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2022.02.07鉄道ちょっとしゃべりたくなる、中京エリアでお馴染みの赤い電車の不思議

新幹線の車窓から見ていた、名鉄の「なぜだろう」を実地検証

近鉄、東武に続く日本第三位の路線網を誇る名古屋鉄道、通称・名鉄。
中京地区にお住まいの方に親しまれている鉄道ですが、中京地区以外にお住まいの方にとっても、東海道新幹線の車窓からお馴染みではないでしょうか。
『名古屋鉄道 今昔』(交通新聞社新書)にも詳しい名鉄の不思議を、新幹線駅を途中下車して実地検証してみます。

名鉄名古屋駅の線路は2本だけ!


名鉄の路線図。名鉄名古屋駅は、八方に広がる扇の要に位置している 名鉄の路線図。名鉄名古屋駅は、八方に広がる扇の要に位置している


名鉄名古屋駅のホームにいると、列車が次々とやってくる 名鉄名古屋駅のホームにいると、列車が次々とやってくる

のぞみが停車する名古屋駅は、中京地区の一大ターミナル。
新幹線が駅が近づくにつれ、車窓に東海道本線の線路が寄り添い、名鉄の赤い電車も寄り沿い、名古屋に近づいた感が高まってきます。
ですが、いざ新幹線が名古屋駅構内に入ると、赤い電車だけは、地下に潜って車窓から消えてしまいます。

消えた名鉄を追いかけ、名古屋駅で降り、地下通路を伝って名鉄名古屋駅へ。
名鉄名古屋駅は、路線図でもわかるとおり、八方に広がる名鉄路線網の要。名古屋本線のほか犬山線・常滑空港線・河和線・津島線などに達する列車の全てがここに集約されているはずなのに、線路は2本だけ。つまり南行き北行きそれぞれ1本ずつしかありません!

通称“針孔通し”と呼ばれているほど精密なダイヤで運行され、次々とやってくる名鉄電車……乗り間違えてしまいそうですが、ご安心ください。
乗り間違えを防ぐため、行き先によって停車位置が変えられているというサポートがありました。頭上には、少し間隔を開けながら乗り場案内が掲げられています。

たった一駅間だけの路線


東海道新幹線のすぐ横に接続する羽島線。小さな電車に挨拶するかのようにN700系が通過 東海道新幹線のすぐ横に接続する羽島線。小さな電車に挨拶するかのようにN700系が通過

下りの新幹線が岐阜羽島駅を通るとき、北側から高架橋が近づいてきます。これが名鉄の羽島線。新幹線と接するような位置に名鉄の新羽島駅があり、なかなか便利なので乗り換えてみます。

羽島線の電車は発車すると高架橋を軽快に走りますが、江吉良(えきら)駅から先は地上へと降り、右へ左へとカーブしながら笠松駅へ向かいます。
江吉良駅を境に、乗り心地に少し違いを感じる……と、思ったら、実は本当に別の線。
電車自体は岐阜羽島~笠松駅間を直通するものの、羽島線とは岐阜羽島~江吉良駅間の一駅間のみで、江吉良~笠松駅間は竹鼻線と呼ばれています。
これは建設の歴史によるもので、羽島線は、竹鼻線を延長する形で誕生しました。新幹線の岐阜羽島駅開業時に、接続する他社の鉄道はありませんでしたので、羽島線が岐阜市内とのアクセスを高めてくれました。

呉越同舟の珍区間


名鉄の電車を降りたのに、駅名標は「JR」 名鉄の電車を降りたのに、駅名標は「JR」

新幹線に戻るため、豊橋駅へ。ところが駅の看板には「JRとよはし」。え、JR豊橋駅? 名鉄豊橋駅ではないの? 
乗り換えは便利ですが、どうなっているのでしょう?

実は名鉄の豊橋~小坂井駅間はJR飯田線と共用しているのです。
1927(昭和2)年、前身の愛知電気鉄道が豊橋延伸に際して、すでに開業していたJR飯田線の前身、豊川鉄道と話し合い、相互乗り入れ式で複線を敷設したという生い立ちによるものです。
現在も、その生い立ちそのままに、運行管理はJR東海が行い、下り線をJR、上り線を名鉄が保有しています。
今や豊橋~岐阜駅間には、JRと名鉄が平行して走っていますが、豊橋駅で仲良く同居している様には、ちょっとほっこりしてしまいますね。

まだまだある、名鉄の雑学あれこれ

まだまだある、名古屋鉄道の雑学は交通新聞社新書『名古屋鉄道 今昔』にて。
伝説の名車となった7000系に今も乗れる場所や、線路が垂直に交差するダイヤモンドクロスの存在のほか、名古屋本線は一番の幹線なのに単線区間がある? 東京から名鉄直通の乗車券が販売されていた?などなど、地元の人でも知らないかもしれない、とっておきの“名鉄トリビア”が満載です。これを読めば、新幹線の車窓から見える赤い電車がもっと面白くなります。


交通新聞社新書『名古屋鉄道 今昔』

著者:徳田耕一
交通ライター。1952(昭和27)年、名古屋市生まれ。名城大学卒業。旅行業界での経験もあり、実学を活かし観光系の大学や専門学校で観光学などの教鞭をとる。主な著書に『名古屋駅物語』(交通新聞社新書)ほか多数。

定価:880円(本体800円+税)


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