あなたにとって思い出深い一品はありますか?
毎月、駅で出逢える全国各地のグルメを紹介する連載「駅グルメ」のVol.11です。
今回のグルメは駅弁「あなごめし」。
最新のエピソードは、毎月発行の『JR時刻表』で公開中!
連絡船時代から高松駅と共に歩んできた、讃岐の味
2階建て車両が現れると、童心に返るような気がする。2階席へ階段を上る時のワクワクした気分。普段より高い視線で楽しめる眺望。岡山と高松を結ぶ快速〔マリンライナー〕のグリーン席もそのひとつだ。しかも、車窓には陽光きらめく瀬戸内海、点在する島々、行き交う貨物船や小さな漁船の営みが見えて、さらに気持ちが高まる。瀬戸大橋を渡り、讃岐平野のため池が見えてくると、列車は終着の高松に着く。高松駅は全てのホームが行き止まり式になっていて、桟橋につながっていた昔の宇高連絡船の名残を感じさせる。
この連絡船時代、1960(昭和35)年から高松駅で販売されている駅弁が「あなごめし」だ。現在は当時の高松駅弁からレシピを受け継いだJR四国ステーション開発が販売する。「あなごめし」は2024年にリニューアルされ、パッケージが「金比羅流し樽」と瀬戸内の島々をデザインした1980(昭和55)年頃の掛け紙をオマージュしたものになった。「金比羅流し樽」とは海の神様・こんぴらさんにお参りできない人が、航海の安全などの願いを込めて樽を海に流し、その樽を拾った人が代わりにお参りして樽を奉納する、江戸時代から漁師に伝わる風習。樽を流した人も届けた人も、神のご加護があって願いが叶うと伝わる。そう聞くと、いただくだけでありがたみが増すような気がする。ふたを開けると、讃岐うどんの特徴・いりこだしをベースに味付けされたごはんのうえにこだわりのタレで香ばしく焼き上げた焼きあなごと煮あなごが一面にのっている。焼きあなごの焦げ目の風味と甘辛な香川の郷土料理・しょうゆ豆がいいアクセントだ。
高松を拠点に香川の旅でいっぱいうどんを食べ歩けば、駅に戻ってくる頃にはちょうどごはんが恋しくなるだろう。そこに程よいボリュームの「あなごめし」が待っている。高松から岡山へ快速〔マリンライナー〕、松山へ特急〔いしづち〕、あるいは徳島へ特急〔うずしお〕で、高松駅弁伝統の味を味わいたい。
特急〔うずしお〕
特急〔いしづち〕
瀬戸の味 あなごめし
発売駅:高松駅 ※販売駅は代表駅のみを記載しています。
ねだん:1,280円(税込)
製造元:JR四国ステーション開発
次号は駅弁「なごや」。
みなさまの好きな駅グルメをXで募集中!「#時刻表グルメ」でエピソードと一緒に教えてください!
- ※『JR時刻表』2026年5月号掲載時点の内容です。
- ※取材・文・画像=望月崇史
- ※イラスト=佐藤妃七子

