浪速の春風に吹かれて 三月場所の楽しみ方
三寒四温の春。徐々にコートが脱げるようになるこの季節に大阪で行われるのが、三月場所です。学校の卒業シーズンとも重なり、この場所で初土俵を踏む力士が多く、力士の「就職場所」とも称されます。そんな三月場所の楽しみ方を徹底解剖!
会場周辺情報のみならず、「安くてうまい」を実現する大阪ならではの絶品グルメまで、ご当地力士たちにリサーチしてきました。
作家・相撲ライターの飯塚さきさんが案内します。
三月場所の開催地・難波とは?
都会のど真ん中に出現「エディオンアリーナ大阪」
大阪の都会のど真ん中に現れる、三月場所会場の「エディオンアリーナ大阪」。かつては「大阪府立体育会館」と呼ばれていました。地下鉄各線なんば駅から、なんとおよそ徒歩4分の好立地。名古屋・福岡の各地方場所と比べて、アクセスの良さは抜群です。
ただし、エディオンアリーナは中の構造がちょっぴり複雑。もう何年も足を運んでいる筆者ですが、毎年初日は会場内で自分がいま何階のどこにいるのかわからなくなります。あなたも迷子要注意。
三月場所の歴史&ならではの楽しみ方とは?
大阪と相撲の歴史~江戸時代から続く伝統の地~
現在のように、3月の本場所が大阪で行われるようになったのは1953(昭和28)年ですが、実は大阪相撲には、江戸時代にまで遡る長い歴史があります。かつては江戸(東京)、京都、大阪の3都市で相撲の興行が行われており、大阪相撲は江戸時代から実に1927(昭和2)年まで続きました。
江戸幕府による興業の禁止後、大阪で勧進相撲が再開されたのは1702(元禄15)年のこと。興行地は堀江(大阪市西区)で、1765(明和2)年からは難波新地(大阪市中央区・浪速区)でも開催。1844(弘化元)年からは、天満砂原屋敷(大阪市北区)などでも行われました。
1897(明治30)年からは「大阪角力協会」と称して、東京相撲とは異なる団体として歴史を築きますが、1927年に東京相撲と合併し、現在の日本相撲協会が誕生。戦後の大阪での本場所は、1948(昭和23)年から行われています。
三月場所ならではの楽しみ方とは?
三月場所の特徴は、入口の外にお茶屋さんが並んでいること。チケットがなくても、外にはためく色鮮やかなのぼりだけでなく、相撲観戦の雰囲気を楽しむことができるのです。お茶屋さんだけでなく、柱に描かれた歴代横綱の大きな浮世絵や、観光記念のフォトスポットも満載。チケットが手に入らなくても、入口のスペースだけで雰囲気を味わえます。
また、多くの力士が電車を利用するため、なんば駅から会場までの道すがらで力士たちの“通勤”風景が見られるのも、アクセス抜群の大阪場所ならでは。そんな風景と共に、大阪に春が来たことを感じてみてください。
エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)
| 住所 | 大阪府大阪市浪速区難波中3-4-36 |
|---|---|
| 問い合わせ先 | 06-6631-0121 |
| 交通アクセス | 地下鉄各線なんば駅から徒歩4分 |
| URL | https://www.furitutaiikukaikan.ne.jp/ |
観戦時のおすすめモデルコース
観戦前にめぐりたい相撲スポット
大阪相撲ゆかりの地
大阪相撲の歴史で紹介したように、明治時代には難波新地に常設の興行場所が設けられました。1919(大正8)年9月、鉄筋コンクリート・煉瓦造、建築面積約2000平方メートル、ドーム式の大阪国技館が誕生。ここに、かつての名残として大阪国技館跡の石碑が、現在も立っています。
また、残念ながら現在は何も残っていませんが、1937(昭和12)年に建てられた「大阪大国技館」は、現在の城東区古市2丁目2・3番に存在しました。敷地面積6000坪、建築面積約3000坪、鉄筋コンクリート4階建ドーム式、収容人員2万5千人の大規模な建物だったそうです。
「大阪国技館跡」の碑
| 住所 | 大阪市浪速区恵美須東3丁目4番 |
|---|---|
| 交通アクセス | JR新今宮駅より徒歩約5分 |
| URL | https://www.city.osaka.lg.jp/naniwa/page/0000000915.html |
ナンバリボン
今年は大振りエビフライ、ナポリタン、エビピラフ、ポークジンジャー等人気メニューを一皿に詰め込んだ「満腹横綱ランチ」が登場!
会場から徒歩2分と程近い、洋食屋「ナンバリボン」。昨年、会場付近を散歩中に偶然「大相撲春場所限定メニュー」の看板を見かけて訪れてみました。その日は、しかしながらほかのメニューを頼んでしまったのですが、ザクザクで大きなエビフライが絶品でした。そのほか、プリンやケーキなどのデザートやカフェメニューも充実。今年もまた足を運んでみたい1軒です。
ナンバリボン
| 住所 | 大阪市浪速区難波中1-17-11 フレイザーレジデンス南海大阪1F |
|---|---|
| 問い合わせ先 | 06-6641-6678 |
| 時間 | 月~日、祝日、祝前日: 11時30分~22時30分 (料理L.O. 22時 ドリンクL.O. 22時) 年末年始 12/31、1/1,2,3 11時30分~18時 (L.O 17時) |
| 定休日 | 不定休 |
| 交通アクセス | 南海難波駅から徒歩3分/地下鉄各線なんば駅から徒歩5分 |
| 値段 | 「満腹横綱ランチ」 1,780円(税込)※ドリンクブッフェセット 2,060円(税込) |
| URL | https://nambaribon.owst.jp/ |
時津風部屋大阪宿舎
各相撲部屋の宿舎は、大阪を中心に点々としていますが、会場からおそらく最も近いのが、鶴橋駅から徒歩5分ほどの場所にある時津風部屋の宿舎。建物の駐車場奥に土俵を構え、力士たちが朝稽古をしています。まだ肌寒いこの季節は、ビニールに覆われた中にストーブがたかれているので、ちょっぴり温かい。地方場所は、場所中でも稽古見学できることがあるので、観戦前に少し早起きして、のぞきに行くのもいいかもしれません。
時津風部屋大阪宿舎
| 住所 | 大阪市東成区玉津2-21-40 石川ビル |
|---|
おすすめの三月場所限定グッズ
宇良の紅茶ティーバッグ
番外編で、ぜひチェックしてほしい館内のお土産も紹介します。昨年大好評だったのが、ご当地・寝屋川市出身の人気力士、宇良関のグッズです。国技館では、異なる5人の力士がデザインされるティーバッグですが、大阪場所では宇良関のみの紅茶のティーバッグが販売。インパクト抜群で観戦のお土産にピッタリです。宇良関の取組になると、会場中が「宇良」のタオルで一面がピンク色に染まり、結びの一番よりも大きな歓声が上がります。そんな大阪場所ならではの光景を、お土産と併せてぜひ楽しんで。
力士が教えるオススメスポット
和和(にこにこ)
現役力士の方々に、おすすめの大阪グルメスポットを聞いてみました。まずはご当地・大阪府四條畷市出身の朝紅龍関です。こちらはおしゃれな創作居酒屋のお店。朝紅龍関は、なんと小さい頃からよく訪れているのだとか。関取のおすすめメニューは「刺身と野菜のグリル。何を頼んでも間違いないです」。たこ焼きやお好み焼きなどの「粉もん」ではない、隠れた大阪の名店です。
和和
| 住所 | 大阪市都島区都島本通1-6-18 |
|---|---|
| 時間 | 17時-24時 |
| 定休日 | 月曜 |
| 交通アクセス | 地下鉄谷町線 都島駅 徒歩2分/JR大阪環状線 桜ノ宮駅 徒歩8分 |
| URL | https://akr7820629991.owst.jp/ |
炭火焼肉 大日大万大吉
もうひとり、行きつけを教えてくれたのは、宇良関と同じ寝屋川市出身の豪ノ山関。部屋の宿舎近くにある焼肉屋「炭火焼肉 大日大万大吉」を教えてくれました。「普段は、付け人と一緒によく行きます。必ず頼むのは、塩タン、特上ハラミ、上レバーです」とのこと。たくさんの焼肉店を知るお相撲さんがおすすめするお店は、絶対に間違いありません!
炭火焼肉 大日大万大吉
| 住所 | 守口市佐太東町1-41-6 |
|---|---|
| 問い合わせ先 | 050-5486-3639 |
| 時間 | 17時-24時(L.O.23時30分) |
| 定休日 | 日曜 |
| 交通アクセス | 地下鉄谷町線 大日駅 徒歩15分 |
| URL | https://k756017.gorp.jp/ |
【復習】観戦How to&マナー
相撲の観戦マナーについて、たくさん決まりがあるのではと心配する方も多いのですが、そんなことはありません。ドレスコードはないし、溜席でなければ席での飲食も声を出しての観戦もOK。ぜひ気軽に足を運んでください。2点だけ、配慮してほしいことを書いておきます。
1, 取組中は席を立たないこと
仕切りの間は自由に動いて大丈夫ですが、立ち合いの直前から勝負が決まるまでは、後方のお客さんのために席を立たないようにしましょう。万が一、席に戻る途中などで「はっきよい!」の行司の声が聞こえたら、その場の通路でしゃがむなどして、邪魔にならないよう配慮してください。
また、声援は大歓迎ですが、力士が一番集中する立ち合いの瞬間だけは声を出さないようにしましょう。
2, 座布団は投げないこと
結びの一番での番狂わせ、つまり横綱が負けたときに、客席が沸いて座布団が舞う光景を目にしたことがある人は多いと思います。しかし、場内アナウンスで「危険なので座布団や物は投げないでください」と注意喚起がある通り、本来投げてはいけません。
筆者も以前、溜席で観戦していて、後頭部に座布団が勢いよく当たって結構痛かったんです! 盛り上がる気持ちはわかりますが、ぜひその興奮は座布団ではなく大声で発散してください。
まとめ
番狂わせや波乱が多いとして「荒れる春場所」といわれる大阪場所。今回の見どころは、なんといっても大関・安青錦の綱取りです。新大関で優勝した安青錦は、三月場所で再度優勝、もしくはそれに準ずる成績を残せば、5月には新横綱として場所を迎えることになります。果たして大きな夢をつかむことができるか、それともすでに東西を張る横綱・豊昇龍と大の里がその壁になるのか、はたまた新たな力が賜盃を手にするのか。浪速の春風に吹かれながら、その結末を見届けましょう。
著者紹介
- ※取材協力/日本相撲協会・相撲博物館・時津風部屋・エディオンアリーナ大阪・大阪市浪速区・大阪市城東区・ナンバリボン・和和・炭火焼肉大日大万大吉
- ※写真提供/飯塚さき・ナンバリボン・和和・炭火焼肉大日大万大吉
- ※2026年2月現在の情報です。

