発の時間帯から一斉に車両が登場すると、ジオラマ上は一気に華やかに。お昼を過ぎ夕方に差し掛かると、徐々に情景も暗くなっていき、空には月や花火が登場します。

さらに今では唯一の定期寝台特急列車となった〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕も登場。美しいジオラマ夜景の中を、客室内の明かりでやわらかく周囲を照らしながら走る光景は、実車同様に夜行列車特有のロマンを感じます。


夜の街を駆け抜ける〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕 夜の街を駆け抜ける〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕

この夜間時間帯に注目したいのが新幹線が走る線路。終電が終わり、静まり返っているかと思いきや、夜間作業を行う「保守用車」が始発までの間に線路のメンテナンスを行う姿が再現されています。この光景はほかの博物館などではあまり見られないので、必見です。


夜間には影ながら新幹線を支える「保守用車」が登場 夜間には影ながら新幹線を支える「保守用車」が登場


JR東海の名古屋工場の様子 JR東海 名古屋工場の様子

JR東海 浜松工場の様子 JR東海 浜松工場の様子

そしてやはりリニア・鉄道館ですから、東海道新幹線の車両たちはいわば主役! 最新鋭のN700Sも登場しており、もちろん実車同様の16両という長大編成で走行しています。その全長は約5mにもおよび、実車も長いですが模型でもとっても長い!


名古屋の街を後にするN700系 名古屋の街を後にするN700系。16両のフル編成でジオラマを駆け抜ける!


名古屋駅の地下にはリニア中央新幹線のホームが見える 名古屋駅の地下にはリニア中央新幹線のホームが見える

精巧に作られたジオラマの中には、よーく見るとどこかで見たこと(読んだこと?)がある光景も。ジオラマ内には『あかずきんちゃん』や『三匹の子豚』といった童話に出てくるキャラクターがさまざまなところに登場しています! ユーモアあふれる光景になっているので、ぜひ探してみてくださいね!


ジオラマの海底 海底には……あれ?竜宮城!?

そんな見どころ満載の鉄道ジオラマですが、運行には独自開発した「デジタル運行システム」が使用されています。このジオラマの列車たちは実車同様に厳密に設定された「ダイヤ」を各自で持ち、そのダイヤに則って時刻通りに自動運転がされています。

また、その時刻展開に合わせて情景の演出も変化。これらを全て管理しているのが「デジタル運行システム」なのです! さらに自動列車制御装置(ATC)にならった機能も搭載されており、マニュアル運転時などに仮に先行列車と接近したとしても、自動でブレーキがかかるように設計されています。開館当時から導入されているこのシステムは非常に画期的なものとして注目を集めました。

この「デジタル運行システム」をはじめ、日々のジオラマ・車両メンテナンスに携わっている、株式会社ヤマネの高見浩さんにお話を伺いました。


リニア・鉄道館の鉄道ジオラマをメンテナンスする株式会社ヤマネ 高見浩さん リニア・鉄道館の鉄道ジオラマをメンテナンスする株式会社ヤマネ 高見浩さん

「手動運転では難しい、よりリアルかつ確実な運転を実現するために導入されたデジタル運行システムをはじめ、あらゆる世代の方にジオラマに親しんでいただけるように配置した『童話』の登場人物や各種トリビア、走行音や雰囲気をダイレクトに感じられようにガラスでジオラマと観覧スペースを隔てていない臨場感あふれるオープンタイプの展示の採用など、開館当時のジオラマ設計では非常に斬新な試みが行われたのがリニア・鉄道館のジオラマにおける大きな特徴です。

広大なジオラマとなったことから、従来のような観覧席を設けず、演出運行中でも気兼ねなく自由に観覧位置を移動できるようにも配慮しています。約1000mにも及ぶレールを毎日繰り返し走行する車両たちは、一般的な鉄道模型と比べて走行距離が圧倒的に多くなるため、モーター、台車などの回転部品を中心に耐久性を向上させる改造を施しています。ジオラマも実車同様に予期せぬトラブルでの運行停止は避けなければなりません。そうした面でも日々の車両メンテナンスは欠かせません。

開館前にはレール上を清掃する専用の『清掃車』が走行し、集電と列車制御を確実に行えるようにメンテナンスしているほか、私のように館内には常に1人以上の専門スタッフが常駐しています。」


開館前にジオラマを走行するレール清掃車 開館前にジオラマを走行するレール清掃車


メンテナンスを受ける車両たち 高見さんの手で丁寧にメンテナンスを受ける車両たち

N700S この日はN700Sの姿もあった

ジオラマ横の部屋にはメンテナンス中の車両が並んでいるほか、壁には緻密に練られた全車両たちのメンテナンススケジュールが貼られていました。

「計画的にメンテナンスを実行していくことで、お客さまが楽しみにしてくださる車両が高頻度に登場できるように考慮しながらスケジュールを立てています」(高見さん)


メンテナンスを実施 こちらの部屋でメンテナンスを実施

車両の並ぶ姿 車両の並ぶ姿も美しい

リニア・鉄道館の鉄道ジオラマの演出運行は毎時00分と30分に行われ、各回20分、見学は無料です。

現在、館内では〔のぞみ〕誕生30周年を記念して2023年1月30日まで第11回企画展「東海道新幹線の進化~300系新幹線電車のデビューと果たした役割~」が開催中! 様々な企画のほか、鉄道ジオラマを走る300系にもあの「ラストラン装飾」が12月26日までの期間限定で施されています。


今しか見られない300系の姿 今しか見られない300系の姿をぜひ!

ロゴ ロゴもばっちり


リニア関連の展示 リニア関連の展示

キッズスペースも充実 キッズスペースも充実

在来線からリニアまで、日本の鉄道テクノロジーを見て感じて体験できるリニア・鉄道館にぜひ出かけてみてくださいね。


リニア・鉄道館

時間 10:00~17:30(最終入館は17:00まで)
定休日 毎週火曜日(祝日の場合は翌日) 年末年始12月28日~1月1日/ゴールデンウイーク、お盆、年末期間等は一部火曜日も開館。天候等の理由により臨時休館する場合あり。
交通アクセス 名古屋駅からあおなみ線金城ふ頭駅より徒歩2分
値段 おとな1,000円、小中高生500円、幼児(3歳以上未就学児)200円  ※シミュレータ体験には別途料金がかかります
URL https://museum.jr-central.co.jp/

著者紹介

村上悠太

1987年鉄道発祥の地新橋生まれ、JRと同い年の鉄道写真家。
交通新聞社刊『鉄道ダイヤ情報』では「ユータアニキ」としてあらゆる現場で鉄道を支える「鉄道HERO」たちの取材を続ける。元々旅好きから写真を始めたので、乗り物に乗って旅をしながら写真を撮るのが大好き。

Twitter:https://twitter.com/yuta_murakami
Instagram:https://www.instagram.com/yuta_murakami/

リニア・鉄道館だけじゃない、全国の鉄道ミュージアムのジオラマは『JR時刻表』2022年6月号で!

『JR時刻表』2022年6月号では、「小さな世界の大きなロマン 見に行きたい!鉄道ジオラマ」と題し、こちらで紹介したリニア・鉄道館のジオラマの他、全国の鉄道ミュージアムのジオラマの魅力に迫ります。


JR時刻表2022年6月号

夏の臨時列車初掲載!
巻頭カラー企画では特集「小さな世界の大きなロマン 見に行きたい!鉄道ジオラマ」をはじめ、好評連載中のリレーエッセイ「十人十鉄」では、アナウンサーの山本隆弥さんに鉄道旅行の思い出を綴っていただきました。夏の臨時列車の時刻のほか、“立山黒部アルペンきっぷ”の情報も掲載しています。

【JR時刻表とは】
JR線の全線全駅を掲載。主要駅の構内図、私鉄、国内線航空ダイヤも収録。駅の旅行センター・みどりの窓口でも使われている時刻表です。
見やすい2色刷り/JR6社共同編集/JR6社の主要ニュースを掲載

●本記事はJR時刻表2022年6月号 との共同企画です。      


JR時刻表2022年6月号をもっと見る

  • 取材・撮影・文=村上悠太
  • 掲載されているデータは2022年5月2日現在のものです。
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