トレたび JRグループ協力

2022.08.22鉄道西九州新幹線〔かもめ〕、2022年9月23日ついに開業! そのダイヤ作成のヒミツに迫る

博多〜長崎間を最速1時間20分で結ぶ、“速くて便利な新幹線”

西九州新幹線の登場により、九州の移動に革命が起こります。

博多~長崎間がグッと近くなり、佐賀・長崎へのアクセスも快適に! そんな“速くて便利な新幹線”のダイヤ作成について、JR九州の担当者にこだわりや苦労した点などを伺いました。

『JR時刻表』×トレたび 連動企画です。

西九州新幹線とは?

1973(昭和48)年の「整備計画」決定からおよそ半世紀。
福岡市と長崎市を結ぶ九州新幹線西九州ルートのうち、ひと足先に開業する武雄温泉〜長崎間の約66km(線路延長)の路線名称が「西九州新幹線」です。武雄温泉駅で在来線特急から乗り換えることで、博多〜長崎間を最速1時間20分、新大阪〜長崎間を最速3時間59分(博多乗り換え)で運転します。

まずは、西九州新幹線〔かもめ〕の車両の魅力を解説

見るものをワクワクさせる、“九州らしい”デザイン

JR九州には、移動手段でありながら、乗ることそのものが目的となる、個性あふれる列車が揃っています。9月23日にデビューする西九州新幹線〔かもめ〕もそう。東海道・山陽新幹線で使われているN700Sをベースにしながらも、“九州らしさ”があふれています。

車両デザインを担当したのは、これまでもJR九州の人気列車を多く手がけてきた水戸岡鋭治さんです。白地にJR九州のコーポレートカラーである赤が映える外装が特徴的。6両編成の車体に配した116カ所もの「かもめ」の文字がにぎやかな雰囲気を生み出しています。
ちなみに、「かもめ」の文字のなかでも印象的な毛筆書体のものは、JR九州の青柳会長が社長時代に書いた直筆だそう。


「九州らしいオンリーワンの車両」がコンセプト

毛筆書体の「かもめ」の文字


ライトを目、シンボルマークのある黒い部分を鼻に見立て“顔”を表現した先頭部分

快適な車内は、全席モバイル用コンセント付き

車内デザインは、和洋折衷、クラシックとモダンを組み合わせた、懐かしくて新しい空間が表現されています。

1~3号車の指定席は2+2列のゆったりとしたつくりで、「菊大柄」のアイボリー(1号車)や「獅子柄」のグリーン(2号車)、「唐草」のベージュ(3号車)と、号車ごとにシートの柄やカラーが異なります。また、4~6号車の自由席は、鮮やかな山吹色のシートを2+3列で配置しています。
自由席を含め、全席にモバイル用コンセントを備えているのも便利。


落ち着いた色合いの「唐草」シートが並ぶ3号車(指定席)


4~6号車(自由席)は山吹色のシートが印象的

速達性と利便性を兼ね備える、理想のダイヤを目指して

91年ぶりの鉄道開設となる嬉野温泉駅のダイヤをどうするか?


西九州新幹線開業に伴い新設される嬉野温泉駅(2022年8月撮影)

西九州新幹線のダイヤ作成を担当したのは、輸送課勤務歴8年の前田 健吾(まえだ けんご)さん。これまでダイヤ改正を多く手がけてきたものの、一からダイヤを作るのは今回が初めてだとか。
「理想のダイヤは“バランスがとれていること”。各列車との接続もスムーズで、九州中がネットワークで美しくつながっているダイヤですね」と前田さん。


JR九州 運輸部 輸送課の前田健吾さん

まず決めるのは運行本数です。コロナ禍ということもあり、現行の特急〔かもめ〕(2022年8月現在)とほぼ同じに設定。
「1日あたり計47本としましたが、繁忙期には臨時列車を運転できるようにしました」

本数が決まれば、何時台に何本走らせるか、停車駅はどうするかを考えていきます。駅ごとのデータを見て、時には現地に出向いて、利用状況を調べました。
「嬉野市内において、91年ぶりの鉄道開設となる嬉野温泉駅をどうするかは一つの課題でした。データがありませんからね。しかし嬉野温泉駅は、九州が誇る人気の温泉地への最寄り駅です。観光客が利用しやすいよう、昼前後の便を充実させました」


西九州新幹線の列車運行図表(ダイヤグラム)

3つの停車パターンで、“速くて便利な新幹線”に

ダイヤ作成の難しさは、速達性と利便性のバランスだといいます。
「今回、博多〜長崎間を1時間20分で結ぶというミッションがありました。これをクリアしつつ、多くの人が利用しやすいダイヤを作らなければなりません」

そこで考えたのが、途中諫早駅だけに停車する最も速いパターンから、新大村・諫早駅に停車するパターン、朝夕を中心とした各駅停車まで、3つの停車パターンです。
新大村駅始発を設けたこともポイントだそう。長崎まで約15分、次の諫早からだと約9分と、現行の所要時間の約半分となることから、通勤・通学需要を想定したといいます。

博多と武雄温泉を結ぶ在来線特急〔リレーかもめ〕との接続もスムーズ。武雄温泉駅では同一ホームでの対面乗換方式を採用しており、乗換所要時間は約3分です。


武雄温泉駅では、西九州新幹線と在来線特急が同一ホームで対面乗換可能


「新しい観光列車〔ふたつ星4047〕とセットで楽しんで」

西九州新幹線と同じく9月23日に〔ふたつ星4047(ふたつぼしよんまるよんなな)〕がデビューします(金・土・日・月曜を中心に各ルート1日1便運転)。武雄温泉〜長崎間を走るD&S(デザイン&ストーリー)列車で、キハ40・47形の車両を使用しています。
コンセプトは「西九州の海めぐり列車」。武雄温泉発の午前便は長崎本線経由で有明海を、長崎発の午後便は大村線経由で大村湾を楽しむことができます。


海に面したルートを走る〔ふたつ星4047〕(イメージデザイン) Design & Illustration by Eiji Mitooka + Don Design Associates

こちらのダイヤを手がけたのも前田さんです。西九州新幹線との接続を考えたダイヤにしているとのことで、前田さんとしては、武雄温泉→長崎に新幹線〔かもめ〕、長崎→武雄温泉に〔ふたつ星4047〕を利用するのがおすすめだといいます。
「最新車両の新幹線〔かもめ〕と、昔ながらの車両の〔ふたつ星4047〕。波静かで琴の海とも称される大村湾を楽しむ新幹線〔かもめ〕と、“ふたつ”のルートで大村湾と日本一の干満差を誇る有明海を楽しむ〔ふたつ星4047〕。車両も車窓に広がる海も風情が異なる2つの列車をぜひ楽しんでください」と笑顔で語ってくれました。


〔ふたつ星4047〕午前便ルート

〔ふたつ星4047〕午後便ルート

  • 長崎本線・佐世保線「肥前山口」駅は9月23日からは「江北」駅です。

西九州新幹線 最新情報はこちら


著者紹介

宮﨑由希子(aun)

福岡県福岡市在住のフリーライター。九州・沖縄を中心に旅、グルメ、温泉に関する企画・取材・執筆を手がける。長時間じっとしているのが苦手で、旅は断然、移動そのものを楽しめる列車派。駅弁とビールをお供に楽しむのが至福。

『JR時刻表』2022年9月号 特集「西九州新幹線 大解剖!」もあわせてチェック!


JR時刻表2022年9月号

9月号では、9月23日(金・祝)開業の西九州新幹線〔かもめ〕&特急列車の全時刻を掲載! ※JR九州の在来線ページは9月22日までの内容です
巻頭カラー特集では、「鉄道開業150年特別企画」として8月号から3号連続で、鉄道の歴史や旬の話題を紹介。今月号は「西九州新幹線 大解剖!」として、JR九州担当者へのインタビューから西九州新幹線の魅力に迫ります。好評連載中のリレーエッセイ「十人十鉄」では、西九州新幹線〔かもめ〕のデザインを手がけた水戸岡鋭治さんが登場します。

【JR時刻表とは】
JR線の全線全駅を掲載。主要駅の構内図、私鉄、国内線航空ダイヤも収録。駅の旅行センター・みどりの窓口でも使われている時刻表です。
見やすい2色刷り/JR6社共同編集/JR6社の主要ニュースを掲載

●本記事はJR時刻表2022年9月号との共同企画です。
 


JR時刻表2022年9月号をもっと見る

  • 取材・文=宮﨑由希子(aun)
  • 撮影=福島啓和(frap.inc)
  • 〔ふたつ星4047〕ルート図=JR九州提供
  • 掲載されているデータは2022年8月1日現在のものです。
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