JR西日本に聞いてみました!
『JR時刻表』編集部がJR各社に鉄道にまつわるさまざまな疑問をQ&A方式で聞いていく連載です。
今回は……
Q. 駅の新技術について教えて!
駅の新技術はどのように導入されるのでしょうか。2023年3月に開業した大阪駅(うめきたエリア)の新技術について、JR西日本に聞いてみました!
A. 「フルスクリーンホームドア」「顔認証改札機」「みどりの券売機プラス+AI」など、利便性の高いサービスを実現しました
JR西日本が描く、20年後のありたい姿を示した「JR西日本技術ビジョン」。この具現化に挑戦する “未来駅” として位置付けた大阪駅(うめきたエリア)が、2023年3月に開業しました。
「あなたが笑顔になる駅」をコンセプトに、技術開発やオープンイノベーションを軸とした共創を推進することとし、それぞれの導入サービス実現のために取り組んできました。
大阪駅(うめきたエリア)に導入した、最新技術を活用した設備やサービスの一例として、「フルスクリーンホームドア」は、ふすまのように動くことにより、あらゆる車種や編成の乗降口に合わせて開閉できる、世界初のホームドアです。なにわ筋線開業の将来を見据え、開発しました。
「顔認証改札機」は、ICOCA定期券のIDと顔情報をスマートフォン専用サイトに登録することによって、お客さまのお顔を識別し、ICカードを改札機にタッチすることなくスムーズに専用改札機を通過できます。
「みどりの券売機プラス+AI」は、画面に投影されるバーチャル駅員との対話を通じ、ご要望の内容をバーチャル駅員が理解し、最適なきっぷ購入のアシストを行います。全国で初めて大阪駅(うめきたエリア)に導入しました。
「デジタル可変案内サイン」は、"自分専用の行き先案内"サービスです。JR西日本のアプリ「WESTER」で事前に目的地を登録すると、スマートフォンに自分専用のマークが表示され、デジタル案内板に接近すると、進行方向を連続的に表示します。
「インタラクティブ空間」は、地下駅コンコースフロアの空間を最大限に活用し、壁一面に設置した大型スクリーンのほか、液晶ディスプレイやタッチパネルを連動させて、迫力ある映像により駅を訪れる方々の日常を彩り、癒やしやワクワクをお届けします。
これらのさまざまなコンテンツにより、シームレスな移動や一人ひとりに応じた利便性の高いサービスが実現しました。
これまでにない設備やサービスの構想を1から築き上げ、技術によって具現化させていくことは、正解のないプロジェクトであり苦悩の連続でした。しかし、プロジェクトに賛同してくれた社内外の多くのメンバーの支援のもと開業を迎え、想像を超えた感動を得たと同時に、改めて「人」と「技術」のすごさを感じることができました。
これまでの駅は、鉄道に乗るためにお越しいただく場所でした。これからは、駅そのものに訪れてみたくなるような場所にしていきたい、大阪駅(うめきたエリア)がその1つの代表例になればよいと思っています。
2025年の大阪・関西万博を見据えて、今後もさらにイノベーションを加速させていきます。地下駅部分と、その直上に2025年春頃全面開業予定の新駅ビルとをあわせた、大阪駅(うめきたエリア)全体をイノベーションの実験場「JR WEST LABO」の中心と位置付けました。うめきたエリアの玄関口として、うめきた全体の盛り上げに貢献するとともに、新たな価値を創造し、社会課題の解決に向けて取り組んでいきます。
現時点では未定ですが、ご紹介した技術を含め導入した技術については、まずは大阪駅(うめきたエリア)でのご利用状況や導入効果等を考慮し、その上で他駅展開などのスケジュールを具体化していきたいと考えています。その他の新しい技術については、「JR WEST LABO」での共創の取り組みに応じて検討していきます。
- ※写真=JR西日本提供
- ※構成=時刻表編集部