トレたび JRグループ協力

2022.11.24鉄道東京競馬場への乗客獲得合戦の模様を歩く ~著者自らが現地で朗読する「交通新聞新書×読書旅」~

本に描かれた現場で、文章を読む

現地で該当文章を朗読するという、「旅×読書」の楽しみを映像化。
今回は『競馬と鉄道』です。2018年度JRA賞馬事文化賞を同書で受賞した著者の矢野吉彦さんが自ら、その現場へ、本を携えながら旅をします。矢野さんは競馬レースの実況をされているフリーアナウンサーであるとともに、大の鉄道ファン。さて、どんな旅になるでしょうか。



旅先朗読案内

交通新聞社新書『競馬と鉄道』
第4章 鉄道会社と競馬 P164-165 
朗読場所:京王競馬場線府中競馬正門前駅構内、武蔵国府八幡宮参道

動画:旅先で読む交通新聞社新書 競馬と鉄道


動画のココに注目

今回の旅先に選んだのは東京競馬場周辺です。
東京競馬場と言えば日本で一番、大きな競馬場。世界有数のスポーツスタジアムと言われ、1990年、アイネスフウジンが勝った日本ダービー当日は、なんと19万6000人もの観戦客が詰め掛けましたが、この観客輸送に大きく貢献したのが、鉄道です。しかし、約90年にも及ぶ長い歳月の中で、周辺の鉄道路線は、実は大きく変わってきました。それら変遷の足跡も、しっかり残っているそうです。


それらを巡る旅のはじまりは、京王電鉄東府中駅。ここから競馬場線は分岐していますが、そもそも東京競馬場の開場時、競馬場線はもちろん、東府中駅もありませんでした。0.9kmという短い路線の“ある車窓”が、そんな京王の乗客獲得の作戦を物語るそうです。その現場である府中競馬正門前駅の構内で、競馬場線誕生のくだりを、臨場感たっぷりに朗読します。


西武鉄道も参戦していた??

『じつは、東京競馬場の開場時は、今とは全く違う鉄道路線網でした。南武鉄道、京王電軌、そして西武鉄道です。ここからの変遷ぶりは、各会社の乗客獲得の作戦そのものです』
矢野吉彦

京王競馬場線は、乗客獲得の究極の作戦。なにしろ、競馬場の正門に直結した、いわば競馬場専用線なのですから。しかし、この線を建設するには一筋縄ではいきませんでした。その象徴である神社参道の踏切付近で、矢野さんは感情込めて、朗読します。


神社の中を電車が走る??

『武蔵国八幡宮の境内を横切ってまで建設したのが競馬場線です。京王の究極の作戦でした』
矢野吉彦

京王線が、そんな熱意の「競馬場線」を建設する前は、国鉄の下河原線が圧倒的に優位でした。「東京競馬場前」という、そのものずばりの駅を建設し、競馬場まで徒歩圏内の最寄り駅を持っていたためです。
しかしこの線、そもそもは競馬場のための線ではなく、多摩川の砂利を運ぶ貨物線でした。そこから東京競馬場へ分岐線を作っていたのです。砂利と観客という用途が違う路線が二股になる現場は、今もそのまま残っているそうです。

貨物線が観客輸送線に??

『多摩川の砂利取り線から線路を分岐させて作ったのが、東京競馬場前駅への線路です。この分岐ぶりに、観客獲得の熱意が伝わってきます』
矢野吉彦

東京競馬場前駅は、平行する武蔵野線が開通するまで、現役でした。この駅は島式ホーム1面とその両側に線路がありましたが、廃線となった現在は、その敷地のまま遊歩道として残っています。
東京競馬場前駅跡で当時を思い、そして昭和の競馬観戦客になったつもりで、矢野さんが駅跡から競馬場へ向けて、歩いていきます。当時のまま残る南武線下のガードや、“おけら街道”を歩き、ついに東京競馬場西門へ。すっかり新しく2階建ての門ですが、その一角に、国鉄時代の面影を見ることができます。


国鉄時代から残る西門前の風景

『東京競馬場の西門の前には、旧東京競馬場前駅と同じ時代からある飲食店が並んでいます。競馬と鉄道の関係を物語る風景です』
矢野吉彦

あなたもぜひ、「旅×読書」を

読書はいろいろな知識を授けてくれますが、こうして現地で本を読むと、その土地の状況や空気感などが相まって、活字が一層生き生きとしたものに感じられます。皆さまもお気に入りの本を手に、「旅×読書」を楽しまれてはいかがでしょうか。


交通新聞社新書『競馬と鉄道 あの❝競馬場駅❞はこうしてできた』

鉄道と競馬の深い関係に、興味津々…。
意外にも似ている競馬と鉄道の歴史、全国津々浦々に誕生した競馬場とその最寄り駅との関係、2社3社で競い合った競馬観戦客輸送の実態、競馬観戦客を輸送する鉄道会社側の様々な工夫、そして外国の“競馬場駅”の紹介など、こういった競馬と鉄道の関係をさまざまな視点から解説しています。2018年度JRA賞馬事文化賞を受賞。

発売日:2018年4月16日
定価:本体800円+税

著者:矢野吉彦
フリーアナウンサー。昭和35年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒。昭和58年に文化放送に入社し、主にスポーツ番組を担当。平成元年からフリーとして活動。プロ野球、社会人野球、メジャーリーグ、バドミントン、Jリーグ、アメリカンフットボール、テニスなどのスポーツ実況を担当。なかでもテレビ東京系の競馬中継番組『ウイニング競馬』のレース実況アナとして長年活躍し、競馬ファンの間では“土曜競馬の声”として知られている。


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