トレたび JRグループ協力

2026.07.14鉄道「あそぼーい!」―豊肥本線を走る親子で楽しい観光特急(THE列車)

阿蘇への旅を盛り上げる、遊び心たっぷりの“冒険列車”

熊本駅と豊肥本線の阿蘇駅・宮地駅を結ぶJR九州のD&S列車(観光列車)、特急「あそぼーい!」。阿蘇エリアへ向かう“冒険列車”として2011年6月に運行を開始し、今年で15周年を迎えました。

列車名には、「阿蘇」と「遊ぼう」という2つの意味が込められています。阿蘇への旅を親子で楽しめる仕掛けがたっぷり詰まった、まさに“走るおもちゃ箱”のような列車です。

「あそぼーい!」はどんな列車?

水戸岡鋭治さんによるデザイン


青と銀の電車

車両デザインは、JR九州でも多くの列車を手がけてきた水戸岡鋭治さんによるものです。外装は白と黒を基調にしたシックな配色。沿線に流れる「黒川」から名前をとった列車のマスコットキャラクター「くろちゃん」のイラストが車内外に散りばめられています。その数は全部で101匹。遊んでいたり、歩いていたり、寝そべっていたりと、表情やしぐさもさまざまです。車外には「ゴールドくろちゃん」も隠れており、乗車中に探してみるのも楽しみのひとつです。

内装は木のあたたかみを活かしながら、色や柄を大胆に使った座席、子どもも楽しめるフリースペースなど、親子で楽しい空間に仕上げられています。

パノラマシートを備える1・4号車


電車の赤いシートの座席 1号車

電車の青いシートの座席 4号車 パノラマシート

車両は全車指定席の4両編成。阿蘇・宮地方面が1号車、熊本方面が4号車で、編成の両端にあたる1・4号車には一般席とパノラマシートが設けられています。

一般席は2+2列。座席そのものは一般的な特急列車と大きく変わりませんが、モケットやカーテンなど細部の意匠に「あそぼーい!」らしい遊び心が散りばめられています。
先頭部に設けられたパノラマシートは、2+1列で各号車に9席ずつ。運転席が2階にあるため、最前列の席は視界を遮るものが全くなく、目の前に伸びる線路を走っていく様子を存分に楽しめます。

ボックスシートがある2号車


電車の座席

2号車は一般指定席が中心ですが、1号車寄りには座席が向かい合わせになったボックスシートが4区画あります。3〜4名のグループで利用でき、折りたたみ式の大型テーブルも付いているので、家族や友人同士での旅に最適です。

ボックスシートは「みどりの窓口」のみでの発売となっているため、予約の際は注意しましょう。

親子連れにやさしい3号車


白いソファと赤と白の床 くろカフェの前のフリースペース

こどもが遊んでいる くろクラブ

「あそぼーい!」でひときわ個性を放っているのが、親子向けの設備を集めた3号車です。車両中央には親子用の「白いくろちゃんシート」が9組。それぞれ大人用シートと子供用シートが一体となった構造で、窓側の子ども用シートは背もたれや足元のステップが子どもの体格に合わせた仕様になっています。大人1名の指定席料金で大人と子ども(6歳未満)の2人で利用できます。

2号車寄りには、お弁当や飲み物、デザート、お土産、くろちゃんグッズなどを扱う物販カウンター「くろカフェ」が。カウンターの向かいにはソファーやベビーサークルを備えたフリースペースもあり、子ども連れでも過ごしやすい雰囲気がつくられています。

さらに、4号車寄りのフリースペース「くろクラブ」には、絵本コーナー、木のボールプール、茶室をモチーフにした和室も。車内であることを忘れてしまいそうな、まさに子どものための空間です。

「あそぼーい!」はこう楽しむ!

事前予約限定のお弁当


お弁当 くろちゃん弁当

お弁当 あそぼーい!弁当

「あそぼーい!」に乗るなら、車内限定のお弁当も楽しみたいところ。種類は「くろちゃん弁当」と「あそぼーい!弁当」の2種類。どちらも阿蘇産コシヒカリを使用した、この列車ならではのお弁当です。

「くろちゃん弁当」は、あか牛キーマカレーのお弁当。マイルドな味わいで、子どもにも食べやすい内容となっています。弁当を包む風呂敷は、客室乗務員のスカーフと同じデザイン。旅の記念として手元に残したくなる一品です。

もう一方の「あそぼーい!弁当」は、あか牛の牛カツと牛すじ煮込みを盛り込んだボリュームのあるお弁当。阿蘇の味覚をしっかり楽しみたい大人にはこちらも魅力的です。

これらのお弁当は、乗車の3営業日前までに事前予約が必要です。旅の日程が決まったら座席とあわせて早めに予約しておきましょう。

  • あそぼーい!1号の車内ではお弁当の販売を行っておりません
  • 記載情報は2026年7月1日現在のものです

事前予約はこちらから

立野駅で「スイッチバック」に注目

「あそぼーい!」の車窓で注目したいのが、立野駅〜赤水駅間でのスイッチバックです。スイッチバックとは、急な勾配がある区間で、列車が進行方向を変えながらジグザグに進む線路構造のこと。豊肥本線では、熊本方面から阿蘇方面へ向かう列車が、立野駅から進行方向を2回変えて約190mの高低差を上っていきます。車内では、客室乗務員が手作りの図解パネルでスイッチバックの仕組みを案内しています。

阿蘇駅から「阿蘇内牧温泉」へ


横断幕がかかった夜の町

阿蘇駅からは、阿蘇内牧温泉に向かうのもおすすめ。約20軒のホテル・旅館と複数の共同浴場が点在する阿蘇の代表的な温泉地のひとつで、源泉数は130を超えるとも言われています。夏目漱石や与謝野鉄幹・晶子夫妻など、多くの文人が訪れた温泉地としても知られています。昔ながらの町湯も残り、観光地でありながらも地元の暮らしに根づいた湯の文化を感じられる温泉街です。

宮地駅から「阿蘇神社門前町商店街」へ


日本家屋の並ぶ街道 写真提供:熊本県観光連盟

宮地駅で訪れたいのが、阿蘇神社とその門前町です。阿蘇開拓の神々をまつる阿蘇神社は、阿蘇地域を代表する観光スポットのひとつ。宮地駅からは徒歩約15分でアクセスできます。
 
阿蘇神社の門前町は、神社から横方向に伸びる珍しい「横参道」に沿って広がります。参道沿いには、土産店、精肉店、あか牛料理の店、カフェ、雑貨店など30軒以上のお店が並び、散策しながら食べ歩きや買い物を楽しめます。

列車情報

運転日

毎日(検査等で運休となる日があります。詳細はJR九州のホームページをご確認ください。)

運転区間 熊本駅〜宮地駅間(豊肥本線経由)
運転時刻

【1号】熊本駅9:57発→宮地駅11:32着
【3号】熊本駅13:36発→宮地駅15:11着

【2号】宮地駅12:02発→熊本駅13:20着
【4号】宮地駅15:48発→熊本駅17:08着


「あそぼーい!」について詳しくはこちら


著者紹介

佐藤正晃

1991(平成3)年、スーパートレイン全盛期生まれの旅行・交通ライター。青森県青森市出身。

撮影旅・乗車旅が好き。最近は吞み鉄にもハマっている。

親の転勤が多く、幼少期は盛岡市や東京都で過ごしたため、東日本エリアの鉄道には並々ならぬ思いがある。大学卒業後、旅行関連業界を経て、現在は取材のため各地を飛び回る日々。

  • 文/佐藤正晃
  • 写真/JR九州、熊本県観光連盟、交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2026年7月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください
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