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2022.04.20鉄道保守工事って何をしているの?【JR北海道に聞いてみました】

JR北海道に聞いてみました!

『JR時刻表』編集部がJR各社に鉄道にまつわるさまざまな疑問をQ&A方式で聞いていく連載です。
今回は……

Q. 保守工事って何をしているの?

青函トンネルを含む青函共用走行区間工事を行うJR北海道に聞いてみました!

A. 

青函共用走行区間の保守工事では、5月15日~6月26日の毎週日曜に最終の北海道新幹線(新青森〜新函館北斗間)を運休し、間合いを拡大して工事を行います。
青函共用走行区間とは、北海道新幹線の新青森~新函館北斗間の約149kmのうち、青函トンネルを含む約82kmの区間のこと。三線軌条という特別な線路構造になっており、新幹線と在来線貨物列車、在来線旅客列車(「TRAIN SUITE 四季島」)が同一の線路を走行しています。

保守工事が行われる部分としてまず挙げられるのが、列車のパンタグラフと直接接触し、列車に電気を送る「トロリ線」等の架線。青函トンネル内には総数378kmの架線があります。新幹線の架線には中間に接続点を設けないために、1本の長さが約1500mの架線を一晩で取り替える必要があります。パンタグラフの通過により微量ですが摩耗するため、計画的に交換する必要があります。


保守用車によるトロリ線の取替作業

そのほか、「軌道」の保守工事も重要です。青函共用走行区間における「レール」などの設備は、海峡線開業時に敷設されたものが経年30年以上、新幹線開業に合わせて敷設されたものが経年10年程度のため、ダメージが蓄積した状況といえます。
また、青函トンネル内は高湿度であり、海底部分は海水の影響により設備が腐食しやすくなっていることから、継続的な補修・交換工事が必要です。

軌道は4つの部材により構成されていますが、このうち「レール」については、在来線貨物列車などが走る「狭軌線レール」の大部分を交換する工事を進めています。1回あたりのレール交換は約400~600mほど。ロングレール運搬車と呼ばれる車両で新レールを現地まで運び、その場で新レールどうしを溶接し、古いレールと一晩で入れ替えて交換完了です。


レール端部の溶接作業

摩耗・劣化した架線や部材の交換を進めるとともに、更新後も設備点検にもとづく補修を行うことで、安全で安定的な輸送を確保していきます。

  • 『JR時刻表』2022年5月号掲載時点の内容です。
  • 写真=JR北海道提供
  • 構成=時刻表編集部

『JR時刻表』2022年5月号の詳細はこちら

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