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2025.09.11旅行「東日本のんびり旅パス」は東日本エリア限定の“18きっぷ3日版”として使える? 概要やモデルコースを徹底紹介!

思い立ったらすぐ使える!普通列車乗り放題の東日本のんびり旅パスとは?

夏の青春18きっぷ利用期間が終わり、「次はどのお得きっぷで出かけようか?」とあれこれ調べている方も多いのではないでしょうか。もし「乗り放題タイプ」をお探しならば、青春18きっぷの“東日本版”ともいえる「東日本のんびり旅パス」がおすすめです。

今回は、「東日本のんびり旅パス」の特徴を解説するとともに、東京発着のモデルコースをご紹介します。

「東日本のんびり旅パス」の発売・利用期間と買い方

「東日本のんびり旅パス」は、JR東日本エリアの普通列車、快速列車の普通車自由席、BRT(バス高速輸送システム)が土休日を含む連続する3日間乗り降り自由となるフリータイプのお得なきっぷです。

発売期間・利用期間

発売期間と利用期間は下記のとおりです。


〇発売期間:
~2025年12月24日(水)

〇利用期間: 
~2025年12月26日(金)

ねだん・買えるところ

9,000円で、大人用も子ども用も同額です。
「えきねっと」限定販売(駅窓口では買えません)、購入後は指定席券売機で発券できます。

東日本のんびり旅パスと青春18きっぷの同じところ、違うところ

冒頭でも触れたように「東日本のんびり旅パス」は青春18きっぷの“東日本版”ともいえる存在です。では、どのあたりが18きっぷと同じなのか、違うのかを以下で比べていきます。

同じところ①  新幹線や特急列車には乗れないけれど、普通列車のグリーン車自由席はOK

東日本のんびり旅パス最大の特徴は「普通列車に乗り放題」です。そのため別途特急券などを購入しても新幹線や特急列車に乗ることはできません。
※「新青森~青森」間相互発着に限り、全車指定席の普通・快速列車の普通車の空席が利用できます。
一方で、首都圏の普通列車に併結されているグリーン車自由席はグリーン券を買うことで、リゾートしらかみや海里など、快速列車タイプの観光列車は指定席券を買うことで、それぞれ乗車できます。

同じところ② 曜日を問わず連続3日間利用できる

東日本のんびり旅パスは、利用を開始した日から「連続する3日間」使うことができます。平日3日間の旅も、3連休を利用した旅も自由自在です。

違うところ① 利用エリアはJR東日本エリア内

東日本のんびり旅パスは、JR東日本のお得なきっぷになります。そのため利用できる鉄道はJR東日本管内に限定されます。また「東日本エリア」にある第3セクターや私鉄も利用することはできません。
※青い森鉄道線(青森~八戸間)については、JR線から鉄道会社線を経由して当日中にJR線へ乗り継ぐ場合に限り利用できます。

違うところ② えきねっとで買って、指定席券売機で発券する

東日本のんびり旅パスの利用にあたっては、あらかじめ「えきねっと」で購入したうえで、指定席券売機で発券します。利用開始日に購入してもOKです。

東日本のんびり旅パスのモデルコース

乗り放題タイプのお得なきっぷを手にすると、「乗って乗って乗りまくれ!もとを取るのは当然!目指すは完乗!」という己との戦いのような気持ちが沸き起こってきませんか?

少なくとも20代の頃の筆者はこのタイプでした。ということで今回は「のんびり」と普通列車に乗りつつ、いろんな路線を踏破していく東京駅発着、南東北プランをご紹介します。

1日目 新潟県内の多彩な路線を乗り継ぎ、磐越西線で福島へ

  • 地図内の路線は、実際の線路ではなく下車や乗り継ぎのポイントをつないでいます。
  • モデルコースに記載の時刻・料金は記事作成時点のものです。ご利用の際は最新情報をご確認ください。

1日目【平日】
06:20発

東京駅 高崎線・上野東京ライン 高崎行き

08:15着

高崎駅 乗り換え

08:27発

高崎駅 上越線 水上行き

09:33着

水上駅 乗り換え

09:43発

水上駅 上越線 長岡行き

11:48着

長岡駅

  • ポイント① 新潟の地酒文化を堪能!駅直結の「ぽんしゅ館 長岡驛店」
12:40発

長岡駅 信越本線 新潟行き

13:06着

東三条駅 乗り換え

13:10発

東三条駅 弥彦線 弥彦行き

13:30着

吉田駅 乗り換え

14:00発

吉田駅 越後線 新潟行き

14:55着

新潟駅 乗り換え

15:50発

新潟駅 白新線 村上行き

16:26着

新発田駅 乗り換え

17:03発

新発田駅 羽越本線 新津行き

17:32着

新津駅 乗り換え

17:37発

新津駅 磐越西線 会津若松行き

20:11着

会津若松駅 乗り換え

20:16発

会津若松駅 磐越西線 快速郡山行き

21:24着

郡山駅

今回の旅は、早朝の東京駅から始まります。最初に目指す高崎駅は列車の終点です。ちょっと寝入っていても「乗り過ごし」の心配はないため、別途グリーン券を買い求め、グリーン車自由席で快適に移動するのもおすすめです。

また、水上駅は接続する列車の編成が短いため、夏休みシーズンなどは通称「水上ダッシュ」と呼ばれる座席確保のための乗り換え混雑が起こります。シーズン外の平日旅なら、そこまで混まないため、落ちついて乗り換えられるはずです。

ポイント① 新潟の地酒文化を堪能!駅直結の「ぽんしゅ館 長岡驛店」


ハードに乗りつぶしていく旅でも、途中の「一息休憩タイム」は欠かせません。

長岡駅直結のCoCoLo長岡2階にある「ぽんしゅ館 長岡驛店」は、地酒の魅力を存分に味わえるお店です。最大の魅力は、ワンコイン(500円)で新潟県内全酒蔵の代表銘柄を最大で5杯試飲できる「唎酒番所」。専用の貸し出しおちょこと5枚のコインを受け取り、111種類以上の地酒から好みの銘柄を選んで飲み比べを楽しめます。

また、店内では地酒だけでなく、ワインやリキュール、クラフトビールのほか、県内素材を使った洋菓子や米菓等のぽんしゅ館オリジナル商品、契約農家の南魚沼産コシヒカリ、さらに各地域で愛されてきた味噌・醤油等の調味料も揃えているため、お酒が飲めない方も気軽に立ち寄れるうれしいスポットです。


ぽんしゅ館 長岡驛店

住所 新潟県長岡市城内町1-611-1 CoCoLo長岡2階
問い合わせ先 0258-94-4313
時間 9:00~19:30(唎酒番所は10:00~18:45LO)
定休日 CoCoLo長岡に準ずる
交通アクセス JR長岡駅直結 CoCoLo長岡2階
値段 唎酒体験 500円(ワンコイン)
URL https://www.ponshukan.com/nagaoka/

長岡駅からは、信越本線、弥彦線、越後線、白新線、羽越本線と5つの路線を乗り継いで新津駅へと向かいます。道中は、田園風景や弥彦山など「新潟」を感じられる景色が続きます。

新津駅から乗車するのは、絶景路線としても名高い磐越西線です。列車は新津駅を出ると阿賀野川の清流に沿って走り、車窓には美しい川面と緑豊かな山々が広がります。阿賀野川は線路に寄り添うようにして流れ、新潟県と福島県の県境を超えると阿賀川へと名前を変えていきます。川の蛇行とともにカーブを描く線路の爽快感と、紅葉シーズンの渓谷美は見逃せません。

列車本数もそれなりにあり、首都圏から比較的アクセスしやすいエリアでありながらも、しっかり景色が楽しめることから個人的にも気に入っている路線です。

ちなみに磐越西線では、東日本のんびり旅パスでも別途指定席券を買えば乗車可能な観光列車「SLばんえつ物語」が土休日を中心に運行していますので、こちらもおすすめです。途中の津川駅には、同列車のキャラクター「オコジロウ」のオブジェが立っています。普通列車からも確認できるので、ぜひ探してみてください!

列車終点の会津若松駅に着くころには、すでに日もとっぷり暮れていますが、もう少し移動をして郡山駅で初日はゴールです!

2日目 奥羽本線で県境越え、盲腸線「左沢線」を乗りつぶし

  • 地図内の路線は、実際の線路ではなく下車や乗り継ぎのポイントをつないでいます。
  • モデルコースに記載の時刻・料金は記事作成時点のものです。ご利用の際は最新情報をご確認ください。

2日目【平日】
07:06発

郡山駅 東北本線 福島行き

07:53着

福島駅 乗り換え

08:08発

福島駅 奥羽本線 米沢行き

08:54着

米沢駅 乗り換え

09:40発

米沢駅 奥羽本線 山形行き

09:56着

赤湯駅

  • ポイント② 山形の温泉文化を継承する新たな公衆浴場「赤湯温泉 湯こっと」
14:44発

赤湯駅 奥羽本線 山形行き

15:13着

山形駅

15:27発

山形駅 左沢線 左沢行き

16:08着

左沢駅

  • ポイント③ 最上川舟運で栄えた歴史を物語る「原町通り」
17:19発

左沢駅 左沢線 山形行き

17:55着

北山形駅 乗り換え

18:07発

北山形駅 仙山線 仙台行き

19:32着

仙台駅

2日目は、まず福島県と山形県の県境を奥羽本線で越えていきます。

山形新幹線も走る区間ですが、普通列車の運行は1日6本と少な目で、8時8分に福島駅を出る列車を逃すと午後まで待たなくてはいけません。

そのため、初日のうちに郡山駅まで移動していたわけです。

ポイント② 山形の温泉文化を継承する新たな公衆浴場「赤湯温泉 湯こっと」


2日目最初の一息スポットは赤湯です。

実は山形県は、35の市町村すべてに温泉が湧出する県で、とりわけ公衆浴場文化が発達しています。

開湯930年を超える歴史ある赤湯温泉。この街にある「赤湯温泉 湯こっと」は、半世紀以上地元で愛されてきた2つの浴場を引き継ぎ2022年6月にオープンした新しい公衆浴場です。館内は源泉かけ流しの大浴場と露天風呂を備え、含硫黄ーナトリウム・カルシウムー塩化物泉の効能豊かなお湯が楽しめます。さらに施設内には、ぶどう生産が盛んな南陽市ならではの魅力として、6つのワイナリーで醸造されたワインを味わえるサーバーが設置されています。

なお、赤湯駅から温泉街までは少し離れているため、レンタサイクルの利用がおすすめです。


赤湯温泉 湯こっと

住所 山形県南陽市赤湯3004-1
問い合わせ先 0238-49-7350
時間 6:00~22:00(受付終了は21:30)
定休日 火曜(祝日の場合は木曜)
交通アクセス JR赤湯駅から車で約10分、自転車約15分、徒歩約25分
値段 おとな(中学生以上)300円、こども(小学生以下)100円、3歳未満無料
URL https://yukotto-akayu.com/

ポイント③ 最上川舟運で栄えた歴史を物語る「原町通り」


「乗りつぶし」の定番と言えば行き止まり路線、通称「盲腸線」です。

その一つが、最上川沿いの美しい風景が魅力の左沢(あてらざわ)線で、山形駅~左沢駅のおよそ25kⅿを結びます。終点であり、難読駅としても知られる左沢駅から徒歩約5分の「原町通り」は、最上川舟運の中継地として栄えた左沢の往時を物語る、歴史ある商家街です。

間口3間半、奥行き20~30間という細長い町家が並んだ通りには、今も蔵屋敷などが残されています。2013年3月には「最上川の流通・往来及び左沢町場の景観」として、山形県内で初となる国の重要文化的景観に選定されました。


原町通り

住所 山形県西村山郡大江町大字左沢
問い合わせ先 0237-62-2139(大江町観光物産協会)
交通アクセス JR左沢駅から徒歩約5分
URL https://oekanko.jp/ooe/

2日目のラストは山形県と宮城県の県境を仙山線で進んでいきます。仙山線は山形駅から仙台駅までを結ぶ約58kⅿの路線です。最大の見どころは面白山トンネル前後の勾配区間で、標高約440ⅿまで駆け上がっていきます。

1時間20分ほどの乗車時間で、山形の盆地から山脈越え、そして仙台の街並みまで、どんどん変化していく風景に「県境をまたぐ」実感を味わえる路線です。

3日目 常磐線全線乗りつぶしで一路東京へ

  • 地図内の路線は、実際の線路ではなく下車や乗り継ぎのポイントをつないでいます。
  • モデルコースに記載の時刻・料金は記事作成時点のものです。ご利用の際は最新情報をご確認ください。

3日目【平日】
06:00発

仙台駅 東北本線 一ノ関行き

06:44着

小牛田駅 乗り換え

07:12発

小牛田駅 石巻線 女川行き

07:51着

石巻駅 乗り換え

08:37発

石巻駅 仙石線 あおば通行き

09:20着

松島海岸駅

  • ポイント④ 日本三景・松島を海上から楽しむ「松島島巡り観光船」
11:31発

松島海岸駅 仙石線 あおば通行き

12:09着

仙台駅 乗り換え

12:40発

仙台駅 常磐線 原ノ町行き

13:57着

原ノ町駅 乗り換え

14:08発

原ノ町駅 常磐線 水戸行き

17:21着

水戸駅 乗り換え

18:00発

水戸駅 常磐線・上野東京ライン 品川行き

  • グリーン車自由席を利用するのもあり!
20:06着

東京駅

ポイント④ 日本三景・松島を海上から楽しむ「松島島巡り観光船」


日本三景の一つに数えられる松島は、宮城県の松島湾内に浮かぶ大小260余りの島々が織りなす絶景で知られています。古くから文人墨客に愛され、松尾芭蕉が「おくのほそ道」で訪れた際には、その美しさに言葉を失ったと伝えられる名勝地です。

松島観光の定番といえば、やはり遊覧船での島めぐりです。このうち、松島島巡り観光船の「仁王丸コース」は、新造船「仁王丸」で運航され、約50分をかけて松島湾内を一周します。松島を代表する「雄島」「双子島」「千貫島」「鐘島」「仁王島」など、それぞれに名前の由来や伝説を持つ特徴的な島々をめぐります。


松島島巡り観光船 仁王丸コース

住所 宮城県宮城郡松島町松島字町内85(松島海岸中央広場)
問い合わせ先 022-354-2233
時間 9:00~16:00(1時間毎運航、冬季12月~3月は15:00最終)
定休日 荒天時運休
交通アクセス JR仙石線松島海岸駅から徒歩約6分、JR東北本線松島駅から徒歩約20分
値段 おとな1500円、こども750円(WEB予約割引あり、2階グリーン席は追加600円)
URL https://www.matsushima.or.jp/

3日目のラストは、常磐線を一気に南下します。常磐線は岩沼~日暮里間を結ぶ約343kⅿの長大路線で、東北地方と首都圏を太平洋沿いに結ぶ重要幹線です。

今回の旅では仙台駅から東京駅まで、常磐線をほぼ全線にわたって「乗りつぶし」することになります。水戸駅以南では首都圏の通勤路線としての性格が強くなっていくなど、長大路線だからこその「変化」が楽しめます。


運賃料金参考

この3日間の旅を、1日あたりの運賃で比較してみます。

・運賃
1日目:東京→長岡:4,840円、長岡→郡山:5,500円
2日目:郡山→赤湯:1,980円、赤湯→左沢:990円、左沢→仙台:1,520円
3日目:仙台→松島海岸:420円、松島海岸→東京:6,380円
合計 21,630円

東日本のんびり旅パス(9,000円)を使うと12,630円お得!

まとめ

今回は、「東日本のんびり旅パス」の概要と、東京発着・南東北プランのモデルコースを紹介しました。新潟県内の多彩な路線から、本数の少ない奥羽本線の県境越え、盲腸線の左沢線乗りつぶし、そして常磐線全線踏破まで、ひと通りの「乗りつぶし」がこなせてしまい、なおかつ1万円以上もお得な旅になりました。

購入日当日から使えるきっぷですので、思い立ったらお出かけするのにもおすすめです!


著者紹介

蜂谷あす美

旅の文筆家。福井県福井市出身。慶應義塾大学卒業後、出版社勤務を経て、現在に至る。「旅は再訪のための下見」をモットーに、2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅を中心としたエッセイや紀行文などを数多く執筆しているほか、ご当地牛乳にほれ込み牛乳の連載も経験あり。最近はラジオをはじめ、トークでも活躍。著書『女性のための安心鉄道旅行術』(イカロス出版)他。

オフィシャルHP
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  • 文・写真:蜂谷あす美
  • 写真協力: 株式会社ぽんしゅ館新潟、南陽市、大江町地域振興課、松島島巡り観光船企業組合
  • 掲載されているデータは2025年8月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
  • 乗車日によっては発着時刻が異なる場合があります。事前にご確認の上、お出かけください。
  • 写真はイメージです。モデルプランの行程中に撮影したものではありません。
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