JR北海道に聞いてみました!
『JR時刻表』編集部がJR各社に鉄道にまつわるさまざまな疑問をQ&A方式で聞いていく連載です。
今回は……
Q. 在来線新型車両の導入について教えて!
新型車両導入までの工程や、今年デビューした737系電車の特長について、JR北海道に聞いてみました!
A. 在来線の新型車両の開発・導入は一大プロジェクト!
長い年月をかけて造られる、新型車両
在来線の新型車両の開発・導入には3~5年を要し、当社では社内だけでも50人ほどの人が関わります。基本的には車両導入計画の策定から始まり、車両仕様の検討、導入決定後には車両メーカーと契約して設計会議・車両製作・立ち会い検査を行います。
運用開始までに行われる試験では、加速やブレーキといった走行安定性などの各種性能確認を実施。そして、乗務員の車両機器や応急処置の養成・訓練運転を経て、運用が開始されます。
今年5月に室蘭本線へ導入された737系電車は、老朽化したキハ143形気動車や近郊電車の置き換え用として、2019年頃から計画が始まりました。そのなかで一番大変だったことは、さまざまな意見や要望を取捨選択して車両に反映させることでした。
また、当社初のワンマン対応電車のため、既存の電車には搭載されていない新たな機器への対応にやりがいも感じ、今まで図面でしかなかった車両を立ち会い検査で実際に見たときは、「やっと現実になった」と感動しました。
乗客に寄り添う「737系」のこだわり
新たに開発した737系は、地域の移動手段として通勤や通学で日常的にご利用いただくことから、やさしさが感じられ、親しみやすく明るく若々しいイメージの「さくらいろ」のエクステリア(車両外観)カラーです。
このカラーに決定するまでには、まず当社の設計・デザイン担当者と車両メーカーで打ち合わせを行い、デザインコンセプトを策定。その後、コンセプトにあったデザイン案を数種類作成し、社内会議などを経て決定しました。今回最終的に残ったカラー案は、グレーアイボリーやペールグリーンなどがありました。
車内はエクステリア同様に、やさしさが感じられるデザインを採用。乗降ドアは淡いピンク色とし、座席は北海道内に咲く色とりどりの花をイメージしたドットが散りばめられています。
そして、各車両にはフリースペースを設け、車いすをご利用のお客さまはもちろん、ベビーカーをご利用の方や大きな荷物をお持ちの方もご利用いただける空間を実現したほか、通勤・通学時間帯の混雑緩和のためにロングシートを導入したことで、通路も広くなりました。
「737系」に込められた意味とは?
そして、737系という車両形式は、国鉄時代からの「電車」の形式番号の書式に合わせて、交流電車を表す「7」、通勤・近郊形を表す「3」、731系・733系・735系の次の車両なので「7」、それらを組み合わせて737系としました。
また、「C」という編成名には、「ワンマン運転(Conductor-Less)」「変革(Change)」「地域接続(Community-Connect)」「カーボンニュートラル(Carbon-neutral)」の意味が込められています。
737系は環境性能の向上として、主変換装置にハイブリッド部品の採用や客室照明にLED を使用し、消費電力が低減しました。ぜひ北海道を訪れた際には、お客さまにも、環境にもやさしい新型車両737系にご注目ください。
- ※『JR時刻表』2023年11月号掲載時点の内容です。
- ※写真=JR北海道提供
- ※構成=時刻表編集部