あなたにとって思い出深い一品はありますか?
毎月、駅で出逢える全国各地のグルメを紹介する連載「駅グルメ」のVol.17です。
今回のグルメは駅弁「富山味づくし」。
最新のエピソードは、毎月発行の『JR時刻表』で公開中!
富山の高級料亭の味を伝える、ぜいたくな駅弁!
東京から北陸新幹線〔かがやき〕でおよそ2時間。富山駅の新幹線中央改札口を抜けると、正面に路面電車が見える。時速260㎞と時速40㎞の世界がシームレスにつながった令和の富山駅の風景は、便利であることはもちろん、鉄道の新たな可能性を感じさせてくれて、訪れるたびに好きになる。
改札口の横で目立つのは「ますのすし」と書かれたのぼり。富山で一世紀以上にわたって駅弁「ますのすし」を作り続ける源の売店だ。源のルーツは、明治時代の高級料亭・天人楼にある。この天人楼が1900(明治33)年、高級料亭旅館・富山ホテルを創業。1908(明治41)年の鉄道開業にあわせて支店を設け、駅構内での弁当販売を始め、ここから富山における駅弁の歴史が始まった。
この高級料亭に由来する伝統の味を楽しめる駅弁が「富山味づくし」だ。売店に陳列されている駅弁のなかでも、ひと際目立つ桃色の風呂敷に包まれている。ほどくと掛け紙とひもが十字にかけられた二段重ねの折箱が現れて気分上々。掛け紙の裏には、源がおすすめする富山のスポットを紹介した地図が描かれていて旅心をくすぐる。ふたを開けると、一の重が顔をのぞかせた。心して味わいたいのはますひれのうま煮と昆布巻きだ。じっくり煮込まれたますひれのコリコリとした食感とうまみが染みわたった昆布の上品な味わい。高級料亭の技が今に生きている。ぶりのみそ焼き、たこのうま煮 枝豆添え、ますのすしも入って全20品、心づくしの逸品だ。
「富山味づくし」を味わうなら、やはり富山の美しい車窓を眺めていただきたい。新幹線のテーブルいっぱいに弁当を広げ、旅の思い出にひたろう。氷見線、城端線では国鉄生まれのディーゼルカーが今も健在だ。通学時間帯以外は車内はのんびりとした雰囲気で、雨晴海岸から富山湾越しの立山連峰を眺めるもよし、砺波平野で散居村の森を感じるのもいい。さあ、魚介がますますおいしくなる冬の富山へ出かけてみよう。
北陸新幹線〔かがやき〕
城端線 国鉄型ディーゼルカー
富山味づくし
発売駅:富山駅 ※販売駅は代表駅のみを記載しています。
ねだん:1,500円(税込)
製造元:源
次号は駅そば「穴子天そば」。
- ※『JR時刻表』2026年11月号掲載時点の内容です。
- ※取材・文・画像=望月崇史
- ※イラスト=佐藤妃七子

