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2025.11.20鉄道『JR時刻表』連載「駅グルメ」Vol.06 駅弁「松山名物 醤油めし」

あなたにとって思い出深い一品はありますか?

毎月、駅で出逢える全国各地のグルメを紹介する連載「駅グルメ」のVol.06です。
今回のグルメは駅弁「松山名物 醤油めし」。

最新のエピソードは、毎月発行の『JR時刻表』で公開中!


駅弁の絵

昭和の郷愁と共に味わいたい、松山の味

岡山駅から四国にやってくる特急〔しおかぜ〕。まるで新幹線のような流線形の8000系電車が来るか、それとも蒸気機関車のような顔つきの8600系電車が来るか、少しワクワクする瞬間だ。島から島へと瀬戸大橋を渡り、小さな船が浮かんだ海と段々畑が続く予讃線の旅は、まるで「瀬戸の花嫁」のメロディーのような郷愁にあふれている。

そんな「しおかぜ」に揺られてやってきた松山駅は、2024年10月に三代目駅舎がリニューアルオープンしたばかり。長年、販売されている駅弁「松山名物 醤油めし」も健在だ。松山では昔から炊き込みご飯が「醤油めし」と呼ばれ、ハレの日に食べられてきた。この郷土料理が、昭和30年代に駅弁化されて、今も伊予弁のパッケージと共に長く親しまれている。

包装を開けると、濃口醤油で炊き込んだご飯の上に鶏肉や松山揚げ、こんにゃく、にんじん、ごぼう、たけのこなどの具がたっぷりのっていて、箸がどんどん進む。最後にいただくのは、デザート代わりのさくらんぼ。昭和にタイムスリップしてしまったかのような錯覚をおぼえる。

ちなみに、現在の醤油めしは開発した鈴木弁当店のレシピを受け継いで、岡山の三好野本店が製造している。それゆえ、包装には「鈴木弁当店監修」の文字が入っており、「JR松山駅だんだん通り」にある売店での販売は、午前10時ごろからとなる(数量限定・売切御免)。岡山から松山へ、毎日海を渡ってやってくる。醤油めしは「旅する駅弁」でもあるのだ。


特急〔しおかぜ・いしづち〕

みかん山から見下ろす瀬戸内海

さあ、「松山名物 醤油めし」を片手に乗り込むのは、やっぱり岡山行きの特急〔しおかぜ〕がよかろう。
高松行きの特急〔いしづち〕を併合する列車が多く、松山駅から今治駅の間、進行方向左手に広がる瀬戸内海を眺めていただくと一層おいしく感じられる。宇和島行の特急〔宇和海〕に乗り込んで、内子の街並みや大洲城を訪ねるのも旅情がある。

めいっぱい歩いたら松山駅から歴史ある道後温泉本館へ足を伸ばして旅の疲れを癒やしたい。


特急〔宇和海〕

道後温泉本館


松山名物 醤油めし

発売駅:松山駅 ※販売駅は代表駅のみを記載しています。
ねだん:980円(税込)
製造元:三好野本店

次号は駅弁「勾玉」。
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  • 『JR時刻表』2025年12月号掲載時点の内容です。
  • 取材・文・画像=望月崇史
  • イラスト=佐藤妃七子

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