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2021.08.13鉄道新幹線や特急列車の乗継割引、どう使う? 蜂谷あす美が解説! お得に買う「特急券」編

重要なのは「一緒に買う」。特急券もお得な買い方があった

皆さんこんにちは。特急券の「乗継割引」を知った乙女の頃、「え?お得過ぎんか!?」と心を震わせた蜂谷です。いきなり謎用語を出してしまいましたが、今回は乗継割引も含めて「特急券」のルールを解説していきます。同じきっぷでも「買うタイミング」「利用する日」を気にするだけでお得度が大きく変わります。2015年1月にJR全線完乗した私が、知人にも喜ばれるJRきっぷの使いこなし方を解説する連載2回目、ぜひご一読ください!

特急券とは? 速く快適に移動するための課金アイテム

第2回目は、特急券のお得な買い方、使い方、乗り方について


画像はイメージです

シリーズ2回目となる今回は、「特急券」を解説します。前回の「乗車券編」でご紹介したように、「乗車券」は鉄道を利用するうえでも欠かせないきっぷですが、新幹線や特急列車を利用する場合には乗車券に加え特急券も必要です。「速く」そして「快適」に移動するための課金アイテムといえるでしょう。料金は乗車券同様、距離に応じて変わります。

特急券は、大きく「指定席特急券」「自由席特急券」の2種類にわけられます。このうち「指定席特急券」は、乗車日、乗車区間、それに列車と席が指定されています。一方、自由席特急券は、乗車日、乗車区間だけが定められ、その範囲の「自由席」であれば、どの列車でも乗車可能です。


「どの列車に乗ってもいいのなら、自由席特急券のほうがよさそうに思えるなあ」


「混んでたら座れない可能性があっても……?」

今回も引き続き、謎の「鉄道旅初心者」との掛け合いを交えつつ進めていきます。前述のとおり指定席特急券は確実に席が定められていることから、「着席保証」がなされているといえます。

一方、自由席特急券の場合は空いている席がなければ座ることはできません。加えて、今はなかなかしづらいですが、たとえばグループ旅行や家族旅行の際、席が離れ離れになる可能性もあります。こうした性質の違いから、自由席特急券は、通常期の指定席特急券よりも「530円」安い料金体系になっています。

また、新幹線や特急列車のグリーン車を利用する場合の特急料金は、通常期の指定席特急券よりも「530円」安くなり、「指定席特急券(自由席特急券と同額)+グリーン券」が乗車券にプラスして必要となります。


「さらっと流してしまいそうになったけど、「通常期」ってなんだ? 異常な時期もあるのか」


「あ、バレてしまいましたか。指定席特急券は時期によって値段が違うんです」

年末年始や夏休みシーズンなどの移動需要が高まる時期に飛行機の値段をみて目玉が飛び出しそうになった経験はありませんか。私はあります。
実は指定席特急券も時期によって料金が異なります。もっとも、飛行機にくらべると非常にシンプルで、「通常期」「繁忙期」「閑散期」の3シーズンで成り立っています。繁忙期は、特急列車、新幹線の指定席特急券が通常期より200円増し、閑散期は、指定席特急券が通常期より200円引きになります(一部例外あり)。


<繁忙期、閑散期>※あくまで目安です

繁忙期:年末年始や春休み、夏休み、大型連休
閑散期:6月、9月、11月、12月、1月中旬、2月の祝日を除く月~木曜日
通常期:繁忙期、閑散期以外

なおJR北海道やJR九州、それに首都圏の特急列車などには繁忙期、閑散期の設定はなく通年で同一料金です。

※編集部追記
2024年4月より、「最繁忙期」の設定が追加されました。
最繁忙期は、特急列車、新幹線の指定席特急券が通常期より400円増しとなります。
JR東海内・JR西日本内(北陸新幹線を除く)・JR四国内・JR九州内・JR各社間を利用する場合と、JR東日本内・北海道新幹線・北陸新幹線を利用する場合では、設定日が異なります。
詳しくはこちら(JR東日本ホームページ)をご確認ください。

速いと高い、チョイ乗りは安い! ちょっと細かい話



「東京から新大阪まで新幹線で移動するか。乗車券と特急券を買えばいいんだな。指定席を選んで、ええと…あれ?なんか値段が列車によって違うぞ」


「実は……「のぞみ」の指定席特急券はちょっと高いんです」

ふだん何も考えず利用していると気付かないのですが、列車によって値段が異なる路線があります。ざっくり「一番速いのは別料金」と覚えてください。


<ちょっと高い新幹線>

東海道・山陽新幹線:のぞみ
山陽・九州新幹線:みずほ
東北・北海道新幹線:はやぶさ、こまち

たとえば、通常期に東海道新幹線で東京駅-新大阪駅間を移動するのに、ひかりやこだまの指定席は5,490円であるのに対して、のぞみの指定席は5,810円と320円の差があります。猛烈に急いでいないときは「一番速い新幹線以外」を選んで旅をするのも手でしょう。

ちなみに自由席特急券は「ひかり」「こだま」の通常期の指定席特急券から530円引いた額で、これはのぞみの自由席を利用しても変わりません。見方を変えると、のぞみの自由席はお得度が高めと言えます。


「わー寝坊した。品川から新横浜まで行かないといけないのに、普通列車だと間に合わない! ここは新幹線に課金するしかない! うっ、ひかりの指定席で2,290円か。痛い出費になってしまった……」


「それくらいの距離なら自由席でよくないか?」

新幹線を一駅区間だけ利用するときは絶対自由席を利用しましょう。というのもこの区間の自由席特急券は通常よりも安く設定されているのです。
たとえば、上記やりとりに登場する品川駅―新横浜駅間は、本来であれば自由席特急券は通常期の指定席特急券(2,290円)から530円引いた1,760円となるところ、ずっとお得な870円に設定されており、指定席の半額以下で利用できます。なお、駅が開業した順番の関係から二駅分の移動であってもこの割引が適用される区間があります。

また、こうしたお得料金が設定されている区間は「JR時刻表」の「運賃・特急料金早見表」で「※」が付いているため、一目瞭然です!


「時刻表って運賃調べるうえでも大いに役立つんですよね(^^)」


「交通新聞社の回し者か?」

特急料金が半額に? 王道ルール、乗継割引



「特急券のしくみもわかってきたんだけど、もっとこうインパクト抜群な話はないの?」


「よくぞ聞いてくれました!必殺にして王道の『乗継割引』をお教えしましょう」

個人的な話ですが、私がきっぷのお得ルールとして最初に意識したのは「乗継割引」でした。乗継割引とは「特急列車」と「新幹線」を乗り継ぐだけで、特急列車の特急料金が半額になる簡単かつ驚異的なルールです。新幹線と特急列車に乗る順番はどちらが先でも構いません。


「え?半額?」


「はい、半額です。ただし乗り継ぐ特急列車と新幹線の特急券を一緒に購入しないと適用されない点だけは、注意しましょう。逆に、セット購入すれば自動的に『乗継割引』が適用されます。もしバラバラに購入した場合は……あきらめましょう」

たとえば山陽新幹線で岡山まで行き、さらに特急やくもに乗り換えて出雲市を目指すとします。通常期であれば岡山駅―出雲市駅の指定席料金は2,950円ですが、新幹線の特急券とセット購入することで「乗継割引」が適用され、半額の1,470円になるのです。インパクトありすぎやしませんか?


「じゃあ特急列車に乗って、新幹線に乗り換えて、また特急列車に乗るようなときはどうなるの?」


「なるほど、特急列車で新幹線をサンドイッチするような行程ですね。残念ながら片方の特急列車しか半額にはなりません」


「(舌打ちする音)」


「しかし嬉しいことに半額になる、すなわち乗継割引が適用されるのは、特急料金の高いほうなんです」

特急列車と新幹線に乗る順序はどちらが先であっても構わないものの、新幹線から特急列車に乗り継ぐ場合はその日のうちでないと乗継割引は適用されない一方で、特急列車から新幹線に乗り継ぐ場合は、特急列車に乗った翌日でも乗継割引が適用されるという違いがあります。また、すべての乗り継ぎに適用されるわけではない点は要注意です。


<乗継割引が適用される主な駅>

東海道・山陽新幹線:新横浜~新下関、大阪(新大阪で新幹線を乗降する場合)
東北新幹線、北海道新幹線:新青森、新函館北斗
上越新幹線:長岡、新潟
北陸新幹線:長野、金沢

新幹線の特急券は通しで買おう!


さて、新幹線と特急列車の特急券はセットで買うとおいしい特典が付いてくることがわかりました。では、特急列車同士や新幹線同士を乗り継ぐ場合は?

特急列車同士を乗り継ぐ場合は、一部の例外を除いて、乗る列車ごとに特急料金がかかってきます。ならば新幹線も同じと考えるのは早計! 実は新幹線の場合は、改札を出ることなく同じ方向に列車を乗り継ぐ場合、特急料金が通しで計算してもらえます。

たとえば東京から名古屋までをひかりの指定席、名古屋から新大阪までをこだまの指定席で移動したとします。乗車する新幹線ごとに特急券を購入すると、通常期は東京駅―名古屋駅が4,710円、名古屋駅―新大阪駅が3,060円で合計7,770円となるのですが、両者をまとめて購入すると、東京駅―新大阪駅の通しで計算してもらうことができ、5,490円で済みます。


「なんでひかりとこだま? のぞみの可能性もあるし、こだまなら自由席多いからそっちでもよくない?」


「ばれましたか。ちょっとだけややこしく説明が面倒なので、割愛しようと思ってました」

先ほどご紹介したように、のぞみやみずほといった「速い列車」は他の列車にくらべて指定席特急券が少し高めに設定されています。こうした列車と他の列車を乗り継ぐ場合は、それらを利用した区間分だけ別途金額が加算されることになります。
上記の例で、東京から名古屋までをひかりではなく、のぞみの指定席を利用した場合は、5,490円に210円(東京駅―名古屋駅の加算額)を加えた5,700円になります。

また、自由席同士の乗り継ぎも、指定席同士の乗り継ぎと同様に、全区間の通算で考えます。ただし、指定席から自由席へ、あるいは自由席から指定席へと乗り継ぐ場合は、注意が必要です。というのも、仮に指定席の利用がわずかな区間であっても、全区間で指定席料金が適用されることになるのです。どうせ料金が同じなら、全区間で指定席を利用したいですね。


「名古屋から盛岡まで新幹線で移動しよう。確か東海道新幹線と東北新幹線の特急券をセットで買えば、通しで計算されるんだよな」


「あっ!そこは例外的に通算されない区間です」


「なんか例外多くない?」

各解説の最後に「例外」をいちいち載せていますが、新幹線特急券の「通し計算」にもいくつか例外区間があります。


<通算されない主な場合>

1.東京駅で乗り継ぐ場合
2.大宮駅で上り(東京行き)の東北・北海道新幹線から下りの上越・北陸新幹線に、または上りの上越・北陸新幹線から下りの東北・北海道新幹線に乗り継ぎとなる場合
3.高崎駅で上りの上越新幹線から下りの北陸新幹線に、または上りの北陸新幹線から下りの上越新幹線に乗り継ぎとなる場合

このうち多くの人にとってショッキングなのは1.ではないでしょうか。たとえば名古屋から東京まで東海道新幹線、東京から仙台まで東北新幹線と移動した場合、残念ながら特急券はそれぞれの区間で購入することになります。

まとめ

今回は、特急券のルールを解説しました。ややこしいルールも多いのですが、困ったときは「とりあえず、全部まとめて一緒に買う」手法をとれば、自動的に割引が適用されるのでおすすめです。
また最近はJR各社からネット限定きっぷ、またチケットレスサービスなども出てきています。これらと従前からの「紙のきっぷ」で値段を比較する機会も増えました。突き詰めていくには道のり長く、「沼」を感じます。


著者紹介

蜂谷あす美

旅の文筆家。福井県福井市出身。慶應義塾大学卒業後、出版社勤務を経て、現在に至る。「旅は再訪のための下見」をモットーに、2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅を中心としたエッセイや紀行文などを数多く執筆しているほか、ご当地牛乳にほれ込み牛乳の連載も経験あり。最近はラジオをはじめ、トークでも活躍。著書『女性のための鉄道旅行入門』『もっとお得にきっぷを買うアドバイス50』(ともに天夢人)

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  • 掲載されているデータは2021年8月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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