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2020.09.02鉄道あの利府の車両センターも! わくわくな「車両基地」をこっそり公開!

鉄道の車両基地もさまざま…知られざる鉄道バックヤード

「基地」。なんと心ときめく言葉でしょう! 鉄道でいえばそう、「車両基地」。
車両基地とは、運行していない鉄道車両を収容する、そして車両をメンテナンスする、という、大きく二つの側面を持った場所です。基地内では、まさにいろいろなことが行われています。
たとえば毎日みなさんを乗せて動いているわけですから、故障が起きたらたいへん。自動車の車検と同様に、法律で走行距離や年月の周期で、これこれしかじかの検査をしなさい、といったことが決められており、車両基地では日々点検・整備が行われています。
それから改造や改修。同じ形式でも、新たな設備や交換が施されて、これも自動車と同様、同じタイプでも年式で違っていたりしますからね。
多くはこうした作業が基本となりますが、もちろん、新幹線と蒸気機関車が同じ設備で整備できるわけでないので、車両の種類によって基地内での作業や基地の様子はがらりと変わります。
車両基地がおもしろいのは、この車両による違いです。では、どんな基地があるのか、今回は交通新聞社新書『車両基地』より、いくつか紹介しましょう。

  • 写真はすべて交通新聞社新書『車両基地』(2016年発行)掲載より。現在は写真と異なる場合があります
  • トップの写真は、工場内ですれ違う、入場したばかりのE6系と、間もなく検査を終えるE6系

新幹線の車両基地「JR東日本 新幹線総合車両センター」の場合


組み立て工場で検査を受けるE6系。手前では耐圧試験、奥では気密試験が行われています 組み立て工場で検査を受けるE6系。手前では耐圧試験、奥では気密試験が行われています

新幹線といえば、鉄道のみならず、乗り物界の最新トップクラスの技術が詰め込まれた車両です。仙台市近郊の利府にある「JR東日本 新幹線総合車両センター」の様子も、ジェット機や、はたまた宇宙船が置かれていても不思議じゃないようなSF感まであります。
航空機と同様に車両の気密性を保つ検査も行われています。時速200~320キロでばんばんトンネルを通過するわけですから、気圧の変化が大きい新幹線ならではの大事な検査となります。
修理点検が行われる工場は広大で、建屋に入って反対側の壁を見ようにも遥か彼方。ちなみに、東日本大震災前は建屋2階部分が大きな被害を受けたため、今はほとんどが平屋になっています。逆にこうしたことで作業効率があがったそうです。


組み立て中のE7系の台車。車輪間の寸法には、0.1ミリ単位の精度が求められます 組み立て中のE7系の台車。車輪間の寸法には、0.1ミリ単位の精度が求められます

さてそんな大規模な設備で最新の車両の点検・整備が行われていますが、たとえば台車組み立てなどは手作業。「大切なところは自分の手で触る、『触診』で様子を見る」といいます。
15メートルもあるE5系先頭車両のボンネットも、手作業でごしごし磨かれ、そうした様子を見ていると、最新技術の結晶である車両も、やっぱり人間のプライドと愛情で維持されるものだと感じます。

モノレールの車両基地「千葉都市モノレール」の場合


うねうね伸びる千葉都市モノレール基地内の走行桁 うねうね伸びる千葉都市モノレール基地内の走行桁

モノレールには跨座式と懸垂式の2通りがあって、羽田と浜松町を結んでいる東京モノレールは軌道を跨いでいる跨座式、昨年運転休止となった上野動物園や、千葉を走っているのは、軌道(走行桁)からぶら下がっている懸垂式。ただどちらも空中をすいすい走る乗り物です。
千葉市を走る懸垂式の千葉都市モノレールの車両基地では、なんと5階建ての車庫となる建物を車両が出入りしています。大きな箱からも走行桁がいくつもにょろにょろと伸びていて、まるで巣穴のようです。


5階建ての車両基地建屋 5階建ての車両基地建屋

またこの車庫内部では、上下移動もクレーンで可能となっており、その様子がまた「基地感」を盛り上げます。よく戦隊ものやウルトラマンに出てくる基地で、戦闘機が発進準備で吹き抜けを移動するシーンがありますが、あんな感じです。
屋外の車両が収容されているところも、走行桁がうねり伸びており、世にも奇妙な構造物がある景色は一見の価値ありです。
懸垂式モノレールの場合は、機器も台車も車体上部にあるため、普通の地上を走る車両と真逆。車両をじっくり見ていると、なんだかこんがらがってきます。

蒸気機関車の基地「大井川鐵道」の場合


大井川鐵道の車両基地内建屋の内部で、重要部検査を受けるC10形蒸気機関車 大井川鐵道の車両基地内建屋の内部で、重要部検査を受けるC10形蒸気機関車

鉄と油の、「THE昭和」な基地です。木造の車庫に入ると、壁には数多のスパナなどの工具がぶら下がり、隅の方では金属を加工するための大型機械や鍛冶場のようなところまであります。新造されていない蒸気機関車の部品調達は難しく、足らない部品がある場合は、ここで加工して作ることもあるとか。


建屋内には、部品の製造・修理・加工を行うための炉があります 建屋内には、部品の製造・修理・加工を行うための炉があります

最新鋭の設備といったものはなく、昔ながらの車両を昔ながらの技術で整備作業が行われています。クーラーもなく、夏は灼熱の中で、重量が100キロにもなる鉄の棒を運んだりしているわけです。長い年月を重ね、機関車と職人の汗がじっとり染み込んだ、生きた鉄道歴史遺産といえる空間です。

今年は紙上公開の車両基地へ

交通新聞社新書『車両基地』では、上記の車両基地のほか、地下鉄や路面電車、ディーゼルカー、新交通システムといった、計九つの基地を紹介しています。読めば車両のタイプだけでなく、会社による違いもあることがわかります。
例年だと、夏から秋にかけて各地の車両基地で一般公開が行われ、ぜひ現地へと申し上げたいところですが、今年(2020年)は残念ながら…といった基地が多いようです
(注:千葉都市モノレールは、9月26日(土)に千葉都市モノレール車両基地見学満喫ツアーを開催。申し込みは9月10日まで)。
この本では、一般公開でも見られない貴重な作業シーンも掲載されています。紙上公開の車両基地となりますが、かなりリアリティが感じられるはずです。


交通新聞社新書『車両基地 知られざる鉄道バックヤード』

新幹線、JR在来線、地下鉄、モノレール、大手私鉄、路面電車、新交通システムなどさまざまな車両基地を取材。蒸気機関車やディーゼルカーの整備を含め、基地でしか見られない車両の姿や設備、作業の様子を、写真をふんだんに掲載して紹介しています。


著者:柴田東吾
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。得意とする分野は車両研究で、現在のJR・私鉄路線は完乗。『鉄道ダイヤ情報』(交通新聞社)や『Rail Magazine』(ネコ・パブリッシング)、『鉄道ピクトリアル』(電気車研究会)、『新幹線EX』(イカロス出版)などへの寄稿多数。
発売日:2016年12月15日
定価:本体900円+税


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