あなたにとって思い出深い一品はありますか?
毎月、駅で出逢える全国各地のグルメを紹介する連載「駅グルメ」のVol.10です。
今回のグルメは駅弁「特製 牛のワイン漬ステーキ辨當」。
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十勝ワインと牛肉のうま味で、心晴れ晴れ!
北海道の晴れた空が好きだ。とくに札幌から釧路へ向かう特急〔おおぞら〕に揺られて狩勝峠を下っていくと、車窓に広がる十勝の青空は、じつに清々しい。旅への期待と不安が入り混じっていても、心まで軽くしてくれそうだ。
根室本線の池田駅には「特製 牛のワイン漬ステーキ辨當」がある。帯広駅を出た列車が十勝川や利別川を渡ると、程なく池田駅。丘の上にそびえる「いけだワイン城」を見て、駅前の「レストランよねくら」を訪ねれば、早くもデミグラスソースのいい匂いがしてきた。
特急〔おおぞら〕
いけだワイン城
レストランの運営と駅弁の製造を手がける米倉商店は、1905(明治38)年から池田駅の駅弁を作り続けてきた老舗。「特製 牛のワイン漬ステーキ辨當」は、ワイン城が開業した年と同じ、1974(昭和49)年の発売だ。当時、最新鋭だった国鉄の電気機関車。その機関車が牽引する列車を描いた掛け紙が、今も使われていて懐かしい印象を受ける。不思議なのは、根室本線は今も非電化なのに、なぜ電気機関車が描かれたのか。聞けば、当初からのロングセラー「親子弁当」の掛け紙にはSLが描かれており、蒸気から電気の時代に変わる時期、新作駅弁にデザインしたのではないかとのこと。これはこれで気持ちが上がる。
さっそく蓋を開けると、ミディアムに焼き上げられた肉厚な北海道産牛肉が現れて、スパイシーな香り……もう待てない。程よい大きさにカットされた肉をほおばると、口いっぱいに牛肉のうま味が広がる。隠し味はもちろん池田町特産の十勝ワイン。初めに軽く漬け、仕上げにサッと振りかける。地元の皆さんにも愛されているこの味は予約が確実(焼加減は応相談)。弁当の温もりを感じながら池田駅のホームに戻ると、どこか懐かしい駅メロにのせて特急〔おおぞら〕が入ってきた。シートに身を委ね、雄大な十勝平野を眺めて、新鮮な野菜と一緒にステーキを味わえば、旅人の心は明日もきっと晴れるだろう。
特製 牛のワイン漬ステーキ辨當
発売駅:池田駅 ※販売駅は代表駅のみを記載しています。
ねだん:1,300円(税込)
製造元:米倉商店
次号は駅弁「あなごめし」。
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- ※『JR時刻表』2026年4月号掲載時点の内容です。
- ※取材・文・画像=望月崇史
- ※イラスト=佐藤妃七子

