あなたにとって思い出深い一品はありますか?
毎月、駅で出逢える全国各地のグルメを紹介する連載「駅グルメ」のVol.12です。
今回のグルメは駅弁「なごや」。
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名古屋の特別な幕の内で味わう料亭の技
東海道新幹線〔のぞみ〕の下り列車には、ダイヤ通りの運転であれば、ほぼ決まって流れる車内放送がある。「この列車はただいま途中の三河安城駅を時刻通りに通過しました。次の名古屋まではおよそ9分です」何度か〔のぞみ〕に乗ったことがあれば、一度は聞いたことがあるだろう。ほどなく名古屋で降りる人々の身支度が始まって、落ち着いていた車内が少しざわざわし始めるのも〔のぞみ〕の風物詩である。
今年、開業140周年を迎えた名古屋駅で下車して売店をのぞくと、松浦商店の「なごや」という駅弁が目に止まった。名古屋のちょっといい幕の内弁当だ。幕の内ではかまぼこ・玉子焼き・焼き魚の3つのおかずが、いわゆる「三種の神器」と呼ばれる。「なごや」の三種の神器は特別感がある。目立つのは紅白のかまぼこ。玉子焼きは自家製だし巻きたまごだ。上品な甘みが心地いい。そして、肝心の焼き魚は、口に運ぶ前によく目を凝らしてもらいたい。焼き上げられた鰆(さわら)の身に小さな穴が見える。松浦商店の焼き魚は串焼きされている。その串の穴なのだ。これを見つけられるとうれしくなる。名古屋駅に数多くある売店に山積みされている駅弁でも、調理場の職人さんが一本一本串を刺して丁寧に焼き上げていると思えば、味わいもより深い。
大正時代から名古屋の駅弁を手掛ける松浦商店は、大須の料亭がルーツ。「なごや」には、オリジナルのしょうゆと三温糖を使った自家製の煮物とともに料亭時代からの技が、今も惜しみなく注がれている。
さあ、「なごや」を持ってどこへ出かけよう。中央本線の特急〔しなの〕で木曽谷へ向かえば、旧中山道の馬籠・妻籠・奈良井などの宿場町の散策が楽しい。高山本線直通の特急〔ひだ〕なら、飛水峡や中山七里の車窓、下呂や奥飛騨の温泉に癒やされる。関西本線の快速〔みえ〕の指定席で伊勢参り、特急〔南紀〕で熊野へ足を伸ばすのもいい。名古屋から料亭の技で作られた駅弁を味わいながら、列車の大きな窓に広がる景色を満喫しようではないか。
N700S東海道新幹線
特急〔ひだ〕
松浦特製 幕の内 なごや
発売駅:名古屋駅 ※販売駅は代表駅のみを記載しています。
ねだん:1,380円(税込)
製造元:松浦商店
次号は駅うどん「三ツ矢うどん」。
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- ※『JR時刻表』2026年6月号掲載時点の内容です。
- ※取材・文・画像=望月崇史
- ※イラスト=佐藤妃七子

