鉄道ファンは、なんでそんなにいろいろ覚えているのか?
「鉄道ファンは頭がいいなぁ」と思ったことはありませんか。
固有名詞がバンバン出てきたり、過去のことを細かに覚えていたり、資料やデータの整理が上手だったりといった鉄道ファンがたくさんいます。
鉄道ファンは、大人になっていきなりファンになったのではなく、小さい頃からずーっとファン、というあたりも興味深いところ。
「なんで、鉄道ファンは頭がいいのかなぁ?」
交通新聞社新書、その名も『電車が好きな子はかしこくなる』の企画のはじまりのひとつは、そんな鉄道ファンに対する印象と、単純な疑問でした。
さて「電車が好きな子はかしこくなる?」について、本書より抜粋して、少しだけご紹介します。
倉田けいさんによる、よく分かるマンガはこちら!
「かしこさ」はどう育つ? どう育てる?
「かしこさ」の中身は、「認知スキル」と「非認知スキル」にざっくりと分けられます。
前者は記憶力、学力、IQといったもの、後者はやり抜く力、協調性、思いやり、自制心など。
それらを育てることと「電車が好き」は、どうかかわってくるのでしょうか。
鉄道は「認知スキル」を育てる身近な素材
まず、「認知スキル」の向上において、車両などの形や色、路線名、駅名などさまざまな情報があふれる鉄道の世界は、とても有益です。
1歳くらいの子どもにとって、色とりどりで、形も少しずつ違う鉄道車両は興味深いものです。とくに日本の鉄道は、運行する車両の種類に秩序があるので、「似ているけど違う」という認識上の区別ができます。
認識上の区別は、今持っている興味を広げ、記憶力や学力の芽生えへとつながっていきます。
人とのかかわりの中で育つ「非認知スキル」
世間一般でいう「かしこさ」、あるいは親が求める「かしこさ」には、「認知スキル」のほかに、人間関係や自己コントロールといった「非認知スキル」、あるいは「社会情動的スキル」が含まれます。
この能力は、子どもが自分ひとりで伸ばすことはむずかしく、周囲の理解が必要です。
例えば一緒に電車に乗って社会的マナーを身につけたり、鉄道旅に出て子どもの興味を伸ばしたりすることがよいでしょう。幼少期の興味・関心は学齢期の知的好奇心となり、自分の世界を開拓していく原動力になります。
教育学・心理学の視点から子どもの本当のかしこさを問う
交通新聞社新書『電車が好きな子はかしこくなる』では、教育学博士でもある弘田陽介さんが、教育学・心理学の視点から改めて子どもの本当のかしこさを問い、鉄道の学びをまとめています。
鉄道が「認知スキル」「非認知スキル」の向上にどうかかわるのか、また新しい時代の教育に向けた鉄道力の活かし方や教育現場における鉄道活用例などを、鉄道好きのお子さんの実例も交えて、わかりやすく紹介しています。
保護者の方はもちろん、自身が電車好きという方(なかなか「かしこい」方もぜひ!)におすすめの1冊です。