JR四国に聞いてみました!
『JR時刻表』編集部がJR各社に鉄道にまつわるさまざまな疑問をQ&A方式で聞いていく連載です。
今回は……
Q. 車両工場の仕事について教えて!
多度津工場の主な仕事内容についてJR四国に聞いてみました!
A. 車両工場は、お客さまの「安全・快適」を支えています
故障や事故を未然に防ぐための大切な役割を担う多度津工場
1889(明治22)年に讃岐鉄道株式会社の設立により誕生した多度津工場は、敷地面積85,878㎡(東京ドーム1.8個分)と全国の車両工場の中でも比較的小規模な工場で、現在約90名(グループ会社を含めると約200名)が在籍しています。多度津工場には、大きく分けると車両科と技術センター科の2つの部署があり、車両科の現場部門では車両部品の検査および修繕、計画部門では車両修繕計画、材料管理、予算管理等を担当しています。また、技術センター科では、品質管理や改造計画といった業務を担当しています。
多度津工場では、重要部検査および全般検査と呼ばれる、車両基地では行えない大掛かりな列車の定期検査を実施しています。すべての機器類を取り外して装置の解体・修繕および検査を実施し、故障や事故を未然に防ぎます。特に難しい作業は電気系統のテストです。列車が工場を出場する前に、各機器が正常に動作するかテストを実施します。しかし、機器が動作しない、規定通りの数値が出ないとなるとツナギ図(電気回路図)を追って、どの箇所に原因があるのか論理的に考えなければならず、高度な知識と技術が必要になります。
現在、8000系特急電車や1200型気動車のリニューアル工事も行っており、機器の更新をはじめ内装のリフレッシュ等も行い、ほぼ新車の状態で送り出しています。
お客さまに、より安全で快適にご利用いただける鉄道車両の提供に努めています。
先人の想いを受け継ぎ、技術をより高みへ
当社は世界に先駆けて、制御付自然振子方式を採用した特急気動車を開発しました。この技術は先人たちの志が詰まったもので、山岳路線の高速化に大きく寄与しています。その技術を守り、進化させることが我々の誇りであり、使命です。
当社が保有する411両の車両のうち制御付自然振子方式を採用した車両は113両であり、全体の約3分の1を占めています。制御付自然振子方式を採用した車両は、車体を傾斜させる台車部分が一般的な台車と比べ構造が複雑で部品数も多いため、一つひとつ手作業で検査・修繕を行い、カーブを高速で通過しても乗り心地を損なわずに走行できるよう高い品質を維持しています。
また、車両は山間部や海沿いなど多様な線区を走行するため、走行した線区や距離によって部品劣化の状態が異なります。それらを踏まえた上で適切な検査・修繕ができるよう心掛けています。
お客さまと直接関わることはありませんが、「安全・快適」というお客さまにとっての当たり前を見えないところで支えることこそ、工場業務の醍醐味です。
制御付自然振子方式を採用した2700系特急気動車の検査の様子
- ※『JR時刻表』2025年2月号掲載時点の内容です。
- ※写真=JR四国提供
- ※構成=時刻表編集部