リニューアルポイントをまずはおさらい!3日間用を使いこなして鈍行旅へ
夏の青春18きっぷの季節が到来しました。2024年冬のリニューアルで登場した「3日間用」が今季も健在です。
そこで今回はリニューアルポイントを復習するとともに、「3日間用」におすすめの大阪発着コースを紹介します。
2025年夏の青春18きっぷ 発売・利用期間と買い方を確認
青春18きっぷは、JRの普通列車、快速列車の普通車自由席、BRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーが3日間連続、または5日間連続乗り放題となるフリータイプのおトクなきっぷです。
発売期間・利用期間
発売期間と利用期間は下記のとおりです。
〇発売期間:
<3日間用>2025年7月4日(金)~2025年9月7日(日)
<5日間用>2025年7月4日(金)~2025年9月5日(金)
〇利用期間:2025年7月19日(土)~2025年9月9日(火)
ねだん・買えるところ
3日間用10,000円、5日間用12,050円で、大人用もこども用も同額です。
指定席券売機を含むJRの主な駅のほか、主な旅行会社でも購入できます。
【おさらい】青春18きっぷのリニューアルでここが変わった!
さて、リニューアル後の青春18きっぷにはいくつかポイントがあります。初めて利用する方も、久しぶりの方もぜひチェックしておいてください!
ポイント① 5日間用に加えて3日間用が新登場
やはり大きなポイントは従来の「5日間用」に加えて、新たに「3日間用」が登場した点です。
料金は3日間用が10,000円(1日あたりおよそ3,333円)、5日間用がおねだん据え置きの12,050円(1日あたり2,410円)で、こどもも同額です。
また、きっぷ購入時に定めた利用開始日から連続3日間、または連続5日間が「有効期間」となります。
ポイント② 発売期間がギリギリまで延びた
かつての18きっぷは、発売期間が「利用期間の10日前」までだったことから、利用期間ギリギリのタイミングでは、きっぷを買うことができませんでした。
リニューアルにより、3日間用は利用期間2日前まで発売、5日間用は利用期間4日前まで発売となったことから、期間終盤であっても、当日のきっぷ手配で間に合うようになりました。
ポイント③ 自動改札が通過できるようになった
かつては有人改札しか利用することができず、特に大勢の人が18きっぷを利用する時期などは、改札で人が多くヒヤヒヤする場面もありましたが、リニューアル後は自動改札を利用できるようになりました。
ポイント④ 最終列車まで利用OK
かつての18きっぷは、日をまたぐ列車について、一部のエリアを除いては「0時を過ぎて最初に停車する駅」までとされていて、「きっぷをどう活用するか」で頭を悩ませることもあったのではないでしょうか。
リニューアル後は、全国どこでも最終列車まで利用できるようになりました。なお、大晦日などに終夜運転を行う場合は、通常ダイヤにおける最終列車までが有効です。
ポイント⑤ 北海道新幹線オプション券の区間拡大
本州~北海道は、18きっぷと「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」をセットにすることで、北海道新幹線に乗車できます。かつての北海道新幹線オプション券の利用区間は、北海道新幹線「奥津軽いまべつ駅~木古内駅」と道南いさりび鉄道「木古内駅~五稜郭駅」でしたが、リニューアル後は、北海道新幹線の区間が「新青森駅~木古内駅」に拡大しています。
青春18きっぷ北海道新幹線オプション券
〇発売期間:2025年7月4日(金)~2025年9月9日(火)
〇利用期間:2025年7月19日(土)~2025年9月9日(火)
〇ねだん:4,650円(大人もこどもも同額)
なお、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」は片道通行のきっぷであり、1回の利用に1枚必要です。
青春18きっぷ3日間用のモデルコース
18きっぷの魅力はなんといっても「普通列車乗り放題」に尽きます。今回は、大阪発着で3日間用を利用し、水に戯れる四国プランを紹介します。
※モデルコースに記載の時刻・料金は記事作成時点のものです。ご利用の際は最新情報をご確認ください。
1日目 「祖谷のかずら橋」でスリルを感じながら先人の知恵に触れる
- ※※地図内の路線は、実際の線路ではなく下車や乗り継ぎのポイントをつないでいます。
- ※※モデルコースに記載の時刻・料金は記事作成時点のものです。ご利用の際は最新情報をご確認ください。
- 1日目【平日】
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06:50発
大阪駅 東海道山陽本線 新快速姫路行き
- 【土休日の場合】06:25発 大阪駅 東海道山陽本線 快速姫路行き
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07:55着
姫路駅 乗り換え
- 【土休日の場合】07:57発 姫路駅 乗り換え
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08:01発
姫路駅 山陽本線 岡山行き
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09:29着
岡山駅 乗り換え
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09:33発
岡山駅 瀬戸大橋線 快速マリンライナー17号 高松行き
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10:11着
坂出駅 乗り換え
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10:30発
坂出駅 予讃線 快速サンポート南風リレー号 観音寺行き
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10:43着
多度津駅 乗り換え
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11:39発
多度津駅 土讃線 阿波池田行き
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12:48着
阿波池田駅 乗り換え
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13:49発
阿波池田駅 土讃線 高知行き
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14:18着
大歩危駅 乗り換え
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14:53発
大歩危駅前 四国交通 かずら橋夢舞台行き ※別料金
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15:19着
かずら橋夢舞台
- ポイント①祖谷のかずら橋
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17:31発
かずら橋夢舞台 四国交通 三好病院玄関前行き ※別料金
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17:57着
大歩危駅前 四国交通 乗り換え
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18:19発
大歩危駅 土讃線 阿波池田行き
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18:57着
阿波池田駅
祖谷川で夏の涼を感じる!先人の知恵が編み出した「祖谷のかずら橋」
旅の1日目は大阪駅を出発し、東海道・山陽本線を西へ進み、瀬戸大橋を渡って四国へと向かいます。
最初の目的地は、秘境「祖谷(いや)」にある「祖谷のかずら橋」。日本三奇橋のひとつと呼ばれることもあるこの橋は、重さ約6トンのシラクチカズラで作られており、3年ごとに架け替えが行われています。橋の由来には諸説あり、弘法大師が村人のために作ったという説や、平家の落人が追手から逃れるためにいつでも切り落とせるよう作ったという説が残されています。
かつて祖谷川の各所に架けられていたシラクチカズラ製の橋も、今ではこの「祖谷のかずら橋」と「奥祖谷二重かずら橋」を残すのみとなりました。
全長45メートル、幅2メートル、水面から14メートルの高さにある橋は、想像以上にギシギシと揺れ、足がすくむほどのスリルが味わえます。周囲を木々に囲まれているため、四季折々の美しい景色に触れられるのも大きな魅力です。
祖谷のかずら橋へのアクセスは、土讃線の大歩危(おおぼけ)駅が起点となります。駅前には地元で長く愛されてきたご当地スーパー「歩危マート」があるので、乗り換えの待ち時間などにぜひ立ち寄ってみてください。
祖谷のかずら橋
住所 | 徳島県三好市西祖谷山村善徳162-2 |
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問い合わせ先 | 0883-76-0877(三好市観光案内所) |
時間 | 4月~6月:8:00~18:00、7月・8月:7:30~18:30、9月~3月:8:00~17:00 |
定休日 | なし |
交通アクセス | 大歩危駅からバス27分 |
値段 | 大人(中学生以上):550円、小人(小学生):350円、幼児:無料 |
URL | https://miyoshi-tourism.jp/spot/46/ |
2日目 吉野川の流れに沿って地域の歴史を感じる
- ※※地図内の路線は、実際の線路ではなく下車や乗り継ぎのポイントをつないでいます。
- ※※モデルコースに記載の時刻・料金は記事作成時点のものです。ご利用の際は最新情報をご確認ください。
- 2日目【平日】
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09:34発
阿波池田駅 徳島線 徳島行き
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10:24着
穴吹駅
- ポイント②脇町うだつの町並み
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15:43発
穴吹駅 徳島線 藍よしのがわトロッコ 徳島行き(指定席券別料金・要予約・運転日注意)
- ポイント③吉野川に沿って走る爽やかなトロッコ
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17:04着
徳島駅 乗り換え
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18:26発
徳島駅 高徳線 引田行き
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19:26着
引田駅 乗り換え
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19:35発
引田駅 高徳線 高松行き
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21:01着
高松駅
藍の集散地として発展「脇町うだつの町並み」
徳島線穴吹駅から吉野川の対岸へ渡ると、そこには江戸中期から昭和初期にかけて建てられた85棟もの伝統的建造物が並ぶ通りが広がります。これが、脇城の城下町であり、かつて藍の集散地として栄えた「うだつの町並み」です。「うだつ」とは、もともと屋根に取り付けられた防火壁のこと。しかし、その設置には多額の費用がかかったため、しだいに富や成功の証としての装飾的な意味合いが強くなっていきました。
町並みの近くには、江戸時代に藍製品を出荷していた船着き場の跡が公園として整備されており、当時の歴史を感じることができます。さらに、藍染め体験ができる工房などもあり、「阿波藍」について深く学ぶには絶好の場所です。
脇町うだつの町並み
住所 | 徳島県美馬市脇町南町 |
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問い合わせ先 | 0883-53-8599(美馬観光ビューロー) |
交通アクセス | 穴吹駅からタクシー約10分 |
URL | https://mimakankou.or.jp/event/udatsunomachinami/ |
開放感抜群!徳島線の観光列車「藍よしのがわトロッコ」
青春18きっぷでも乗車できる観光列車があるのはご存じでしょうか。
そのひとつが、徳島線を走る「藍よしのがわトロッコ」です。列車は「快速」扱いのため、青春18きっぷに指定席券を追加すれば乗車できてしまうのです。
徳島県の吉野川流域では、古くから「阿波藍」が育まれ、藍を扱う商人たちによって独自の文化が花開きました。それら豊かな歴史と文化を肌で感じられるのが「藍よしのがわトロッコ」の特徴で、木綿地のテクスチャー柄に、藍色の優しいグラデーションが施された車両外観がひときわ目を引きます。
列車は、開放的なトロッコ車両の1号車と、リクライニングシートを備えた控車である2号車の2両編成。途中の石井駅まではトロッコ車両で風を感じ、それ以外の区間は控車でゆったりと過ごせます。
主に土日祝に1日1往復運行されており、今回は徳島駅行きの「かちどきの風」に乗車。里山ののどかな風景や人々の暮らしを眺めながら、吉野川の美しい景色を満喫できます。
また、事前に予約すれば駅弁「阿波尾鶏(あわおどり)弁当」などを楽しめますよ。車内販売では、徳島ならではの素材を使ったお土産品やお菓子、飲み物、そしてオリジナルグッズも充実しているので、ぜひチェックしてみてください。
藍よしのがわトロッコ
問い合わせ先 | 座席指定席券はご乗車日の 1カ月前の 10時から全国のみどりの窓口、主な旅行会社、JR西日本ネット予約「e5489」にて予約・購入ができる |
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URL | https://www.jr-shikoku.co.jp/01_trainbus/event_train/yoshino_torokko.html |
3日目 瀬戸内海に面したエリア、高松と児島を訪問
- ※※地図内の路線は、実際の線路ではなく下車や乗り継ぎのポイントをつないでいます。
- ※※モデルコースに記載の時刻・料金は記事作成時点のものです。ご利用の際は最新情報をご確認ください。
- 3日目【平日】
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08:33発
高松駅 高徳線 引田行き
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08:38着
栗林公園北口駅
- ポイント④特別名勝 栗林公園
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10:54発
栗林公園北口駅 高徳線 高松行き
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11:01着
高松駅
- ポイント⑤瀬戸内海に面した水城跡「史跡高松城跡 玉藻(たまも)公園」
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13:10発
高松駅 瀬戸大橋線 快速マリンライナー34号 岡山行き
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13:39着
児島駅
- ポイント⑥児島ジーンズストリート
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16:40発
児島駅 瀬戸大橋線 快速マリンライナー46号 岡山行き
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17:03着
岡山駅 乗り換え
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17:10発
岡山駅 山陽本線 姫路行き
- 【土休日の場合】17:10発 岡山駅 山陽本線 姫路行き
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18:32着
網干駅 乗り換え
- 【土休日の場合】18:44着 姫路駅 乗り換え
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18:44発
網干駅 東海道山陽本線 新快速長浜行き
- 【土休日の場合】18:56発 姫路駅 東海道山陽本線 新快速長浜行き
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19:58着
大阪駅
- 【土休日の場合】19:58着 大阪駅
日本を代表する大名庭園「特別名勝 栗林公園」
栗林公園は、国の特別名勝に指定された日本を代表する回遊式大名庭園です。100年以上の歳月をかけて1745年(延享2)に完成、明治維新に至るまで高松藩主である松平家の下屋敷(別荘)として使用されました。総面積は75ヘクタールにもおよび、現存する大名庭園のなかでは最大級の規模を誇ります。
公園の大きな特徴は、「背景」に取り入れられた紫雲山(しうんざん)の雄大な姿と、園内に配された6つの池と13の築山です。また、江戸時代初期の大名庭園である南庭や、明治時代以降に整備された北庭など、さまざまな景色を楽しめます。
特別名勝 栗林公園
住所 | 香川県高松市栗林町1-20-16 |
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問い合わせ先 | 087-833-7411(栗林公園観光事務所) |
時間 | 12・1月/7:00~17:00 、2月/7:00~17:30、3月/6:30~18:00、4・5月/5:30~18:30、6~8月/5:30~19:00、9月/5:30~18:30、10月/6:00~17:30、11月/6:30~17:00 |
定休日 | なし |
交通アクセス | JR栗林公園北口駅から徒歩3分 |
値段 | 大人/500円、小中学生/170円 |
URL | https://www.my-kagawa.jp/ritsuringarden |
瀬戸内海に面した水城跡「史跡高松城跡 玉藻(たまも)公園」
高松城は、1588年(天正16)から築城が開始された「日本三大水城」のひとつに数えられる水城です。最大の特徴は、瀬戸内海の海水をお堀に引き込んだ「水城」であること。かつて、城の北側は直接瀬戸内海に面しており、防波堤や船溜まりも設けられていました。
現在、城跡は「玉藻公園」として整備され、国の重要文化財の艮櫓(うしとらやぐら)、月見櫓、水手御門(みずてごもん)、渡櫓(わたりやぐら)、披雲閣(ひうんかく)、国指定名勝の披雲閣庭園などが見学できます。
「玉藻」という美しい名は、歌人・柿本人麻呂が讃岐の枕詞として「玉藻よし」と詠んだことに由来し、この一帯の海が「玉藻の浦」と呼ばれていたとされています。
ちなみに今回の旅では利用しませんが、高松琴平電気鉄道(通称ことでん)の起点、高松築港駅ホームは内堀に面し、高松城の二ノ丸から本丸に続く「鞘橋」もよく見えます。鉄道とお城がセットで見えるスポットとしておすすめです。
史跡高松城跡 玉藻公園
住所 | 香川県高松市玉藻町2-1 |
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問い合わせ先 | 087-851-1521 |
時間 | 西門/日の出~日没、東門/7:00~18:00(4~9月)、8:30~17:00(10~3月) |
定休日 | 12月29日~12月31日 |
交通アクセス | JR高松駅から徒歩5分 |
値段 | 大人(16歳以上):200円・小人(6歳以上16歳未満):100円・6歳未満:無料、1月1日~1月3日および5月5日は無料 |
URL | http://www.takamatsujyo.com/index.htm |
国産ジーンズ発祥の地「児島ジーンズストリート」
今回の旅の最後に訪れるのは、瀬戸大橋の本州側の起点である児島です。児島駅から約15分ほど歩くと、およそ400メートルの通りに地元ジーンズメーカーが軒を連ねる「児島ジーンズストリート」があります。
実は児島は、およそ50年前にこの地域で最初の日本製ジーンズが誕生したことから「ジーンズの聖地」として知られています。鉄道旅だと大きめのお土産は買いにくいものですが、旅も終盤ですし、思いきってオリジナルのジーンズを購入するのもおすすめです(筆者体験談)。ジーンズだけでなくデニム製の小物類も充実しているので、たとえばポケットティッシュケースやポーチなど、旅で使えるアイテムを選ぶのもよいでしょう!
また、「児島ジーンズストリート」の近くには、1991年に廃止された下津井電鉄児島駅跡が位置し、廃線跡およそ6.3キロは歩行者・自転車専用道「風の道」として整備されています。往時の面影が感じられるので、時間に余裕があったらぜひ立ち寄ってみてください。
児島ジーンズストリート
住所 | 岡山県倉敷市児島味野 |
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交通アクセス | 児島駅から徒歩約15分 |
URL | https://miyoshi-tourism.jp/spot/iyanokazurabashi/ |
運賃料金参考
この3日間の旅を、1日あたりの運賃で比較してみます。
・運賃
1日目:大阪→大歩危:5,600円、大歩危→阿波池田:530円
2日目:阿波池田→穴吹:850円、穴吹→徳島:980円、徳島→高松:1,640円
3日目:高松→栗林公園北口:240円、栗林公園北口→高松:240円、高松→児島:1,090円、児島→大阪:3,740円
合計 14,910円
青春18きっぷ3日間用(10,000円)なら4,910円お得!
※18きっぷを利用している区間(通過利用含む)の算出
まとめ
今回は、「青春18きっぷ」の概要と3日間用を使ったモデルコースを紹介しました。
3日間用は5日間用にくらべて少しだけ割高なので「元を取るのが難しいかも……」と思っている方もいるかもしれません。ですが意外にも楽しく旅をしている間に移動距離を稼げてしまうので、ぜひ積極的に使ってみてください!
著者紹介
- ※文・写真:蜂谷あす美
- ※写真協力:一般社団法人三好市観光協会、一般社団法人美馬観光ビューロー、公益社団法人香川県観光協会、玉藻公園管理事務所、岡山県観光連盟
- ※掲載されているデータは2025年6月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
- ※乗車日によっては発着時刻が異なる場合があります。事前にご確認の上、お出かけください。
- ※写真はイメージです。モデルプランの行程中に撮影したものではありません。